"年金九万円の同窓会" 第5話
「帰りが分からなくなったり、同じ話を何度もしたりね」
「そうなんだ……」
「うん」
理恵は窓のを見た。
「若い頃はね、おがあればだとってた」
私は黙っていた。
理恵は続ける。
「もある。貯もある。も分ある」
そこでし笑った。
「でもね、最分かったの」
理恵はさく首を振った。
「老って、おだけじゃないんだよ」
その言葉は議と私の胸にもく入ってきた。
私がずっと羨ましいとい込んでいた。
そのにも苦しみやは確かにしていた。
誰にも見えないだけで。
理恵は続けた。
「夜になると怖いの」
「怖い?」
「夫がどんどん別になっていくみたいで」
私は何も言えなかった。
理恵は目を伏せた。
「昔はね、あなたが羨ましかったの」
「え?」
今度は私が驚く番だった。
「子供と緒に頑張ってたでしょう」
理恵は微笑んだ。
「変そうだったけど、きてるじがした」
私は返す言葉を失った。
はいつも、自分にないものを見てしまう。
そして相も同じなのだ。
私はずっと理恵のを羨ましいとっていた。
けれど理恵もまた、私のに別の価値を見ていた。
その事実が、静かにへ染み込んでいった。
同窓会はまだ続いていた。
しかし私のでは何かが変わり始めていた。
老格差。
私は今、その言葉のを違う形で理解し始めていた。
会のあちこちで会話が続いていた。
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私は理恵と別れ、昔同じクラスだった数の女性たちと話をした。
そのには、誰もが羨むようなを送っているとっていたもいた。
だが話を聞けば聞くほど、現実は違った。
は息子夫婦との同居に悩んでいた。
孫はい。
けれどのに居所がないという。
もうは夫をくしたばかりだった。
きなにでみ続けているらしい。
「広すぎるのよ」
彼女は笑いながら言った。
「掃除するだけで終わる」
周囲も笑った。
だが、その笑いの奥にある孤独は隠しきれなかった。
さらに別の女性は病気の治療だった。
見た目は元気そうだ。
化粧も綺麗だ。
装も派だ。
だが通院が続いているという。
私は黙って話を聞いた。
誰もが何かを抱えていた。
それはおでは測れない問題ばかりだった。
もちろん経済に余裕のあるもいた。
旅へき、趣を楽しみ、豊かな暮らしをしているもいる。
けれど全員が幸せそうだったわけではない。
逆に私が像していたほど、私自は幸でもなかった。
そのことにし驚いていた。
私は毎朝仕事へく。
活は楽ではない。
は万円しかない。
だが自分ので歩いている。
自分の力で暮らしている。
それは決して恥ずかしいことではなかった。
会の央では記撮が始まった。
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懐かしい顔が並ぶ。
私はしろにった。
カメラマンが声をげる。
「皆さん、こちらを向いてください」
その瞬、私は周囲を見渡した。
。
誰も自分の老など像していなかった。
成功も失敗も。
病気も孤独も。
誰もらなかった。
ただ未来へ向かって歩いていた。
そして今。
私たちはそれぞれ違うをきて、ここへ戻ってきた。
私はった。
比べる必なんて最初からなかったのだ、と。
同窓会が終わった。
会のへると、横浜のには夜の灯りが広がっていた。
私はホテルのでち止まる。
胸のには議な静けさがあった。
来るは怖かった。
自分だけが取り残されている気がしていた。
だが実際に来てみると違った。
誰もがを取っていた。
誰もが何かを抱えていた。
そして誰もが必にきていた。
私は駅へ向かって歩き始める。
途、ガラスに映る自分の姿が目に入った。
特別に綺麗でもない。
若くもない。
だが、そこには確かに自分のをきてきた女性がいた。
に乗り、窓際へ座る。
窓に流れる夜景を眺めながら考えた。
私はずっと老格差を恐れていた。
おの差。
の差。
活の差。
けれど本当に怖かったのは、誰かと比べて自分を否定することだったのかもしれない。
私は貧しい。
それは事実だ。
もない。
働かなければ暮らせない。
でも私は負けているわけではない。
自分のを諦めているわけでもない。
そうえた。
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