"椿の家を守った母" 第3話
「考えておくわ」
そう言って話を切った。
翌週。
夫婦が突然やって来た。
両いっぱいの菓子折りを持って。
結婚して以。
こんなことは初めてだった。
「母さん元気?」
彩佳が満面の笑みで言う。
私は内で警戒した。
案の定だった。
夕。
彩佳が切りした。
「このって広いですよね」
来た。
私は黙ってお茶をんだ。
「私たちも子供がきくなってきて」
「うん」
「マンション狭くて」
「そう」
「だから同居できたら助かるなって」
私は夫の遺を見た。
正なら何と言うだろう。
たぶん苦笑している。
はさらに続けた。
「親父もぶとうぞ」
その言葉だけは許せなかった。
「正さんはそんなこと言わないわ」
部の空気が止まった。
彩佳の笑顔が固まる。
の顔が険しくなる。
「何だよそれ」
「あなた、お父さんのお見い何回来た?」
は黙った。
「最期のか、何回来た?」
沈黙。
私は初めて真正面から息子を見た。
「親孝もしなかったが、お父さんの気持ちを勝に使わないで」
その夜。
は嫌なまま帰ってった。
しかし私はらなかった。
そのすでに。
夫婦は別の計画をめていたことを。
それからかだった。
所の佐藤さんが慌てた様子でやって来た。
「義恵さん、丈夫?」
「何がですか?」
「息子さん、引っ越してくるの?」
私はが分からなかった。
「どういうこと?」
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すると佐藤さんは困った顔をした。
「このスーパーで会ったにね、『もうすぐ実にむんです』って」
私は言葉を失った。
そのの夕方。
私はに話した。
「どういうこと?」
「何が?」
「引っ越しの話よ」
は悪びれもしなかった。
「ああ、準備してる」
私はを疑った。
「誰が許したの?」
「許?」
底議そうな声だった。
「実だろ?」
その言で理解した。
この子は本気なのだ。
実は自分のものだとっている。
私は静かに言った。
「違うわ」
「は?」
「このは私のよ」
「親父のだろ」
「そして今は私の名義よ」
話の向こうで沈黙が流れた。
はらなかったのだ。
夫がくなった。
相続続きはすでに終わっていた。
夫は遺言を残していた。
自宅と預の部分は妻へ。
子供たちは法定割の現のみ。
それが夫のだった。
理由もっている。
、正は何度も言っていた。
「義恵が困らないようにしてくれ」
それだけだった。
は鳴った。
「そんなのおかしい!」
「お父さんが決めたのよ」
「絶対に何か吹き込んだだろ!」
私は話を切った。
翌。
夫婦が乗り込んできた。
玄関をけた瞬だった。
彩佳が泣き始めた。
「ひどいです!」
私は呆れた。
何がひどいのか。
夫を取ったのは私だ。
介護したのも私だ。
夜に病院へったのも私だ。
だが彩佳は叫んだ。
「男差別です!」
も続く。
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「親父はそんなじゃない!」
私は遺言のコピーをした。
夫の署名。
実印。
公証役の証。
すべて揃っている。
は顔を変えた。
そして言った。
「母さん騙したな」
私は初めてりを覚えた。
「騙したのは誰?」
部が静まり返る。
「まだ私がきているのにを取ろうとしたのは誰?」
誰も答えなかった。
だがそのの帰り際。
彩佳がさく呟いた。
「絶対に悔しますからね」
私はその言葉を聞き逃さなかった。
脅しはすぐに始まった。
話。
メッセージ。
親戚への根回し。
夫婦はあらゆるを使った。
「義恵さんは男を差別している」
「老は孤独する」
「介護してくれるがいなくなる」
そんな噂が広がった。
ある。
義姉から話が来た。
「くんじゃない?」
私はわず笑ってしまった。
夫の介護。
度も病院に来なかったたちが。
今さらをしている。
私は反論しなかった。
代わりに常を続けた。
するとか。
な物から連絡が来た。
翔太だった。
「母さん、丈夫?」
どうやら話を聞いたらしい。
私は事を説した。
話の向こうで翔太はいため息をついた。
「兄貴らしいな」
その言葉にし救われた。
翔太は続けた。
「母さん、もし何かあったら俺がく」
「丈夫よ」
「いや、丈夫じゃない」
その言葉に胸がくなった。
夫がくなってから。
ずっとで戦っていた気がした。
だが違った。
ちゃんと見ているがいた。
方で。
夫婦はますます焦っていた。
なぜなら。
彼らには秘密があった。
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