"海底の防水バッグ" 第2話
「そうだ。佐藤健という物が、22毎、失踪届をし直している」
田刑事は画面に記された佐藤健の所を帳にき留めると、力く席をった。
「族に直接会ってみる必があるな。当の警察が調べなかった、々のらない何かをっているかもしれない」
の刑事は着を羽織り、に警察署をにした。
鹿児島内の古い戸建てのに、警察のパトカーが静かにした。田刑事が錆びついた鉄製のを叩くと、奥の玄関のドアがき、60代半の男性が姿を現した。その男性は、全で過ぎったいのみに耐えてきてきたかのような、く刻まれたいシワのある顔をしていた。
田刑事は警察帳を差しし、男性の目を真っ直ぐに見つめた。
「佐藤健さんでいらっしゃいますか?」 「はい、そうですが……何か御用で?」 「鹿児島警察署、未解決事件チームの田です。娘さんの……いえ、妹さんの佐藤エミさんのことで、お話を伺いに来ました」
佐藤健の顔が、その名を聞いた瞬に真っ青に変した。
「うちのエミに……何かあったんですか?」 「実は本、久島の域で、エミさんの遺留品とわれるバッグが見つかりました」
健の体が激しくふらつき、倒れそうになるのを堪えるようにそばの壁にをついた。
「それは……本当ですか……」
広告
「に入って、詳しいお話を伺ってもよろしければ」
田刑事が促すと、健は震えるでドアをけ、をリビングへと迎え入れた。
リビングの古いソファに向かいって座った佐藤健は、22のあのの記憶を元のお茶のカップを見つめながら、苦しそうに語り始めた。
「エミは、私にとって娘のようなものでした。両親をくにくし、私が必に背負って育てた妹でして……」
健の目がみるみる赤くなり、声が震え始める。
「あの子がフェリーで働くと言いしたから、どうにも嫌な胸騒ぎがしていました。というものは、元々恐ろしい所じゃないですか」 「エミさんが失踪したのことで、何か覚えていることはありませんか?」 「1988512の夜でした。航に話で話しましたが、いつもと全く変わりありませんでした。それが最になるとは、にもいませんでした」
田刑事は持参した底のバッグの写真をテーブルのに差しした。健は震えるでそれを受け取り、い入るように見つめた。
「違いありません。うちのエミが、ダイビングが趣で持っていたバッグです……」 「当の警察の『事故または自殺』という捜査結果については、どうお考えでしたか?」
健は突然唇をく噛み締め、膝のの拳を固く握りしめた。の奥に激しいりが宿る。
広告
「単なる転落ですって? 馬鹿げた話です! うちのエミがどれだけ泳ぎが達者だったか。あの子はに入ることを全く怖がらない子でした。絶対に何か、別のことがあったはずです」 「それで、22ずっと失踪届をし続けてこられたのですね」 「はい。いつか、いつかあの子の無が世にられるが来ると信じていました」
健は目から流れる涙を着の袖で拭いながら、田刑事のを握りしめて懇願した。
「刑事さん、どうか、もう度だけ捜査してください。うちのエミがなぜあんなに消えなければならなかったのか、どうか真実をらかにしてください」
田刑事は自らのを握る健の温かいを握り返し、くうなずいた。
「必ずそうなるよう、全力を尽くします」
刑事は健のを辞し、再び警察署へとをらせた。
警察署の捜査に戻った田刑事の元へ、デスクの話を切ったばかりの鈴刑事が慌てた取りで駆け寄ってきた。
「班! たった今、科学警察研究所から連絡がありました!」 「そうか、何と言っていた?」 「帳の内容の部を、特殊線とデジタル処理で復元することに成功したそうです。『』『客』という単語と共に、いくつかの名、そして数字の羅列がてきたとのことです」
田刑事のが、その報告を聴いた瞬に鋭くった。
「それで、復元できた具体な名は何だ?」 「『田』『子』。この2つの名がはっきりと読み取れるそうです」
広告
おすすめ作品
-
完結第21話
日本一情の深い父の裏の顔
妹がサービスエリアで姿を消して5年。全国を巡り「日本一情の深い父親」と称賛される父から、私は古いワゴン車を譲り受けた。だが車内の清掃中、妹の指定席だったシートベルトが事故の衝撃で「4センチ」伸びきっているのを発見する。さらに奥底から見つかったのは、刃物で切断された妹の防犯ブザーだった。父に問いただすと、かつてない冷酷な声で「今すぐ車を処分しろ」と脅され――。私は父の狂気と真実を暴くため、ある決断を下す。ミステリー|裡の顔|真相|行方不明3.1万字5 75 -
完結第13話
八百万円の泥棒とされた妹、九年目の審判
九年前に八百万円を持ち逃げして失踪したとされる妹。その金庫が、元婚約者の実家の庭、厚さ二十センチのコンクリート直下から未開封のまま掘り出された。 「腹いせに捨てたのよ」と喚く元義母だが、金庫の底にあった妹の携帯には、未送信の悲痛な下書きが残されていた。 泥棒の家族として親を失い、蔑まれて生きてきた姉・綾乃は、完璧に塗り固められた「被害者一家」の嘘と対峙することを決意する。真実|裡の顔|行方不明|金銭問題|修羅場2.0万字5 26 -
完結第25話
一度も抱かれなかった娘
出産翌日に姿を消した妻の代わりに、私は男手一つで娘を育ててきた。「母親は抱っこも拒んで逃げた」と言い聞かせ続けて五年。カルテの保管期限が切れ、産院に呼び出された私の前に置かれたのは、妻が失踪直前に提出した母子同室申請書と一枚のガーゼだった。申請書の最下段には私の拒否印が押されており、持ち帰った鞄からこぼれ落ちた布を拾い上げた五歳の娘は、ピンクの刺繍を指でなぞりながら私を見上げた。夫婦|真相|行方不明|親子関係3.8万字5 142 -
完結第19話
全員が揃えた同じ嘘
小学五年の秋、担任の女性教諭が突然退職し、学校は精神の病気だと説明した。だがその日の放課後、私を含めたクラス二十三人の児童は、それぞれの家庭で「先生は午後三時に帰りました」と全く同じ嘘を親に答えた。口裏を合わせた覚えはない。半年後、唯一何も言わずに転校していった無口な少女が、私の机の引き出しに一枚のメモを残した。そこには『先生は三時のとき、まだ地下室にいました』と記されていた。ミステリー|裡の顔|真相|行方不明2.8万字5 95