"90件の着信とハワイの海" 第1話
「これまで10、お疲れ様でした」
夕を終えたのリビングで、その言葉を聞いた瞬、私ので何かが完全に止まったような覚がありました。ソファに向かいって並んで座り、じっとこちらを見つめている息子の直哉と、その妻のリホ。2の表には、これまでの10で度も見たことのないようなたさが浮かんでいました。
私は沼クミ、68歳です。歯科士として30フルタイムで働き、定を迎えたも、週に3ほどパートタイマーとして勤務を続けてきました。10、直哉がリホさんと結婚したとき、「母さん、緒にもう。孫の面倒も見て欲しいんだ」と頼まれて世帯宅での同居活が始まったのです。
しかし、今の夕のリビングには、いつもと違う緊張した空気が流れていました。直哉は元の湯呑みを見つめた、私に線を戻してをきました。
「母さん、今は切な話があるんだ」
直哉の声は妙にく響きます。隣に座るリホさんが姿勢を正し、言葉を続けました。
「これまで、本当にありがとうございました」
リホさんがそう続けた瞬、胸に嫌な予が広がっていきました。そして、あの言葉です。
「もう僕たちだけで活したいんです。来末までに、このをていただけますか?」
静寂の、私の元には議と笑みが浮かんでいました。
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息子夫婦はその笑顔のをる由もなかったのです。あの笑顔には、確な理由がありました。
10、直哉が結婚したとき、私は世帯宅のとして500万円を援助しています。まれたばかりの孫の蒼太の世話もんで引き受けました。毎朝6に起きて夜8までおむつを替え、ミルクをませ、夜泣きにも対応する々です。リホさんが仕事に復帰できたのは私のサポートがあったからでした。掃除も洗濯も料理も、事のほとんどを私が1で担ってきました。
「ありがとう、母さん。本当に助かるよ」
当の直哉はそう言って謝してくれていたのです。けれど、蒼太が3歳になった頃からしずつ空気が変わり始めました。
「お母さん、その料理の付け、ちょっと古くないですか?」
リホさんの言葉がににトゲを持つようになっていきます。「掃除のやり方、もっと効率にできませんか?」「蒼太の教育方針にししないでください」と、謝の言葉は減り、ダメしばかりが増えていきました。それでも私は息子族のためだとってすべてを受け入れてきたのです。
2ほどからはさらに骨になりました。族旅に私だけ呼ばれない、事も別々、孫の授業参観もらされることはありません。お荷物扱いされているとじる瞬が確実に増えていきました。
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実は私は3から、 my 息子夫婦が私を邪魔だとっていることに気づいていました。
ある、リビングで本を読んでいたとき、台所から2の会話が聞こえてきたのです。
「いつまでお母さまと緒に暮らすの?」
リホさんの声が壁越しに届きます。直哉は「そう言われてもすぐにはな……」と濁していましたが、リホさんは続けました。
「もう蒼太もきくなったし、私たちだけで暮らしたいのよ」
その瞬、私ので何かがめていくのをじました。同に、ある決が芽え始めたのです。もし絶縁を言い渡されたら、んでていこう。そして本当の自由をに入れよう。そのから私は、自の机の奥で密かに準備を始めました。
そのから、私は息子夫婦に経済な恩を着せたくなかったため、それまで曖昧だった費や費をすべて自分で完全に負担するようにしました。切の依関係をち切りたかったのです。
次に自分の資産を確認しました。へき通帳をくと、そこには働いてきた証が刻まれています。退職が1200万円、貯蓄が800万円、計2000万円の自由資です。もに14万円あります。1できていくには分すぎる額でした。
そしてある、雑誌の「ハワイで暮らすシニアたち」という特集記事が目に留まりました。青い、い砂浜、そして何より誰にも縛られない自由な活。
ページをめくるたびに胸が鳴っていきました。
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