"味噌かめの下に眠った七年" 第4話
。両子は数にそれを引き取りにやってくると、包んでいたきな呂敷包みをののゴミ箱のに平然と投げ捨て、そのままちった。
さらにその2、鈴氏のの庭の片隅から黒い煙がモクモクとちった。隣の林氏は、猛暑のに両子が鉄製のドラム缶のに直でち、に何かを投げ入れて激しく燃やしている姿を目撃している。その異様な煙は1以も続いた。それから1週、両子は鈴氏名義の古いトラックを配品回収業者に引き渡し、現2万円を受け取った。業者の主は、荷台の奥に何かが激しく擦れたような傷跡がいくつもあったことを記憶していた。
クリーニングへの持ち込み、ドラム缶での焼却、そしてトラックの処分。これらはすべて、両子が鈴氏の失踪、わずか数のに完璧に処理したものだった。警察は何も見ていなかった。鈴製造氏の名は、失踪者名簿の片隅に静かに埋もれていった。
それから無にも歳は流れた。鈴製造氏が姿を消してから1が経過したとき、両子は庭裁判所に対して鈴氏の「失踪宣告」の申してを提した。認症患者による徘徊という特殊性を理由に申請し、裁判所は翌の、鈴製造氏に対する失踪宣告をした。法に彼は完全にした物となった。
広告
その判決文がた、両子はで嬉しそうにおかずをお代わりしながら1で夕をべていたという。
その、鈴氏の名義で残されていた商業ビル2棟とが、順番に彼女と夫である浩の名義へと移転されていった。ビルはすぐさまリフォームされ、賃収入は2倍にねがった。郊のは価が3倍以に値がりした絶妙なタイミングで売却された。それらはすべて、かつて鈴氏がに「孫たちの名義に変更したい」「社会福祉団体にすべて寄付したい」と言っていた財産そのものであった。
夫の浩はその売却益を元にしい産管理会社を興し、の分譲代事業へとを広げて繁盛させた。浩は元の商会議所の集まりにも顔をし始め、名士気取りで脈を広げた。妻の両子もPTAの役員を引き受け、域社会において「非常に誠実で、仕事のよくできる派な夫婦」として誰もが疑わないになっていた。
しかし、周囲が華やかな夫婦を称賛する方で、渡辺造氏だけは納得がいかず、警察や周囲に「施設にそんな老は入所していない、絶対におかしい」と何度も訴え回っていたが、周囲からはややかな線を向けられるだけだった。また、方にんでいた実の娘の正子も、両子から「面会は医師から固く禁じられている」
広告
と言われ、いその言葉を信じるしかなかった。正子は毎晩のように、古い自宅の柿のので父親が苦しそうに何かを言おうとしているを見ていたという。
表向きは理な主婦として婦会などに参加していた両子だったが、くで見ている々の目にはしずつ違が見え始めていた。
何よりも真っ先に隣民の目に留まったのは、彼女がしく引っ越した級マンションのベランダの片隅に置いた、異様なほどきな3つの「噌かめ」のであった。ベランダが狭く洗濯物を干すスペースさえしている状況であったにもかかわらず、両子はその3つの噌かめだけは絶対に捨てようとはしなかった。隣の民の田氏が「わざわざあんなきな噌まで持ってこられたのですね」と軽く尋ねると、両子は表を凍りつかせ、「これは、何があっても絶対に捨てられません」とくをるような声で答えたという。
さらに、夫の浩も妻の奇妙な点に気づいていながら、らないふりをしてきていた。浩はこのように陳述している。「夜、隣のベッドで寝ていると、妻が突然ガバッと真に起きがって直で座り込むことが頻繁にありました。目は完全に閉じたままで、暗に向かって何かを必にブツブツと呟いていました。
度だけ、寝言ではっきりと『どうして、そんな目で私を見るのよ!』と言ったことがありました」
広告
おすすめ作品
-
完結第21話
日本一情の深い父の裏の顔
妹がサービスエリアで姿を消して5年。全国を巡り「日本一情の深い父親」と称賛される父から、私は古いワゴン車を譲り受けた。だが車内の清掃中、妹の指定席だったシートベルトが事故の衝撃で「4センチ」伸びきっているのを発見する。さらに奥底から見つかったのは、刃物で切断された妹の防犯ブザーだった。父に問いただすと、かつてない冷酷な声で「今すぐ車を処分しろ」と脅され――。私は父の狂気と真実を暴くため、ある決断を下す。ミステリー|裡の顔|真相|行方不明3.1万字5 75 -
完結第13話
八百万円の泥棒とされた妹、九年目の審判
九年前に八百万円を持ち逃げして失踪したとされる妹。その金庫が、元婚約者の実家の庭、厚さ二十センチのコンクリート直下から未開封のまま掘り出された。 「腹いせに捨てたのよ」と喚く元義母だが、金庫の底にあった妹の携帯には、未送信の悲痛な下書きが残されていた。 泥棒の家族として親を失い、蔑まれて生きてきた姉・綾乃は、完璧に塗り固められた「被害者一家」の嘘と対峙することを決意する。真実|裡の顔|行方不明|金銭問題|修羅場2.0万字5 26 -
完結第11話
「子どもを産めない」と捨てられた妻の逆転
結婚前は優しく誠実だった夫・誠。 しかし結婚後、彼の本性は少しずつ姿を現していった。 子どもを望めない妻を「役立たず」と罵り、家では暴言を浴びせながら、自分は若い女性との時間を楽しむ。 かな子は「自分が悪いのだ」と耐え続け、愛した人との生活を守ろうとしていた。 だが、ある夜、夫の裏切りを示す決定的な証拠を見つける。 そして離婚を決意したかな子のもとに、長年知らされていなかった父からの連絡が届く。 そこで明かされたのは、彼女自身も知らなかった巨大な財産と、人生をやり直すための力だった。 すべてを失ったと思っていた妻が、実は何も持たない弱者ではなかったと知った時――。 誠の傲慢な要求と、隠されていた真実が次々と崩れ始める。 愛だと信じた結婚の終わりから、かな子の本当の人生が始まる。夫婦|第二の人生|不倫1.6万字5 397 -
完結第20話
祖母は十二年年賀状を書いてない
八十歳を迎えた祖母のため、私はいとこたちと過去十二年分の年賀状を集めて記念のアルバムを作った。毎年元旦に届く「元気に暮らしています、トマトがたくさん実りました」という三行は、遠方で暮らす私たちが実家の無事を疑わずに済む確かな証拠だった。だが親戚一同が集まる祝宴の席でアルバムを開いた瞬間、祖母は整った文字を見つめ、十二年間一度も年賀状など書いていないと言い放った。親族の視線が一斉に、実家の近くで暮らす叔母へと向かう。孤獨|親子関係|介護|認知症3.0万字5 98 -
完結第18話
ゴミ箱の隣に座る学年一位
学年1位を守り続けてきた娘が、二学期に入ると突然一番後ろの席に移動させられ、学級委員長も外された。何か処分を受けたのかと学校へ詰め寄る私に、娘は「この席でいいの」とだけ言い、何も説明しようとしない。納得できないまま迎えた参観日、教室の後ろに立つ私は、娘の隣にぽつんと置かれた空っぽの机に気づいた。誰の席なのかと問い詰める私に、担任は教室の隅を見つめ、「娘さんが残してくれと頼んできたんです」と静かに告げた。怒り|真実|孤獨|親子関係|修羅場2.8万字5 161 -
完結第25話
一度も抱かれなかった娘
出産翌日に姿を消した妻の代わりに、私は男手一つで娘を育ててきた。「母親は抱っこも拒んで逃げた」と言い聞かせ続けて五年。カルテの保管期限が切れ、産院に呼び出された私の前に置かれたのは、妻が失踪直前に提出した母子同室申請書と一枚のガーゼだった。申請書の最下段には私の拒否印が押されており、持ち帰った鞄からこぼれ落ちた布を拾い上げた五歳の娘は、ピンクの刺繍を指でなぞりながら私を見上げた。夫婦|真相|行方不明|親子関係3.8万字5 142 -
完結第22話
母は死んだと書いた娘
夫の連れ子だった八歳の娘を引き取り、七年間毎朝弁当を作り、熱を出せば夜通し看病を続けてきた。ぎこちなくとも穏やかに暮らしてきたはずの中学三年の秋、担任に呼び出された私は、娘が提出した調査票を見て言葉を失った。家族欄には「実母は七年前に他界、父と二人のみで生活」と書かれ、私の名前は存在すら消されていた。裡切られた|夫婦|孤獨|修羅場3.3万字5 7389 -
完結第13話
二十七年目の嘘
58歳で急死した夫の遺品を整理していた美智子は、引き出しの奥から27年前の「採用内定通知書」を見つける。当時不合格だと思い込んでいた東京の出版社からのものだった。封筒の裏には夫の筆跡で「辞退連絡済」。夫はなぜ私の人生を勝手に奪ったのか。さらに、夫の出世作となった伝説の住宅企画が、かつて自分が書いた企画ノートそのものだったことを知る。奪われた名前と人生を取り戻すため、妻が下した決断とは。人生逆転|夫婦|真実|第二の人生|親子関係2.0万字5 57 -
完結第19話
全員が揃えた同じ嘘
小学五年の秋、担任の女性教諭が突然退職し、学校は精神の病気だと説明した。だがその日の放課後、私を含めたクラス二十三人の児童は、それぞれの家庭で「先生は午後三時に帰りました」と全く同じ嘘を親に答えた。口裏を合わせた覚えはない。半年後、唯一何も言わずに転校していった無口な少女が、私の机の引き出しに一枚のメモを残した。そこには『先生は三時のとき、まだ地下室にいました』と記されていた。ミステリー|裡の顔|真相|行方不明2.8万字5 95