"消えた一人分の席" 第4話
ワインの瓶。デザート皿。
自分たちを追いしたあとも、楽しく続けていたのだろう。
由の母親が骨に嫌そうな顔をする。
「あら、また来たの?」
理子は答えず、ファイルをいた。
「まず確認です。このの、誰の名義かごですか?」
由が眉をひそめる。
「何言ってるんですか? 裕也たちのに決まってるでしょう」
「いいえ、違います」
理子は登記簿をテーブルへ置いた。
「は、夫・誠の名義です」
空気が凍った。
由の顔が変わる。
「え……?」
「建物は裕也さん名義。でも代は払っていません。無償で貸していただけです」
由の父親が裕也を振り返った。
「お……そんな話、度も」
裕也は線を逸らした。
「言えなかったんだよ……」
理子は続けた。
「さらに、こちらが援助記録です」
百万円の結婚資。
百万円の。
毎万円、。
「計千万円い援助になります」
由の父親が絶句する。
「そんなに……?」
「宅ローンの連帯保証も私たちです」
理子は静かに言った。
「ですが、本をもって全て止します」
「え?」
裕也が顔をげる。
「毎の送は終。族カードも止済みです。保証解除の申請もいます」
「ま、待ってくれ!」
裕也がちがった。
「そんなことされたら、俺たち……!」
「お荷物はいらないのでしょう?」
理子の声は静かだった。
「のに払ってもらう理由はありません」
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そして最に、け渡し通を取りした。
「ヶ以内にをけ渡してください」
由が青ざめる。
「そんな……!」
「ののに、いつまでもめませんから」
由の父親が、娘を鳴った。
「おたち、体何をしてたんだ!」
由が泣きそうな顔で裕也を見る。
裕也は崩れるようにへ膝をついた。
「母さん、ごめん……!」
理子は、その姿を静かに見ろしていた。
裕也はに額をつけたまま、震える声をした。
「母さん、お願いだ。許してくれ……!」
由も泣きながらをげる。
「お母さん、ごめんなさい……! 全部、私が悪かったんです!」
数。
このは、理子を“お荷物”と呼んだ。
“の”と呼んだ。
キッチンのカウンターでえた残り物をべさせようとしていた。
その景が、理子の脳裏に鮮によみがえる。
理子はを見ろした。
「今さら謝られても、もう遅いのよ」
由が涙を流しながら叫ぶ。
「お願いです! てけなんて、本気じゃ……!」
「本気だったでしょう?」
理子の声は静かだった。
「陽太くんに、おばあちゃんは族じゃないって言ったのは、あなたよ」
由は言葉を失った。
誠もへる。
「俺たちは、おたちのために全部使ってきた。ももも」
誠の拳が震えていた。
「それなのに、おたちは俺たちを捨てようとしたんだ」
裕也は泣きながら首を振る。
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「違うんだ、父さん……!」
「違わない」
誠はく言った。
「おは自分ので、“もう来ないでくれ”と言った」
由の父親が娘を睨みつける。
「様にそこまで援助してもらっておいて、何様のつもりだ!」
由の母親も顔を伏せていた。
「本当に恥ずかしい……」
理子は、ゆっくり息を吐いた。
りはもうなかった。
あるのは、静かな終わりだけだった。
「因果応報って言葉をっていますか?」
裕也が顔をげる。
「を傷つければ、いつか必ず自分に返ってくる」
理子は淡々と言った。
「今夜、あなたたちはそれを学んだのよ」
そして理子は、踵を返した。
誠もろへ続く。
背では、裕也と由の泣き声が響いていた。
玄関をる。
夜が頬を撫でる。
誠がさく息を吐いた。
「……終わったな」
理子は夜空を見げた。
「ええ。終わったわ」
へ乗り込む。
バックミラーので、息子ののかりがざかっていった。
ヶ。
理子と誠は、温泉くのさなマンションへ引っ越していた。
窓からは々が見える。
朝は鳥の声で目覚め、夜には満の空が広がる。
援助に使っていたおは、今は自分たちののために使われていた。
温泉旅。
陶芸教。
旅。
州旅の計画。
理子は、初めて“自分たちのためだけの”をきていた。
方で、裕也夫婦は破綻した。
援助は止まり、宅ローンも滞り始めた。
は誠名義。
結局、を放すことになったという。
々、裕也から話が来る。
「母さん、もう度だけ……」
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