"臨月サウナ監禁" 第1話
「私たちの優秀な息子をたぶらかして奪った罪、そこで自分の罪を反省することね」
ガチャリ、というたい属音が脱所に響き渡り、それに続いて、カチリと側から何かが施錠されるな音がなった。その言で、私の周りの空気が瞬にして凍りついた。気なほどの静寂が全体を包み込んでいく。臨のきなお腹を両で抱えた私、カナが閉じ込められたのは、の届かない暗く狭い庭用サウナのだった。
だがこの、サウナので笑いをしているエリート義両親は、る由もなかった。5泊7の豪遊旅から帰宅した彼らが、この扉をけた瞬に、自分たちのが完全に終わるほどの絶望な獄を目の当たりにすることになるなんて。
現28歳の私は、お腹に臨を迎え、いつまれてもおかしくないしい命を宿していた。夫の匠とは職で会い、3の交際を経て結婚した。彼は誰もがる総商社に勤めるエリートで、優しく、私とこれからまれてくる子供のことを何よりも切にしてくれている。しかし、私たちの幸せな結婚活には、1つだけどうしようもなく苦しい暗がち込めていた。それが、匠の両親、つまり私の義理の両親のだった。
義父は元メガバンクの役員であり、定退職した今でもプライドの塊のような男で、自分のい通りにならないを見す酷な性格だった。
広告
義母もまた、代々続く資産の系にまれ、「うちは選ばれた特別な族」という烈な選民識を持っていた。
「どこの馬の骨とも分からない、しがない般庭の女なんかが、うちの匠の嫁になれるとでもっているの?」
結婚の挨拶にった、義母から浴びせられた氷のような線と、を虫ケらのように扱う言葉の数々を、私は今でも忘れない。その、私はグッと唇を噛み締め、沈黙を貫くしかなかった。ここで言い返せば匠に迷惑がかかる。そうってただじっと耐える私の態度が、逆に義両親の気に障ったらしい。
「俺はカナと結婚する。親父とお袋が反対するなら、もう2度とこのの敷居は跨がない」
匠が退を断つ覚悟で啖呵を切ってくれたおかげで、私たちはなんとか結婚できた。だが、それが義両親の逆鱗に触れたのだ。あの忌々しい女が私たちから最の息子を奪った、そう勝に逆みした2は、匠が張でいないを見計らっては、私に湿な嫌がらせを繰り返すようになった。
そして今、匠はなプロジェクトのため、1週の張でを空けていた。
「のあなた1じゃ配だから、伝いにってあげるわ」
そんな々しい連絡と共に、義両親が突然アポなしでがに押し掛けてきたのは、昼がりのことだった。
広告
断ることもできずににあげると、義母はリビングを見渡し、わざとらしくきなため息をついた。
「相変わらず埃っぽいね、匠がかわいそうに。ねえ、カナさん、あなたずっとにいるくせに、掃除もまともにできないわけ? だから教養のない女は困るのよ」
義父も隣で腕を組みながら、で笑った。
「ふん。どうせ1ソファでゴロゴロして、息子の稼ぎをいつぶしているんだろう。図々しい女だ」
私はきなお腹を労りながら、反論したい気持ちを必に抑え込み、またしても沈黙を守った。
「すみません……。しお腹が張って、くのが辛くて……」 「言い訳ばかりね。そうだわ、せっかく私たちが来てあげたんだから、普段の回らないところを掃除しなさい。ほら、脱所の奥にあるサウナよ」
がには、サウナ好きの匠が奮発して設置した派な庭用サウナがあった。2がギリギリ入れる程度の広さで、今は私が妊娠で使えないため、源は切ってある。
「でも、あのは狭くて、臨のお腹ではきが取れません」
私がそう訴えると、義父が顔を真っ赤にして鳴りつけた。
「答えする気か! いいからくに入って、隅から隅まで拭き掃除をしろ! できないなら今すぐ息子と婚して、このからてけ!」
凄まじい剣幕に押され、私は震えるで雑巾を持ち、暗いサウナのへとを踏み入れた。
広告
おすすめ作品
-
完結第11話
九時三十四分の地下鉄、消えた暴行犯
午前九時三十四分、地下鉄の車内で若い男が突如狂乱し、中年客の顔面を骨が軋むほど殴打した。床一面に飛び散る鮮血。だが、隣に座る同じ社章をつけた上司は、ただ口をあわあわと震わせ「腰を抜かして」座り込むだけだった。乗客たちと男を取り押さえ、駅員にすべてを通報した俺。しかし翌日、警察の発表も新聞の三面記事も、この凄惨な事件を「最初から存在しなかった」かのように完全に黙殺していた。なぜあの凄惨な暴力は一行も報道されず、駅の防犯カメラ映像すら消去されたのか。数年後、俺はある大手企業の役員名簿の中に、あの朝、冷たいホームの柱にすがってガタガタと震えていた「あの上司」の顔写真を見つけ、息を呑んだ――。ミステリー|真実1.6万字5 101 -
完結第25話
底辺受付嬢を見下す役員たちの誤算
父の会社は、最も信頼していた人間の裏切りによって無惨に食い物にされた。巨額の負債を背負い、絶望の中で病に倒れた父。私はその冷酷な真相を暴くため、ハーバード大の博士号を隠し、ただの「受付嬢」として敵の中枢である星空グループに潜入した。 誰からも見下され、理不尽な侮辱に耐え忍ぶこと3年。息を潜めて集めた証拠が示したのは、あまりにも残酷な真実だった。父を破産に追い込み、私から全てを奪った黒幕の正体は、父が家族のように慕っていた古参役員だったのだ。 「黒幕は役員会の中にいる」――私を守るため、父が命懸けで残してくれた最期のメッセージを知った時、胸の奥の悲しみは絶対的な冷酷さを持つ復讐の炎へと変わった。私の素性を知る新社長のハルトや、父の旧友たちと共に、私は決して逃れられない完璧な包囲網を密かに築き上げていく。 そして迎えた運命の役員会。全てを掌握したと信じ、私の前で勝ち誇る黒幕。だが彼はまだ知らない。無力な受付嬢だと思っていた私が、彼を社会的死の淵へと突き落とす致命的な罠を仕掛けていたことを。仮面を脱ぎ捨てた時、強欲な悪魔を地獄の底へと引きずり下ろす、容赦なき反撃が幕を開ける――。因果応報|真相|修羅場3.8万字5 1809 -
完結第19話
三十二人目の卒業写真
教職を退いた夜、三十年前に送り出した最初の教え子たちが開いてくれた送別会で、私は三十一人分の感謝の手紙を受け取った。だが自宅で数え直すと、名簿にない三十二通目の白い封筒が混ざっていた。便箋には「全員が卒業しました。私一人を残して」とだけ記されていた。翌日、私が困惑して生徒たちに当時の記憶を尋ねると、誰もが存在を否定し、深夜の受話器の向こうから「あの子のこと、墓場まで隠し通すつもりですか」昭和|ミステリー|因果応報|真相2.8万字5 176 -
完結第12話
社長夫人と平社員の妻
夫が勤める製造会社の先代社長の遺児であり、全株式の六割を握る筆頭株主である白石遥。彼女はその正体を隠し、現場社員の妻として慎ましく暮らしていた。しかし、先代の跡を継いだ新社長の妻・藤崎麗華は、夫が平社員である遥を見下し、婦人会の席で髪を掴んで「奴隷」と罵倒する。耐えかねた遥が「では、社長を解任します」と告げると、麗華はあざ笑うのだった。数日後、遥の名の入った「臨時株主総会招集請求書」が会社に届き、夫が密かに集めていた四千万円の不正流用の証拠が突きつけられる。窮地に陥った社長夫婦の前に、本当の支配者の正体が暴かれるとき、冷酷な因果応報の幕が上がる。職場逆転|因果応報1.8万字5 228 -
完結第21話
十年前に死んでいた夫
病に倒れた夫を十三年間看取り、質素な火葬を終えた私は、医療記録の精算のため大久保総合病院の窓口へ向かった。だが職員から告げられたのは、データベースに夫の名はなく、提示した診察券は十年前に死亡した二十代の別人の番号だという宣告だった。半乱心で戻ったアパートを捜索するも、夫名義の保険証も免許証も通帳すら一枚も見当たらない。十三年間私の隣で息をしていた男の痕跡が、この世のどこにも存在しない現実に立ち尽くした。ミステリー|夫婦|介護|修羅場3.1万字5 2982 -
完結第22話
恩人弁護士の不可解な書類
満員電車の切り取り動画で炎上し、派遣先を不当解雇された私を、着手金ゼロで救ってくれたのは小さな事務所の弁護士だった。彼の尽力で示談を勝ち取り日常を取り戻した二ヶ月後、私は元上司のパワハラを訴えた見知らぬ後輩の裁判資料を目にする。そこには、私が弁護士の相談室で泣きながら話したはずの告白が、そのまま証拠として並んでいた。震える手で開いたその裁判記録の送達先には、私を救った恩人弁護士の事務所名が記されていた。職場逆転|因果応報|裡切られた|怒り3.4万字5 395 -
完結第14話
年商一兆円の父にワインをかけた婚約者
創業家の御曹司との顔合わせ当日。ボロ車で駆けつけた私の父を見た義母は、「貧乏人の娘が」と父の頭から赤ワインを浴びせかけた。婚約者も冷笑し、父を詐欺師呼ばわりしてロビーで土下座を迫る始末。 だが、父は一言も取り乱さず、静かにワインを拭った。 「この縁談はなかったことに」 指輪を投げ返し、父の向かった先は日本中が恐れる巨大財閥の最上階。傲慢な親子が信じていた“金と権力のルール”で、静かな断罪劇が幕を開ける。因果応報|人生逆転|金銭問題|修羅場2.1万字5 129 -
完結第12話
午前五時の朝餉
母・加奈子を理不尽に追い出して七日目の朝。二重ロックで施錠されたはずの台所で、炊飯器のランプが黄色く灯っていた。「保温:28分」。蓋を開けると、湯気を立てる筍ご飯と、包丁立てから消えた一番重い三徳包丁。電源を抜いても、暗証番号を変えても、毎朝午前五時に届き続ける温かい米。やがて米の底から現れた“ある金属片”を境に、父と祖母の顔から血の気が引いていく。母はどこから入り、この家で何を見つめているのか。因果応報|嫁姑|真実|修羅場1.8万字5 1024 -
完結第12話
左足だけの靴箱
隣室の吉岡さんが部屋で亡くなった。付き合いのなかった老人の遺品整理に立ち会った彩香は、業者から「故人の遺言」として段ボール箱を手渡される。中に入っていたのは、彩香が過去5年間に自宅の玄関から消えたはずの「左足の靴」12足。そして、それと対になる新品の右足の靴。靴底をめくると、そこには夫が「深夜残業」と偽っていた日付のタクシー領収書が隠されていた。妻が知ることになる、5年前の事故と夫の病的な贖罪の真相とは。ミステリー|夫婦1.8万字5 47