"リンゴ畑の骨" 第3話
捜査チームは記を青森県警本部へ持ち込み、部関の捜査支援を請した。記の分析により、渡辺が1987のある夜、じ子さんを畑の自分のに呼びし、脅していた事実が浮かびがった。記にかれた助けを求める話と、畑での最のが繋がるのだ。
刑事たちは倉庫、畑、の証言を理し、渡辺のアリバイの矛盾と記の内容が致することを確認した。さらに、稽古子や吉田の証言、松本運転のの目撃報もなり、事件の輪郭がはっきりし始めた。12の沈黙を経て、じ子さんの失踪に関わる真実の片鱗が、ついに刑事たちの元に届いたのである。
刑事たちは渡辺の所する畑に到着した。空は曇り、がわずかに稲穂を揺らす。本刑事は線をに落とし、の表面を慎に観察した。畑の片隅、柿ののに、わずかにが沈んでいる箇所を見つけた。「ここだ」と刑事が声を潜めた。
スコップをに取り、慎にを掘り返す。最初は乾いた面が固く、応えもい。だが掘りめるにつれて、布切れの触がに伝わった。刑事たちは息を詰め、さらに掘りめた。ついに、箱のから骨の部が現れた。
本刑事は膝をつき、袋越しに骨を触れ、慎に取りす。刑事が骨の周囲を写真に収め、標識を設置する。
広告
が々を揺らし、くで鳥の鳴き声が響く、12の劇が再び現実のものとして浮かびがった。
骨の隣には、のイヤリングがつ置かれていた。じ子さんが常ににつけていたものだと、徹也はすぐに認識した。彼はで顔を覆い、肩を震わせながら号泣した。12もの、妹がので孤独に眠っていた事実が、を押し潰す。刑事たちは互いに無言で頷きった。
その、科学捜査研究所による鑑定で、骨は20代女性のもので、じ子さん本であることが確定した。畑のが、12の沈黙を守り続けていたのだ。刑事たちは証拠を押収し、青森県警本部に報告した。
翌、刑事たちは夫を病院に訪ねた。彼は夜、渡辺から連絡を受けて農園に向かっていたが、恐怖のあまり途で引き返していたと話した。本刑事は静かに子を引き、夫の隣に座る。夫は目を閉じ、を組んだまま静かに息をえた。
「渡辺がじ子さんにづいたのは1987のです。私はそれをっていました。でも、恐ろしくて、何もできませんでした」と、夫は声を震わせた。刑事たちは黙って頷き、彼の告を最まで聞いた。
渡辺の脅しにより、じ子さんは夫のを守るため、自ら犠牲となったことがらかになる。夫の無力と罪悪、12の葛藤が静かに刑事たちの胸に響く。
広告
彼は、妹を守ることはできなかったが、事件解決の糸を刑事たちに提供した物でもあった。
1999。
神奈川県川崎。
業帯の角にある建設現では、朝から鉄骨を打つ音が響いていた。
汚れた作業着を着た男が、黙々と資材を運んでいた。
男の名は田信。
そう名乗っていた。
しかしそれは偽名だった。
本当の名は渡辺茂夫。
1987に青森で失踪したじ子さん事件の指名配犯だった。
渡辺は逃活に慣れていた。
福岡へ逃げた。
へ移った。
そのは神奈川へ流れ着いた。
民票もまともに置かず、雇い仕事を転々とする。
誰ともく関わらない。
酒もまない。
女も作らない。
ただき延びることだけを考えていた。
だがは歳を取る。
46歳だった男は58歳になっていた。
顔の輪郭は変わり、髪もくなった。
それでも完全には別になれなかった。
その。
昼休憩だった。
作業員たちは缶コーヒーをみながら雑談していた。
そのの。
50代の作業員が何気なく聞の折り込みチラシを見ていた。
警察が配布した未解決事件特集。
そこに載っていた古い写真。
作業員は何度も写真と渡辺の横顔を見比べた。
違が胸に残った。
そのの夜。
彼は公衆話から警察へ通報した。
「昔の指名配犯に似てる男がいるんです」
数。
現に刑事たちが現れた。
渡辺は瞬で察した。
終わった。
そうった。
刑事がづく。
「田信さんですね」
渡辺は返事をしなかった。
広告
おすすめ作品
-
完結第21話
日本一情の深い父の裏の顔
妹がサービスエリアで姿を消して5年。全国を巡り「日本一情の深い父親」と称賛される父から、私は古いワゴン車を譲り受けた。だが車内の清掃中、妹の指定席だったシートベルトが事故の衝撃で「4センチ」伸びきっているのを発見する。さらに奥底から見つかったのは、刃物で切断された妹の防犯ブザーだった。父に問いただすと、かつてない冷酷な声で「今すぐ車を処分しろ」と脅され――。私は父の狂気と真実を暴くため、ある決断を下す。ミステリー|裡の顔|真相|行方不明3.1万字5 75 -
完結第13話
八百万円の泥棒とされた妹、九年目の審判
九年前に八百万円を持ち逃げして失踪したとされる妹。その金庫が、元婚約者の実家の庭、厚さ二十センチのコンクリート直下から未開封のまま掘り出された。 「腹いせに捨てたのよ」と喚く元義母だが、金庫の底にあった妹の携帯には、未送信の悲痛な下書きが残されていた。 泥棒の家族として親を失い、蔑まれて生きてきた姉・綾乃は、完璧に塗り固められた「被害者一家」の嘘と対峙することを決意する。真実|裡の顔|行方不明|金銭問題|修羅場2.0万字5 26 -
完結第25話
一度も抱かれなかった娘
出産翌日に姿を消した妻の代わりに、私は男手一つで娘を育ててきた。「母親は抱っこも拒んで逃げた」と言い聞かせ続けて五年。カルテの保管期限が切れ、産院に呼び出された私の前に置かれたのは、妻が失踪直前に提出した母子同室申請書と一枚のガーゼだった。申請書の最下段には私の拒否印が押されており、持ち帰った鞄からこぼれ落ちた布を拾い上げた五歳の娘は、ピンクの刺繍を指でなぞりながら私を見上げた。夫婦|真相|行方不明|親子関係3.8万字5 142 -
完結第19話
全員が揃えた同じ嘘
小学五年の秋、担任の女性教諭が突然退職し、学校は精神の病気だと説明した。だがその日の放課後、私を含めたクラス二十三人の児童は、それぞれの家庭で「先生は午後三時に帰りました」と全く同じ嘘を親に答えた。口裏を合わせた覚えはない。半年後、唯一何も言わずに転校していった無口な少女が、私の机の引き出しに一枚のメモを残した。そこには『先生は三時のとき、まだ地下室にいました』と記されていた。ミステリー|裡の顔|真相|行方不明2.8万字5 95