"別室で食べてと言われた母" 第3話
私は静かに座り直した。
その瞬。
何かがしずつ壊れ始めていた。
だが私はまだ諦めなかった。
いつか分かってくれる。
族だから。
そう信じたかったのだ。
その希望だけを抱いて。
卓から追いされた夜。
私は客で眠れずにいた。
計を見る。
夜を過ぎていた。
リビングから笑い声が聞こえる。
私は布団ので目を閉じた。
だが眠れない。
やがて会話が聞こえてきた。
最初は聞くつもりはなかった。
しかし。
自分の名が聞こえた瞬。
私はわずちがってしまった。
静かに客の扉をく。
そして廊でを澄ませた。
「やっと母さんもしくなったな」
匠だった。
その声には堵が混じっていた。
「本当よ」
真美さんが続ける。
「正直、お母さんがいない方が族団らんできるのよね」
胸が締め付けられた。
だがまだ終わらなかった。
「そうだな」
商事が言った。
「陽子がいると雰囲気がくなる」
私は息を止めた。
夫まで。
さらに話は続く。
「いつまでこの状態を続けるの?」
真美さんが言う。
「毎週来られても困るし」
そして。
商事が声を潜めた。
「実はいい話がある」
私は無識にドアノブを握り締めた。
「陽子の実のな」
その瞬。
嫌な予がった。
「千万円以で売れるらしい」
真美さんが興奮した声をげた。
「本当ですか?」
「だから施設に入ってもらうんだ」
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私は凍り付いた。
施設。
その言葉がので反響した。
「認症検査を受けさせる実を作ればいい」
商事は平然と言った。
「陽子のと貯で施設代は払える」
私は震えた。
だがりより先に。
何かがえていった。
「お母さんはお荷物でしょう?」
真美さんの声。
「確かにな」
匠の声。
「母さんがいると窮屈だし」
その瞬。
私は悟った。
もう終わりなのだと。
このたちは私を族だとっていない。
利用価値だけで見ている。
涙はなかった。
代わりにが静かになっていった。
もう分だ。
私は客へ戻った。
気を消した。
そして暗ので決した。
この族に。
私の本当の価値を教えてやる。
度と見されないために。
翌朝。
私はいつも通りの顔で朝をべた。
誰も昨夜のことには触れない。
私も何も言わなかった。
しかしのでは決が固まっていた。
自宅へ戻った私は。
真っ先に庫をいた。
通帳。
権利。
証券会社の資料。
すべてを机に並べる。
それから付きいのある弁護士事務所へ向かった。
「財産理をしたいんです」
私の言葉に。
加藤先は静かに頷いた。
私は昨夜聞いた話をすべて説した。
先は最まで黙って聞いてくれた。
そして言った。
「それは酷いですね」
私は類を広げた。
退職千万円。
実の千万円。
株式千万円。
計億千万円以。
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すべて私個の財産だった。
商事とは昔から別管理だった。
「法に問題ありません」
先ははっきり言った。
「すべて佐々さんの自由です」
私はく息を吐いた。
胸につかえていたものがし軽くなる。
「族には円も渡したくありません」
先は静かに頷いた。
私はその。
へった。
証券会社へった。
引っ越し業者を配した。
さらに実の兄夫婦へ連絡した。
皆。
私を歓迎してくれた。
その温かさに。
私は何度も涙をこらえた。
夜。
でワインをけた。
グラスので赤い液体が揺れる。
「もう終わりにしましょう」
誰に聞かせるでもなく呟いた。
お荷物。
用済み。
そう言ったのはあのたちだ。
ならば私は消えてあげる。
ただし。
財産も。
尊厳も。
も。
すべて持ったままで。
私は静かにグラスを傾けた。
それは別れの乾杯だった。
そして。
しいの始まりの乾杯でもあった。
決別のは、っていたよりも穏やかな朝だった。
曜。
私はいつものように息子のへ向かった。
玄関のチャイムを押すと、真美さんがてきた。
いつもと変わらない笑顔だった。
「お母さん、いらっしゃい」
私はその顔を静かに見つめた。
もう度と、このに客として来ることもない。
そううと議とは落ち着いていた。
「今もお部でゆっくりしてくださいね」
真美さんが言った。
私はさく首を振った。
「ありがとう。でも今は切な話があるの」
真美さんの表がわずかに曇った。
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