"別室で食べてと言われた母" 第4話
リビングへ入ると、匠と商事がテレビを見ていた。
私はバッグから封筒を取りし、テーブルのへ置いた。
「みんな、しをもらえるかしら」
匠が面倒そうに顔をげる。
「なんだよ母さん」
私はく息を吸った。
そして静かに言った。
「私、実へ帰ることにしたの」
部の空気が変わった。
匠の顔から笑みが消えた。
商事も聞を置いた。
「急に何を言いすんだ」
私はを順番に見た。
「先週、あなたたちの話を聞いたのよ」
誰もかなかった。
「お荷物だって。邪魔だって。用済みだって」
真美さんの顔が変わる。
匠は目を逸らした。
商事だけが鳴った。
「盗み聞きしたのか」
私は首を横に振った。
「違うわ。聞こえてしまったの」
しばらく沈黙が続いた。
そして私は封筒から類を取りした。
「今は報告に来たの」
匠がそうな顔になる。
「報告?」
「私の財産についてよ」
その言葉にの目が斉にいた。
私は静かに類を並べた。
退職千万円。
実の千万円。
株式千万円。
計億千万円以。
「これらは全部、私個の財産です」
の顔が変わった。
今までらなかったのだろう。
商事が慌ててをく。
「夫婦の財産だろう」
「違います」
私は即答した。
「全部、弁護士にも確認済みです」
匠の唇が震えた。
「母さん……」
私は最まで話した。
「これらの財産は、あなたたちには渡しません」
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その瞬だった。
の顔から血の気が引いた。
「待ってくれ!」
最初にちがったのは匠だった。
彼は私の腕を掴もうとした。
「母さん、話しおう」
私は歩ろへがった。
「何を話しうの?」
匠は焦っていた。
今まで見たことがないほど必だった。
「確かに僕たちも悪かった」
私は黙って聞いていた。
すると真美さんもをいた。
「お母さん、にならないでください」
。
その言葉に私はわず笑った。
「なのは誰かしら」
真美さんは言葉を失った。
私は静かに続けた。
「施設に入れる計画までてていたでしょう」
誰も否定しなかった。
商事だけが苦しそうに顔を歪めた。
「陽子、それは違う」
「違わないわ」
私は遮った。
「全部聞いたもの」
部は静まり返った。
そして真美さんが突然声を荒げた。
「でも私たちにも活があるんです!」
私は彼女を見た。
「そうね」
「宅ローンだってあるし」
「そう」
「将来だって考えないといけないし」
私は静かに頷いた。
そして言った。
「それはあなたたちの問題よ」
真美さんは絶句した。
今までなら。
私は折れていた。
していた。
でももう違った。
匠が苦しそうな顔をした。
「母さん、せめて援助だけでも」
私は笑った。
「援助?」
匠は頷いた。
私は彼の目を見つめた。
「お荷物に援助を頼むの?」
匠の顔が真っ赤になった。
あの。
自分たちがにした言葉だった。
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そのを初めて理解したのだろう。
私はバッグを持った。
もう話すことはなかった。
「今で終わりよ」
そう言ってちがった。
誰も止められなかった。
玄関へ向かう途。
私は度も振り返らなかった。
ろから聞こえたのは。
私を呼ぶ声ではなく。
の焦った論だった。
実へ戻ったの空は青かった。
久しぶりに帰った故郷は。
驚くほど静かだった。
兄夫婦が玄関で迎えてくれた。
「おかえり」
その言だけで。
私は涙がそうになった。
条件もなかった。
打算もなかった。
ただ帰ってきた族を迎えてくれた。
それだけだった。
数。
私は料理教の準備を始めた。
使っていなかった実のれを改装する。
調理台を入れる。
オーブンを設置する。
使い続けた包丁も並べた。
それだけで胸が鳴った。
。
料理だけを信じてきてきた。
その経験を誰かへ伝えたい。
そうった。
募集を始めると。
予以の反響があった。
元ホテル調理師。
本格フレンチ。
その板は像以にきかった。
最初の徒はだった。
次のには。
ヶにはを超えた。
教は連満席になった。
徒たちは真剣だった。
私の話を聞き。
技術を学び。
謝してくれた。
「先のおかげです」
その言葉が嬉しかった。
私は初めて気づいた。
必とされる所は。
無理に族のへ求めなくてもいいのだと。
世界はったより広かった。
私は毎忙しく働いた。
けれど苦しくなかった。
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