"24年目の手紙" 第8話
そして、ゆっくりとをきました。 「さん、ちなさい。ってちょうだい。あなたが膝まずく相は、私じゃないわ」
佐藤は啜り泣きながら、恐る恐る顔をげました。よし子の目にも涙が浮かんでいました。しかし、よし子はそれ以島や彼女を責める言葉をにせず、ただ言だけ、静かに呟きました。 「健……すごく怖かっただろうね」 自分が隣に裏切られていたことよりも、息子がその1だけでじたであろう恐怖を先に考える。それが母親でした。
翌、よし子はを切に抱え、交番を訪れました。応対した担当の刑事がを机に広げ、隅々まで詳しく調べました。すると、刑事はある奇妙な点を発見しました。の端に、ごくさな文字で1つの所がかれていたのです。それは、神戸の郊にある、すでに閉鎖された児童養護施設の所でした。さらに、刑事がの各段落の最初の文字をから順番につなぎわせた、そこから1つの名がはっきりと浮かびがったのです。 「な・か・じ・ま」
健はのに、巧妙な暗号を隠していました。自分を連れったの名を、誰かに見られるのを恐れて直接言葉にはせず、文字のに隠していたのです。 刑事がから顔をげ、真剣な表でよし子を見つめました。 「お母さん、ここからは々警察がきます」
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よし子はその言葉を聞いて、刑事のからをもう1度受け取りました。そして、健がいた最の、 「お母さんの息子、健より」 という文字を再びおしそうに見つめました。24が経っても、健は変わらず自分の息子でした。族という名で結ばれた絆は、も距も、断ち切ることはできなかったのです。健はくれていても、お母さんのを放さずにいました。そしてよし子もまた、24、健のを決して放しませんでした。その2つの絆が今、しずつ互いに向かって引き寄せられ始めていたのです。
のの暗号が警察によって確認されると、捜査が気にき始めました。島――神戸帯で善でられていた児童養護施設の院。恵まれない子供たちを世話する社会事業として、町の々の尊敬をに集めていた物。しかし、警察が過の古い記録を調べ始めると、その善の仮面の裏から、全く別の恐ろしい顔が浮かびがってきました。
島が運営していた施設は、1983に突然閉鎖されていました。閉鎖当、関連類の部分が焼失した状態でした。当は災が原因だとされていましたが、警察の再捜査により、証拠隠滅のために図に償却されたことが判したのです。警察は残されたわずかな記録を1つ1つ洗いし始めました。
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島自はすでに1995にこの世をっており、彼を直接法廷にたせることはできませんでした。しかし、彼と共に働いていた悪質なブローカーの部がまだきていました。警察は彼らの追跡を始したのです。
同に、法養子縁組の被害者支援団体が、健の現の居所をアメリカ国内で把握する作業に乗りしました。その過程で、驚くべき実態がらかになりました。1975から1982のに、神戸や阪の貧しい町で方になった子供たちの部が、島の施設を経由していたという確実な状況証拠がてきたのです。子供たちはアメリカ、ドイツ、オーストラリアなどへと送られていました。表向きは養子縁組の法な形を取っていましたが、実際には類を巧妙に偽造し、子供たちの分を完全に変えてしまう違法為でした。
貧しい坂の町の子供たちでした。親が声をげても、警察も社会も誰もを貸してくれない代でした。島はその社会の隙に、酷に入り込んでいたのです。昭のあの代、急激な都化ので、寄りのない子供や貧しい庭の子供をに送りし、額の斡旋数料を貪るのネットワークが横していました。当、社会の浄化という美名のに、労者や貧しいの子供たちを保護し、施設に収容するきがめられていました。
しかし、その善のろには、子供たちをただの物のように扱い、へ売りばす醜い黒いが潜んでいたのです。
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