"壁の中の美大生" 第5話
捜査チームは、鈴勝の過12分の融取引を調べた。
しかし、結果はなものだった。
がいた形跡はない。
借もない。
自然な入もない。
カフェを経営し、妻の介護をしながら、細々と暮らしてきたの記録だった。
田は資料を見ながら首をかしげた。
「刑事さん、鈴勝の資の流れはあまりにも普通です」
伊藤は資料を机に置いた。
「普通すぎる」
「え?」
「12になことをっていたなら、何か揺れがあるはずだ。だが、この男の記録はきれいすぎる」
容疑者は絞りきれなかった。
田賢治はアリバイが確かだった。
鈴勝は佐藤美紀と特別な関係にあった。
渡辺は方のまま、本をていない。
その夜、伊藤は1で捜査に残っていた。
机のには、事件の資料が積みになっている。
は止んでいたが、窓のにはいが広がっていた。
伊藤が類を理していると、机の端に見慣れないい封筒が置かれていることに気づいた。
差も、切もない。
伊藤は眉をひそめた。
「これは誰が……」
ちょうどその、田が夜をに入ってきた。
「刑事さん、そのは何ですか」
「分からん。誰かがこっそり置いていったようだ」
伊藤は慎に封筒をけた。
には、タイプライターで打たれたような文字が1枚だけ入っていた。
そこには、こうかれていた。
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佐藤美紀は絵のせいでんだ。
畔のカフェではなく、郎会の別荘を調べろ。
田は息を呑んだ。
「郎……梨の会ですか」
郎は、1990代から建設業と融業で財を築いた域の力者だった。元の経済界ではらぬ者がいないで、美術好としても名だった。
美紀の通っていた学にも、何度も額の寄付をしていた。
伊藤はを見つめた。
「絵のせいでんだ……」
田はそうに言った。
「刑事さん、これはただ事ではありません。ですが、あの会に宅捜索令状が取れるでしょうか」
伊藤はすぐにパソコンを起した。
「取れるようにするんだ。罪を犯したなら、相が誰だろうと捜査する。それが警察だ」
2、捜査チームは郊の麓につ郎の豪華な別荘のにいた。
な鉄のは固く閉ざされていた。
伊藤がインターホンを押すと、しばらくして黒い級セダンが滑るように敷へ入ってきた。
からりたのは、なりをえた郎と、数の弁護士だった。
はたい目で伊藤を見た。
「警察が何の用かね」
伊藤は令状を差しした。
「宅捜索令状です、会」
弁護士の1が声を荒げた。
「これはらかな標捜査です。ただちに撤収しないのであれば、マスコミに権侵害として通報します」
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伊藤は歩も引かなかった。
「ご自由にどうぞ。々は裁判所が発した令状を執するだけです。妨害されるなら、公務執妨害で対応します」
はしばらく弁護士と打ちしたあと、をけるよう図した。
別荘の内部は、巨なギャラリーのようだった。
壁には数千万円はするであろう絵画が並び、には価な彫刻が置かれていた。
田がわず息を漏らした。
「すごい収集ですね」
は尊に笑った。
「私のに偽物はない」
だが、その言葉はすぐに崩れ始めた。
のワインセラーで、科学捜査班員が声をげた。
「伊藤刑事、来てください。この絵、おかしいです」
壁際にてかけられた数点の絵画。
その1枚を調べていた鑑定員は、ライトを当てながら言った。
「画は19世紀のものですが、絵の具の成分はのものです。らかな贋作です」
伊藤の目が細くなった。
の絵画も鑑定された。
結果は同じだった。
に隠されていた絵画は、すべて贋作だった。
郎の顔から、余裕の笑みが消えた。
彼はすぐに弁護士を呼び寄せ、い声で何かを話した。しかし、の絵画が次々に証拠品として押収されていく様子を止めることはできなかった。
伊藤は壁際に残された古い箱を見つけた。
箱のには、絵画の梱包に使われていた古い布、伝票の切れ端、そして数冊の古いカタログが入っていた。
田がカタログをめくり、声をくした。
「刑事さん、この記号……佐藤美紀の帳にあった記号と似ています」
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