"マカオに消えた花嫁" 第10話
証には、最まで劉梅の方であり続けた彼女の母親が、涙で滲んだ文字をき記してくれた。 浩司は、自分の過をりながら、それでも自分を選んでくれた劉梅のを固く握った。 このをもう度とさない。それは、国の子への誓いでもあった。
しい活を始めるにあたり、浩司は1つの決を固めていた。 それは、本に帰るのではなく、このマカオできていくこと。 そして、自分の犯した罪をただ内省するだけでなく、具体な形で社会に償っていくことだった。
彼は、本と獄で習得した拙い広語を頼りに、あるNPO法の扉を叩いた。 そこは主に、異文化の夫婦関係のトラブルを扱う、さな相談センターだった。 面接官に、彼は自らの過をありのままに話した。のりとすれ違いが、取り返しのつかない劇をんだこと。 担当者は驚き、は採用をためらった。しかし、浩司が語った「継ぎ」の話が、彼のをかした。
「壊れた器は、捨てられるか、元通りに見えるように完璧に修理されるのが普通です。でも、本では『継ぎ』と言って、漆とであえて傷跡を調して修復することがあります。その傷は器の歴史となり、しい景、しい美しさになる。僕のは、子をなせたあの、々に壊れました。この傷が消えることはありません。
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でも、この傷があるからこそ見える景がある。分かる痛みがある。そう信じたいんです」
その言葉に嘘はなかった。加害者だからこそ語れる、い説得力があった。
カウンセラーとしての々は、決して楽ではなかった。 相談に来るのは、文化や価値観の違いからすれ違い、憎しみを募らせるカップルばかり。 浩司は、彼らの話にただひたすらを傾けた。 激しい言葉の応酬のに、かつての自分と子の姿が嫌でもなる。 胸が締めつけられるような痛みに耐えながら、彼は自分の経験から得た言葉を、慎に、誠実に紡いでしていった。
ある、婚の危に瀕したカップルが訪れた。 本の夫は仕事のプレッシャーから妻を顧みず、国である妻は異国での孤独に耐えかねていた。あのの浩司と子、そのものだった。 言い争いの末、夫が「もうおとはやっていけない!」と叫んだ瞬、浩司は静かにをいた。
彼は初めて、相談者ので自分の過をありのままに打ちけた。自分が犯した過ち、失ったもののきさ、そして決して消えることのない罪。 「私は、これと同じ言葉を妻に言わせました。そして私は、彼女の言葉の裏にあるSOSを受け止めることができなかった。その結果、私は彼女の命を、未来をすべて奪ってしまったんです、こので……」
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浩司の瞳から、筋の涙が流れた。それは自分のための涙ではなかった。 目ののカップルが、自分と同じ過ちを踏んで欲しくないという、魂からの祈りだった。 彼の告に、カップルは言葉を失い、ただ涙を流す浩司の姿を見つめていた。 やがて、夫の方が妻に向かって、「すまなかった」とさな声で呟いた。
その、1つの族が崩壊の淵から踏みとどまった。 浩司が犯した過ちというい傷跡は、者の未来を救う継ぎの線となって、確かな輝きを放ったのだ。 彼の贖罪が、自己満ではない、確かな社会との繋がりを得た瞬だった。
マカオでカウンセラーとして働く浩司の元には、に1度、本の両親から航空便が届いた。 そこには聞の切り抜きや雑誌、そして何より、田との交流を記した父親のいが同封されていた。 浩司はそのを読むたびに、胸の奥が締めつけられると同に、細く確かなが差し込むのをじていた。 憎しみの底にいたはずの田夫妻が、自分の両親と連絡を取りっている。その事実だけで、彼は自分の贖罪のが決して独りよがりではないとえた。
奨学のアイデアが持ちがったのは、浩司が所して1が経った、子の命をにした同の法事の席でのことだった。 所は田の菩提寺。
畳のささくれた触と、く染み込んだ線のりが、厳かな雰囲気を漂わせる。 読経が終わったの会ので、ぽつりと浩司の父、健が切りした。
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