"ニューヨークへ消えた妻" 第5話
そこには、クレヨンで族4の姿が描かれていた。パパ、ママ、私、弟。美希はその絵を丁寧に折りたたみ、バッグのポケットにくしまい込んだ。
「、ママから切なお話があるの。ママとパパはね、もう緒にはまないの。あなたとハルトは、これからママと緒に暮らすのよ」
はしばらくの、美希の目をじっと見つめていたが、さく尋ねた。
「パパは、もう会いに来てくれないの?」
「もちろん、いつでも会いに来てくれるわよ」
美希は娘のを撫でながら、静かに嘘をついた。
が滑を陸する激しい振の、ハルトは怖がって美希の細い指をさなでく握りしめていた。は美希の肩にをもたせ、すぐに眠りのへと落ちていった。隣の席では綾が美希のをそっと握り締め、ろの席では吉田さんが何度もハンカチで涙を拭っていた。
美希だけは、1滴の涙も流さなかった。このが空へびった瞬から、彼女はもう田優斗の妻ではなく、義恵の従順な嫁でもなかった。ただ2の子供を守る母であり、自分のを取り戻すためにびった、1の独した女性だった。
ニューヨークのクイーンズにある、し古びた赤レンガのアパートので、のルポン夫が鍵を持って待っていた。60代のフランス女性で、品なワインレッドのコートを着て、髪をきれいにえていた。
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美希が流暢な英語で挨拶を交わすと、彼女は驚いたように目を見いた、嬉しそうにを叩いた。
「まあ、英語が本当におなのね。したわ」
部は建物の4階に位置していた。ギィギィと音をてるエレベーターは非常に古く、2が乗るのがやっとの狭さだった。ドアをけると、部が3つ、バスルームが2つあり、キッチンはさいながらも必な調理器具はすべて揃っていた。
とハルトは部にを踏み入れるなり、「こっちが私の部!」「ハルトの部はどこ?」とはしゃぎながら、廊をだらけの靴のままり回った。ルポン夫はその賑やかな様子を細めて見つめ、微笑んだ。
「お子さんたち、本当にかわいらしくて元気ね。ニューヨークへはお仕事でいらしたの?」
「はい。マンハッタンにあるコンサルティング会社で、マーケティングの統括責任者を務めることになりました」
「それは素らしいわ。応援しているわね」
ルポン夫が鍵を残して帰った、吉田さんはすぐに腕をまくって荷解きを始めた。美希はリビングの窓からさなバルコニーにて、10のニューヨークのたい空気を胸いっぱいに吸い込んだ。からは、名物の焼き栗と落ち葉の匂いが混じった独特のりが漂ってくる。
の広では、国の子どもたちがキックボードでり回り、老がベンチでい聞を広げていた。
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くのビル群の隙には、エンパイアステートビルディングの鋭い先端が夕にっている。
美希はポケットから携帯話を取りし、本を国してから20以切っていた源を静かに入れた。画面が起した途端、溜まっていたメッセージの通が狂ったように押し寄せてきた。その膨なテキストのに、実の母からのい言葉を見つけた。
「話して」
美希がダイヤルを押そうとしたその瞬、画面が切り替わり、先に綾からの着信が割り込んできた。美希が受話器をに当てると、綾の興奮した声が響いた。
「お姉ちゃん、ニュース見た!? 田優斗、さっき病院で急に倒れて救命救急に運ばれたんだって!」
「どういうこと?」
美希はベランダの柵を握り直した。
「とにかく、今すぐ本のSNSのタイムラインを見てみて。変なことになってるから!」
話を切った美希は、ブラウザをいて本のたちの投稿をスクロールした。優斗の会社に勤める社員の々しい投稿が目にび込んできた。「社が今、打ちわせに急に倒れた。救急が来てオフィスは本当にパニックだった」という文。そのコメント欄をさらに読みめると、「産ケアスタッフのおばさんの言にショックを受けたらしい」とかれていた。
さらに画面をにめると、優斗が昨あれほど誇らしげにアップしていた産報告の投稿は綺麗に削除されていた。
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