"柿の木の下の守護" 第14話
17、法廷という戦で数くの犯罪者をなぎ倒し、法律をり尽くしたエリートとしての、鉄壁の言葉だった。 田刑事は彼のその傲な反論に対し、何も言い返さず、ただ胸のポケットからもう1枚の、ラミネートされた写真を静かに取りして机のに並べた。 それは、遺骨ののから発見された、あののネクタイピンの拡写真だった。
佐藤健太の鋭い目が、その写真の表面に映る「守護」の2文字を捉えた瞬、彼の端正な顔のパーツが初めて、ピクリと激しく揺に揺れた。 田刑事が、彼の目を見つめたまま、ゆっくりと、しかし確信を込めて言い渡した。 「遺骨のののひらのから、固く握りしめられた状態で発見されたネクタイピンです。のい留め具が、非常にいの力によって、内側へとなす術なくねじ曲がっていました。これは、被害者が窒息させられる直までった、激しい抵抗の確な物証です。そして――」
田刑事は呼吸置き、類の最のページを指差した。 「このねじ曲がったピンの表面の微細な属組織のから、あなた、佐藤健太の皮膚片とDNAが、言い逃れのできない数値で検されました。被害者が最の命を引き取る直、ありったけの力を振り絞って毟り取り、握りしめたのは――あの任官式のに、あなたがその胸元に誇らしげにつけていた、まさにこのネクタイピンだということです」
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佐藤健太はその言葉が終わったも、い、類を見つめたまま微だにしなかった。 苦しい、が痛くなるほどの沈黙が、広いオフィスを完全に支配した。 彼が17、法律という盾の裏で維持し続けてきた最の支柱が、音をてて完全に叩き折られた瞬だった。
そのの夕方、田刑事の元に、空港の捜査官から緊迫した連絡が入った。 佐藤健太が、2の午の国際線のフライトを、偽名を使って予約していることが確認されたのだ。 き先はアジアの国、チケットは帰りの予定のない「片航空券」であった。 田刑事はデスクに向かい、袋をすと、佐藤健太の「緊急逮捕状請求」の最の署名欄に、万で力く自の名を署名した。
2024516午623分。 成田国際空港の混雑する国際線発ゲート。 佐藤健太は、黒い級なキャリーケースのハンドルをで引きながら、に発審査に向かって歩いていた。 にまとったオーダーメイドのスーツはシワひとつなく、きちんとしていた。 彼の歩みは、周囲の旅客に怪しまれないよう、くもなく、遅くもなかった。 17、完全犯罪のを単で持ちこたえてきたの、あまりにも静な歩みだった。 その、彼の背から、く鋭い男の声が響き渡った。
「佐藤健太さん。
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……し、ち止まってもらいましょうか」 健太のが、のでピタリと止まった。 彼はゆっくりと、諦めたように首をろへと巡らせた。 そこには、トレンチコートを着た田刑事が、2の屈な捜査官をに従えて、真っ直ぐにっていた。 「佐藤健太。2007520に発した、佐藤みささんに対する殺、および体遺棄の容疑で、令状に基づき緊急逮捕する」
カチリ、とたい属製の錠が彼の首にかけられる瞬、佐藤健太は何も言葉を発しなかった。 暴れるような見苦しい抵抗も、声を荒げることも切なかった。 彼はただ、1度だけく目を閉じ、そして静かにいただけだった。 空港の広いロビーをき交う勢の旅客たちが、何事かとを止め、その異様な景を巻きにじっと見つめていた。 周囲の数が、異変に気づいてスマートフォンを掲げ、カメラを向ける。
激しいフラッシュのが、逮捕された男の顔をく照らしす。 錠をかけられた両、仕てのいい紺のスーツ。 驚くべきことに、そのスーツの胸元には、実の義母が彼の世を祝ってしく買ってプレゼントしてくれたという、しいのネクタイピンが、皮肉にも誇らしげに刺さったままだった。 そして、あののの惨劇の真実が、17の分いを派に突き破り、ついに濁流のように世のへと流れし始めたのである。
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