"鬼母の末路" 第2話
「真由……お、なんでそんなに痩せて……。気はどうしたんだ? もついてないじゃないか」
俺は慌てて真由の肩を掴んだが、そのあまりの細さに息をんだ。
折れてしまいそうなほど華奢な肩は、ガタガタと震えながら、力なく首を振った。
「気が止まっちゃって……ガスも、もうすぐ止まるって……」
「なんでだよ。座から自引き落としにしてあるだろう」
混乱するで、俺の線は自然とテーブルのへ向かった。
そこには欠けた茶碗がつ。
に入っていたのは、気を吸ってふやけた、ほんのわずかな米だけだった。
おかずなど切ない。
醤油すら見当たらない。
「パパ、お帰りなさい」
紗英がふらふらとちがり、俺のにしがみついてきた。
「今のごちそうは、お湯ご飯だよ。ママがね、お腹がいっぱいになる魔法のご飯を作ってくれたの」
無邪気なその言葉が、俺の胸を鋭い刃物でえぐった。
魔法のご飯だと。
お湯をかけただけの飯が。
「真由、これは体どういうことだ?」
俺は呆然とち尽くし、絞りすように声を張りげた。
「俺は毎万送ってたはずだ。通帳には入ってるだろう。棒にでも入られたのか? それとも詐欺に遭ったのか?」
鳴るような俺の問いかけに、真由はビクッと肩を震わせ、粒の涙をぼろぼろとこぼし始めた。
そして、しばらくの沈黙の、彼女は血の気の引いた唇を震わせ、静かに、そして穏な言をにしたのだ。
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「そのことは……お義母さんに聞いて」
「お袋に……?」
俺の母親に?
なぜここで実の母親の名がてくるんだ。
考が完全に止した。
暗の、真由のすがりつくような瞳と、紗英の無邪気な笑顔が、俺の脳裏に焼きついてれなかった。
「お袋に聞けって、どういうことだ、真由。俺の仕送りとお袋が何の関係があるんだ」
暗の、俺の声は自分でも驚くほどく震えていた。
真由は怯えた子どものように肩をねさせ、ぎゅっと唇を噛みしめた。
そのひび割れた唇からは、今にも血が滲みそうだ。
俺は着ていたのダウンコートを脱ぎ、震える真由と紗英の肩にばさりとかけた。
ドイツの厳しいを越すために買った級なものだ。
そのぬくもりに包まれた瞬、紗英が「温かい」とさく息を吐いた。
その声を聞いて、俺の胸はぎりぎりと締めつけられた。
今までどれほど寒いいをしてきたんだ。
「真由、話してくれ。お袋がどうしたって言うんだ。俺は毎万、おたちが使う活費の座にきっちり振り込んでいたはずだぞ」
俺はスマホを取りし、ライト能をつけて元を照らした。
そして震える指でネットのアプリをちげ、族用座の細を確認した。
赴任は真由に全て任せていたため、この、俺自は度も履歴を見ていなかったのだ。
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「……なんだ、これは」
画面に表示された取引履歴を見て、俺は言葉を失った。
毎、俺の与座から万円が振り込まれている。
その直、同じのうちに「自振替」という名目で、万円全額が綺麗に別の座へと引き落とされていたのだ。
柏義子。
紛れもない。
俺の実の母親の名だ。
残は常に数百円から数円。
これでは気代もガス代も引き落とせるはずがない。
「真由、これはどういうことだ? なんで全額、お袋の座に自転送されてるんだ」
わず声を荒げた俺に、真由は両で顔を覆い、嗚咽を漏らし始めた。
「ごめんなさい……ごめんなさい、あなた。あなたがドイツに発った次の、お義母さんが突然に来て……」
真由のから語られたのは、俺の像を絶するような支配の始まりだった。
赴任の翌、鍵を使ってずかずかとがり込んできた母親は、真由に向かってこう言い放ったという。
「から聞いたわよ。毎万も振り込むなんて、あの子も甘いわね。専業主婦のあんたにそんなの管理ができるわけないじゃない。私が計を管理してあげるから、通帳と印鑑をしなさい」
真由は必に抵抗した。
しかし母親は、
「言うことを聞かないなら嫁として失格だ。すぐに婚させる」
とすごみ、無理やり真由をへ連れてき、自送の続きをさせたのだという。
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