"母が家を消した日" 第9話
も以よりいものばかりだった。「どうしよう」が癖になっていた。りも学で友達に何も言えなかった。ホテル暮らしをしていることをられたくなかったのだ。友達からの誘いもいつも断っていた。嘘をつくことが辛くなっていた。
12の終わり、クリスマスの夜だった。3はまたビジネスホテルのさな部にいた。テーブルのにはコンビニで買ったさなケーキが置いてある。
「メリークリスマス」とりが寂しそうに言った。
健と美紀も力なく答える。窓のではのイルミネーションが輝き、幸せそうな族連れが歩いていた。健はその景を見ながらった。俺たちは何を失ったんだろう。それはだけではなかった。仕事も、定も、そして何より母との信頼も、全てを失ったのだ。美紀も同じことを考えていた。
母は今どこで何をしているのかしら。その答えは誰にも分からなかった。ただ1つ確かなことは、母・は自分のを取り戻したということだ。そして2は自分たちの愚かさにようやく気づいたのだった。でも、もう遅かった。
野県伊。12の終わり、静かなの町だった。のしいはさな軒だ。造の古い建物だが丁寧に入れされていた。窓から見える景は京とは全く違う。
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の稜線が青い空に映えていた。
朝、はく目を覚ます。カーテンをけるとたい空気が触れた。気持ちいい。呼吸をすると澄んだ空気が肺いっぱいに広がる。京ではじられなかった清々しさだった。キッチンで朝の準備を始める。ご飯を炊き、噌汁を作り、漬物を並べた。1分の事。でも寂しさはじなかった。から鳥の声がよく響いていた。
朝を終えるとはへる。今は域のボランティア活のだった。2ヶほど、この町に来てすぐ元の社会福祉協議会を訪ね、1暮らしのお寄りの見守り活に参加したのだ。
最初はなかなか馴染めなかった。域の々も京から来た配の女性をし警戒していた。「都会のはすぐに帰っちゃうからね」とある女性に言われたこともあった。「ここのは厳しいですよ、耐えられますか?」と配とも牽制とも取れる言葉もかけられた。でもは諦めなかった。毎挨拶を続け、しずつ会話をねていったのだ。
畑の伝いをしたり、域の清掃活に参加したり、かきのも率先してへた。最初は慮がちに見られていたも、次第に受け入れられていった。
「おはようございます、さん」と所の主婦が声をかけてきた。
「おはようございます」とは笑顔で答える。
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「今も田さんのところですか?」
「ええ、お元気かどうか様子を見にってきます」
2は緒に歩き始めた。の両側には田畑が広がっている。の畑は静かだが、には緑で溢れるのだろう。はその景を楽しみにしていた。
分ほど歩くとさなが見えてくる。80歳の田さんが1で暮らしているだ。が玄関の戸を叩くと、から元気な声が返ってきた。
「あら、さん、今も来てくれたの?」と笑顔の田さんがっている。
「はい、お元気そうでしました」
田さんはをのへ招き入れ、温かいお茶を入れてくれた。
「京から来たって聞いたけど、もう慣れたかい?」
「はい、しずつ皆さん優しくしてくださって」とは本から答えた。
「最初は都会のだから馴染めないかとったけど、さんは本気でここにむつもりなんだって分かったわ。いつも来てくれてありがとうね」という田さんの言葉に、は胸がくなった。しばらくお茶をみながらのない会話を楽しむ。にとって、それが何よりもよいだった。
昼過ぎ、は町の公民館へ向かった。今は芸教のだ。元の女性たちが集まり編み物をしている。もその輪に加わった。
「さん、ですね」と隣の席の女性が褒めてくれる。
「ありがとうございます」
とはし照れくさそうに笑った。自分がこんなに受け入れられるとはっていなかったのだ。「皆さんが温かく迎えてくださったおかげです」
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