"銀の指輪の応募者" 第4話
「申し訳ございません、会! 面接会の管理がき届きませんでした。あのような乱入者がいるとはいも寄りませんでした。直ちに、警備員に命じて引きずりします!」
事部が警備員たちを急かすようにで図を送る。「何をしている、くその男を追いせ!」
警備員たちが、再びユトの両腕を掴もうとづいていく。乱暴ながユトの細い腕を掴もうとした、まさにその瞬だった。
「やめなさい」
ロビーの空気が、瞬で凍りついた。
く、しかし驚くほど々しい声。そして、喉の奥から絞りすような、凄みのある響きだった。
それは、本の建築業界の頂点にち、数千の従業員を率いてきた川ふみ子会の、絶対な命令だった。
警備員たちのが、空でピタリと止まる。事部はを半きにしたまま固まった。ロビーにいた全てのが息を止め、会の次のきを凝した。
ふみ子は、隣で狼狽している事部に線を移すこともなく、く言い放った。
「誰も、そのにをすな。私が直接、話をする。全員、がりなさい」
事部はをパクパクとさせながらずさりし、警備員たちも慌ててそのから歩退いた。
ふみ子は、自分でも気づかないうちにをかしていた。歩、また歩。理性が「ち止まれ」と叫んでも、彼女のはその命令を聞き入れなかった。
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目に見えない巨な力に背を押されるように、ふみ子の体は、に膝をついているみすぼらしい青の元へと自然に引き寄せられていった。
ユトの額に浮かんだ、懸命な汗の粒が見えた。
子供を守ろうとして自然に丸まった、ゴツゴツとしたの甲のタコが見えた。
おんぶ紐ので、まだシクシクと静かに泣き続けている赤ちゃんのか細い声が聞こえた。
ふみ子のの奥底で、25堰き止められていたい津波が沸き起こり、全を容赦なくみ込んでいった。胸が張り裂けそうだった。医学にも、論理にも説のつかない激しいが、彼女を支配していた。
ユトはに膝をついたまま、自分に向かってゆっくりとづいてくる貴な女性会を見げた。
当然浴びせられるとっていた、声や軽蔑の差しではなかった。ふみ子の目に宿っていたのは、りでも拒絶でもなかった。それは、ユトがこれまでので度も見たことのない、奇妙なだった。
まるで、い昔に失った切な何かを、奇跡に見つけたのような、く切ない差し。
ユトは本能に察した。このは、自分をこの所から追いそうとしているのではない、と。
彼は震える両で、の1番にあったい図面を1枚持ちげ、ふみ子のにそっと差しした。
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「会……どうか、これだけでも見てください。妻が病気で倒れ、子供はお腹を空かせています。この設計図1枚が、私たち族の、の全てなんです。お願いします……」
ふみ子の瞼が、激しく震えた。彼女はブルブルと震えるで、ユトが差ししたその図面をそっと受け取った。を握る指先にい力が入り、の甲に青い血管が浮きつ。
ふみ子はく吸い込んだ空気を辛うじて吐きし、震える声を必にえた。
「事は……分かったから」
声が、しだけ掠れていた。ふみ子は度、乾いた唾をみ込み、再びをいた。
「まず、この設計図だけをここに置いて、今は帰りなさい。結果は、追って通する」
ユトは、自分のを疑った。
先ほどまで、今すぐ引きずりせという命令がされるのを覚悟していたのに、この本最の建設会社のトップ自らが、自分の描きの図面を受け取り、見てくれると言うのだ。ユトの目に、再びいものが込みげてきた。震える唇で、辛うじて言を絞りす。
「ありがとうございます……。本当に、ありがとうございます」
ユトはから残りの図面を急いでかき集め、カバンに押し込むと、くお辞儀をして、よろめく取りでロビーをにした。背に背負われたハルトはまだ微かに泣いていたが、ユトの胸のには、さな筋のが差し込んできていた。
ガラスの回転ドアの向こうに、ユトのろ姿が完全に消えるまで、ふみ子はそのにち尽くし、きつできなかった。
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