"古道具屋の制服" 第11話
は証拠品袋に入ったガラスのイルカを彼女の目のにかざした。
「このイルカに本当のメッセージが隠されていた。は嘘だと。君が真実を話してくれない限り、み咲の魂はこのたい運の底で眠ったままだ」
その瞬、カナの瞳から堰を切ったように粒の涙が溢れした。 それは15、たった1で背負い続けてきた罪悪と恐怖と、そしてき親友への謝が入り混じった、あまりにもい涙だった。 彼女はそのにしゃがみ込み、畳にをついて嗚咽した。
「ごめんなさい……ごめんなさい……み咲……」
面に映るガス灯のが、彼女の涙で幾にも歪んでいく。 やがて途切れ途切れに語り始めた言葉は、警察の像を遥かに超える衝撃なものだった。
にかれていたいじめは、全てカナが受けていたものだった。 彼女はクラスで孤し、相沢たちから執拗な嫌がらせを受けていた。 それを唯、体を張ってかばい続けたのがみ咲だった。 み咲は正義がく、正を許せない性格だったという。 そして事件の核は、そんな内の揉め事などではなかった。
カナの告は、町の最もいタブーに触れた。
「あので名のがった武田先じゃないんです。本当に恐ろしかったのは、松本建設の健さんのお兄さんでした……」
松本健の族――樽の利権を握る名。
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その男は素の悪さで名だった。
「失踪当、私はそのから使われていない倉庫に呼びされたんです。断れば何をされるか分からなかった。そこで私は……」
カナは言葉をつまらせ、激しくを震わせた。
「そのでした。ドアが乱暴にいて、み咲が入ってきたんです」
み咲は鬼の形相で男のにちはだかり、カナを背に隠してこう言ったという。 「この子には指1本触れさせない。用があるなら相は私がしてやる」
その気迫に男は怯んだ。その隙に、み咲はカナに叫んだ。
「カナ、逃げて! く! 絶対に振り返らないで! 誰にも言っちゃだめ、私がなんとかするから!」
それが、カナが聞いたみ咲の最の言葉だった。 彼女は言われるがままにで倉庫から逃げした。 そしてそのい秘密を恐怖に縛られて15、誰にも打ちけることができなかったのだ。
み咲の優しさと、驚くべきさ。そして全てを計算したでの自己犠牲。 彼女は親友が傷つけられ、権力によって事実さえもに葬られることを恐れた。 だから、全く別の、しかし「誰もが信じやすい湿ないじめと教師とのスキャンダル」という偽の物語を作りげ、警察の捜査をミスリードしたのだ。 自分が消えることで友を守り、恐ろしい真実を永に封印しようとした。
は言葉を失っていた。
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1の女子が抱えるにはあまりにも残酷で、壮絶な決。 カナの告によって、犯の輪郭が15のを超え、はっきりとのから浮かびがってきた。
歪んだ恩返しの結末
の告は捜査本部に激震をらせた。 全ての容疑は樽の権力者・松本の男に集約されたかに見えた。 捜査員たちはめきち、男への事聴取が直ちにわれた。 しかし男はの追及をで笑い、完璧なアリバイを主張した。 族が用した証たちは完璧な証言を繰り返し、その画策を崩すことはできなかった。
再び捜査は見えない壁に突き当たった。 まるで15にみ咲が予期した通りの結末を辿っているかのように、は苛ちと焦燥に駆られていた。
何かが違う。このまま権力のに屈して事件を被疑者詳で終わらせていいのか。 彼の脳裏に、あの漁師・浜田慎介の凪いだののような目が浮かんで消えなかった。 鉄壁のアリバイを持つ男。タンスを運んだだけの男。 しかしなぜ彼は、あんなにも頑なにを閉ざすのか。 彼の言う「故郷をれた友」とは、体誰のなのか。 そこにはまだ解かれていない、最の空隙が隠されている気がしてならなかった。
は浜田の過を洗い直した。 まれ故郷の役にまで問いわせ、古い記録をに繰り寄せていく。
そして、1つの事実にき当たった。
30以、まだ若かった浜田はで遭難しかけ、その命がけで彼を救ったのが、同じで働いていた本気な改良士――佐藤だったのだ。
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