"隠された十五年の物語" 第13話
「うちのです」
静は湯呑みに茶を注ぎながら静かに話しした。
「の、布団ので静かに息を引き取りました」
「そうでしたか…… で取ったのですか?」
「はい。最にね、あの目をけて私を見て、こう言ったんですよ」
静は湯呑みを持つをし震わせた。
「『美、ただいま』と」
宅は何も言えなかった。
縁側の向こうで波の音が、繰り返し繰り返し寄せては返していた。
その夕方、宅は静に、黒田の逮捕と蔵から美の遺骨が発見されたことを静かに告げた。
静はしばらく何も言わず、の方を見つめていた。
そしてぽつりとこう言った。
「あの子に、もう度会えるんですね」
涙は流れていなかった。
ただその目の奥に、いいのみがく沈んでいた。
美の葬儀はその、隣町の古い寺で静かに執りわれた。
参列したのは当の同級たち。
もう代半ばに差しかかった男女数、のですっかりになり、族を持ち、髪に髪が混じった々だった。
それぞれが桜並の女の写真のでくをげた。
「美ちゃん、お帰り」
誰かがぽつりと呟いた。
静は子で寺の本堂へ運び込まれた。
付き添いのが「子で丈夫です」と伝えたが、彼女はどうしてもって参列したいと譲らなかった。
写真ので子からちがろうとした。
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慌てて支えようとする宅たちのを、彼女は柔らかく振り払った。
そして自分ので祭壇のまでみ、若い頃と同じくらいくをげた。
しばらくして顔をげた静は、写真の女に向かってはっきりとした声でこう言った。
「美、ただいま」
声は震えていなかった。
ただ優しい響きだった。
ヶのの終わり、静はの見えるあの民の奥の寝、布団のでらかに息を引き取った。
享歳。
発見した親戚によると、そのもよくれ、太平のがくまでくって広がっていたという。
の町れ、駐になった元の平の隅に、いつの頃からか季節ごとにさなが誰かので供えられるようになった。
は桜、は犀、は赤い茶。
を供えているのが誰なのか、誰にもはっきりと分からない。
古くからの所の民が交代で通っているのかもしれない。
あるいは、の来事を今も忘れない々が、町のどこかに何も残っているのかもしれない。
宅はそのに定退職した。
退職、彼は毎になるとでをらせ、あの駐の隅を訪ねている。
ささやかな束を抱え、隅にしゃがみ込んでそっと囁く。
「美ちゃん、ご族と、岸本さんたちと、また緒になれたかな。
岸本さん、静さん、いい々、本当にお疲れ様でした。
ゆっくりお休みなさい」
が駐の隅の砂をサラサラと運んでいく。
その向こうの々はいつもの通り青く静かに、群馬のののに横たわっている。
いいつの事件が、ようやく本当に終わったのだった。
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