"同窓会の見栄の争い" 第16話
「追加融資の件は当然になるでしょう。私は会社を守ることに決めました。」
社は涙を拭い、覚悟を決めたような真っすぐな目で誠を見た。
「自宅のと建物を売り払い、私の個資産も全て投げ打てば、なんとか社員への退職と請け業者への支払い分だけは確保できます。会社はなくなりますが、ついてきてくれた彼らにだけはこれ以迷惑をかけるわけにはいきません。」
そして彼は畳のに両をつき、くをげた。
「今伺ったのは、その報告と、昨妻が会と奥様に浴びせた数々の無礼について、夫として最にもう度だけ謝罪をしたかったからです。本当に本当に申し訳ございませんでした。失礼いたします。」
全てを失い、それでもなお社員と請け業者のために最の責任を果たそうとする社。その背は、虚栄だけできてきた稽古子とは違い、臭く実直にきてきたの本物の誇りに満ちていた。
社がちがろうとしたそのだった。今まで静かに話を聞いていた誠が湯呑みを机に置き、ゆっくりとをいた。
「社、あなたはつきな勘違いをされていますよ。」
誠の静かで、しかし力い声が内に響いた。
「え?」
社のきが止まった。
「私は昨、妻のために会社のを横領して贅沢をしているような、ガバナンスの欠落した会社には融資はできないと言いました。
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しかし」
誠は、かつて町で油まみれになっていた頃から変わらない、く温かい目で社を見つめた。
「全ての責任を背負い、自分のを削ってでも誠実に社員を守ろうとする男を、見捨てる気は毛ありません。」
その言葉のを理解した瞬、社の目から堪えていた涙が気に溢れし、彼はそのに崩れ落ちたのだ。
「会、何とお礼を申しげたら良いか。私のような愚かなに、そこまでしてくださるなんて……」
畳に額を擦りつけたまま、社は子供のように声をげて泣きじゃくっていた。その広い背がしゃくりげるたびに激しくに揺れている。
誠は泣き崩れる社の方にそっとを置き、いつも通りの穏やかな声で語りかけた。
「社、私で言っているわけではありませんよ。経営者としての静な判断です。」
誠の言葉に社は顔をげ、涙でぐしゃぐしゃになった顔で誠を見つめた。
「あなたの会社が抱える熟練の職たちと、域に根ざした請けのネットワークは、がグループがめているリゾート発において何よりもきな財産です。そのようなあなたが自己破産して現をれてしまえば、プロジェクト全体にきな遅れがじる。それは佐藤ホールディングスにとってもな損失なのです。
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」
誠が提案したのは、単なる 1 億円の追加融資ではなかった。佐藤ホールディングスが建設をグループの完全子会社として買収するというものだった。稽古子の使い込みによって空っぽになった資は親会社が全て補填し、倒産を回避する。社員の雇用も請け業者への支払いも、全て佐藤ホールディングスが責任を持って保障する。
その代わり、社の持つ会社の株式や社としての権限は全て失われる。しかし誠は彼を切り捨てるのではなく、現の総責任者としてそのまま会社に残ることを条件としたのだ。
「あなたは経営よりも、現で職たちと汗を流しているが番輝いている。違いますか?」
誠の言葉に社は言葉を失い、再びポロポロと粒の涙をこぼした。
「はい。おっしゃる通りです。私は社の子なんかよりも、現のの匂いの方がずっと好きです。」
「ならばからは現の総責任者として、分に腕を振ってください。会社の経理や厄介な資繰りは、がグループから派遣する優秀なたちに全て任せればいい。あなたはただ最の建物を作ることだけに集してください。」
全てを失う覚悟でやってきた社にとって、それはまさに獄から救われた蜘蛛の糸だった。いや、彼にとっては社という圧から解放され、本当にやりたかった現の仕事に戻れる、これ以ない救いの言葉だったのだ。
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