"災いの男、女だけの島" 第16話
窓から見える庭は昨夜の騒ぎで々散らかっていましたが、それさえもが共に片付けていくべき幸せな痕跡のようにじられ、全く見苦しくありませんでした。
剣造も朝く起きて庭へました。彼の表からは、これまで彼を押しつぶしていた暗いと、尖った殺気が完全に消えっていました。
彼は庭の隅に置かれていた、これまできるために仕方なく握らねばならなかった刃物を布で静かに包み、戸棚の奥くへしまい込みました。
剣造はもう度との命を奪ったり、血を流す仕事でを稼いだりはしないと、する妻のため、堂々とした夫になるとの底からく誓いました。
井戸のたいで顔を洗い、鏡に写った自分の顔が見らぬほど穏やかでるくなっているのを見て、照れくさそうに笑いました。
朝の膳を挟んで向かいったのには、以とはまるで違う温かくよい空気が流れていました。剣造は飯を運びかけてを止め、お文をしみじみと見つめ、素直に告しました。
飯がうまい。こうしてあんたの作ってくれる飯をってきていきたい。
お文は顔をげ、優しく答えました。私こそ、旦様がいらっしゃるからしてご飯を作れます。もう何の配もなさらず、たくさん召しがってください。
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そう言って剣造の茶碗に魚のをほぐして乗せてやりました。
質素な卓でしたが、そこに込められた真とは、どんな豪華な名の膳も羨ましくなるほど豊かで、は互いの目を見つめるだけでが満たされる、幸せな事を続けました。
数、剣造は役所に認められたを持ってのへり、必な種籾を買い入れ、残りので派な畑を購入しました。
剣造が町に現れると、以のように々がこそこそ避けたりろ指をさしたりすることはなく、むしろ率先してづいて挨拶をし、「いい畑を買ったそうで、おめでとう」と祝いの言葉をかけました。
々は剣造が妻を守るために見せた勇気と、これまでれず積みねた善いいをって以来、彼を見る目が完全に変わっていたのです。
剣造は照れながらもの挨拶にをげて応え、初めての員として受け入れられたびをわいました。
お文は剣造が買ってきた畑に撒く種を選び、の内をさらに使いやすくえることに専しました。松本で侍女としてにつけた事の腕と恵が、このさなでを放ち始めました。
彼女は庭の角に庭菜園を作って様々な野菜を植え、裏庭に鶏をてて鶏を飼い、卵を集めて町へ売ったりもしました。
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古く暗かったこのは、お文のが触れる所ごとに活気が溢れ、適でに満ちたまいへと変貌していきました。
の女たちもとお文の元へ訪ねてきて、針仕事を頼んだり事の恵を尋ねたりするようになり、お文は彼女たちと穏やかに付きい、自然との々との繋がりを広げていきました。
季節が移り、や野原が赤や黄にづくの頃、の入りに見慣れぬおばさんが訪ねてきて、お文に松本の便りを伝えてくれました。
剣造が返した借のおかげで松本は没落の危を脱し、お様は配事が消えて、健康をだいぶ取り戻したという嬉しいらせでした。
伝言のおばさんは懐からさなを通取りし、お文に渡してくれました。それはお様がこっそりしたためたでした。
お文は震えるでを受け取り、部に入って静かに広げて読みました。
にはお様の優しい文字でこうかれていました。
お文姉さん、ありがとう。そしてごめんなさい。姉さんのおかげで私も助かったし、も救われたわ。剣造さんがそんなに派な方なんて本当に良かった。どうかそこで幸せに暮らして。私ももう良い方との縁談がんでいるの。いつか笑って会えるを待ってるわ。
お文はを胸に抱き、止めどなく涙を流しました。
それはしみの涙ではなく、堵とびの涙でした。
今ようやく胸の奥に残っていた罪悪と未練を全て振り払い、完全に「剣造の妻・お文」としてきていけるようになったのです。
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