"柿の葉の封印" 第8話
裕は全から力が抜けていくのをじた。最の敵だとっていた男が、実はの命を救った唯の恩だったのだ。
は図だった。千子さんがの周りに見張りがいないことを確認して、わしにらせるための。
その声を聞いた葉は倉の裏からを密かに自分のに乗せ、夜のに紛れて誰にもられぬをみ、彼らをくの駅まで送り届けたのだという。
それがわしが見た彼らの最の姿や。
告を終えた葉の横顔は、25 というい秘密をで背負い続けた男のい孤独に刻まれていた。
彼がそっと入れ直してくれたお茶は苦くじられた。
憎んでいた相への申し訳なさと、像を絶する覚悟で族を守ってくれたことへの謝で、裕の胸は張り裂けそうだった。
座敷に差し込む夕暮れのが、彼の頬を伝うい涙を静かに照らしていた。
失踪の謎は解けた。だが最のピースがまだ埋まっていなかった。
全てが葉の完璧な計画のもとにわれたのなら、母・千子はなぜあのなをわざわざ箱に隠しておく必があったのだろうか。
憎んでいた相が実は命の恩だった。その衝撃の事実は裕の世界を根底からひっくり返した。
葉正部という男がで背負ってきたもののさをうと、言葉が見つからなかった。
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父・正隆が犯した過ち、母の絶望、そして子供たちの未来。その全てを、宿敵であったはずの男がたったで受け止め守り抜いてくれたのだ。
座敷に差し込むので裕は何度もをげ、涙で濡れた声で謝を伝えた。
葉はただ黙って茶をすするだけだった。
「ですが」と裕は顔をげた。
まだ分からないことがあるんです。母はなぜあんなを残したのでしょうか?全てがあなたの計画通りだったのなら、あんな謎めいたものを残す必はなかったはずです。
裕が取りしたを、葉は初めて目にしたかのようにじっと見つめた。
そして「のにあの所へ」という文に目を止めると、その顔にい納得と、どこからいだような表が浮かんだ。
そういうことか。千子さんもあんたと同じことを考えとったんやな。
葉の声には、の荷がしだけ軽くなったような響きがあった。
このは、わしと夫妻が交わした最の約束の証や。
のとは言うまでもなく、の神の使いである鳥に縁のある。毎何度か巡ってくる、そのはこのの々にとって特別な祈りのだった。
そして「あの所へ」という文が指し示す所を葉はっていた。
わしと正隆さんはこう約束した。無事に暮らしている限り、に度必ずのに謝を伝えに戻ってくる。
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直接会うことはできんやけど、わしらがきている証をそこに残す。
それは、万が見つかるリスクを犯してでも、命の恩である葉に謝を伝えたいという蜂夫妻の切なる願いだった。
では夫妻がを残した理由は何か?
それは保険だ、と葉は断言した。
もしわしのに何かあったら。わしが事故でぬか、あるいは正隆を逃がしたことがバレてを封じられたら。
そうなったらのをる者は誰もいなくなる。子供たちが将来自分のルーツをりたいとっても、全てがに閉ざされてしまう。千子はそのことを恐れたのだ。
万が葉という唯の接点が失われた、いつかこのに戻ってくるであろう誰か —— おそらく親族の裕のようなに、真実への最の糸を残すために。
は母が未来へ託した最の希望だった。
翌、ちょうどに数度ののだった。裕は葉と共に、に示されたあの所へを向かった。
そこはくの観客が訪れる神神社の拝殿ではなく、さらに辺のをしんだ先にある、ひっそりとしたさな神社だった。
古くから病気平癒の神様としてられ、たい湧きが湧きる、神聖で静かな所だ。
ひんやりとした々の匂いと、苔の漂うりが混じりうを、ともほとんど言葉を交わさなかった。
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