"お年玉泥棒の末路" 第3話
「ふーん。まれたばっかりでも、顔って分かるものね」
私はを疑いました。
さらに美佐子さんは、私にややかな線を向けました。
「直美さん、母乳ちゃんとてるの? なかったら母親失格って言われるんですってよ」
その頃、私は母乳のがあまり良くなくて、密かに悩んでいました。
その言葉は、刃のように胸に刺さりました。
私はわずうつむきました。
文さんが、今度ははっきり声を荒げました。
「そんなこと言うもんじゃないわ。ミルクで育てているお母さんだってたくさんいるのよ。何の問題もないわ」
修司さんも険しい表で言いました。
「姉さん、やめてくれよ」
それでも美佐子さんは、平然と答えました。
「何よ。私は事実を言っただけよ」
その瞬、私はこのとは本当に分かりえないのだといました。
世のには性格の悪いや悪なもいると、では分かっています。
でも、こんなににいるのは初めてでした。
私はどうしていいか分からず、ただ黙って耐えるしかありませんでした。
美佐子さんの嫌は、私だけでなく、幼い綾音にも向けられました。
綾音がまだ物つくかつかないかの頃から、美佐子さんは平気でないことを言いました。
「顔で将来が配」
「この子、いんじゃない?」
「そういうは、もっとい子が着ないと似わないわよ」
広告
私と修司さんにとって、綾音は分にい娘でした。し丸い頬も、笑うと目が細くなるところも、全部おしかった。
だから、そんな言葉を浴びせられるたびに、本当に腹がちました。
ある、私はい切って言いました。
「そういうこと、言わないでください」
声は震えていたといます。
でも、美佐子さんはまったく気にした様子もありませんでした。
「私は配して言ってあげてるのよ」
そう言われると、私はそれ以うまく言い返せませんでした。
綾音が学に入ってからも、美佐子さんの嫌は続きました。
ある、綾音がリビングで宿題をしていると、美佐子さんがそのノートを横から覗き込みました。
そして、わざと私に聞こえるように言ったのです。
「綾音ちゃん、ちょっとはくなったけど、はどっちに似たのかしらね。私は学のテストで90点以なんて取ったことないわ」
綾音の顔が、瞬だけ曇りました。
私は慌てて言いました。
「の良さは努力で決まるんですよ」
綾音は算数や体育はし苦でしたが、国語や図は得でした。作文では先に褒められることもありましたし、絵を描くの集力はが驚くほどでした。
それなのに、美佐子さんはため息混じりに続けました。
「私の同僚の子はインターナショナルスクールに通ってるわよ。
広告
綾音ちゃんはどうせ学も公でしょ」
美佐子さんの同僚のお子さんがどんな学に通っていようと、うちには関係ありません。そもそも美佐子さん自にも関係のない話です。
それでも彼女は、毎回最には私を見すように言いました。
「主婦って気楽よね。責任のある仕事なんてしないんだから」
子育ては責任のある仕事ではないのでしょうか。
子ども1の命を預かり、毎の事を作り、健康を見守り、を育てることは、何よりい責任だといます。
でも、私はうまく言い返せませんでした。
しいけれど、このとは絶対に分かりえない。
そううことが増えていきました。
美佐子さんの問題は、嫌だけではありませんでした。
文さんはで裁の仕事をしているため、お客さんや取引先からお歳暮やお元、お礼の品が届くことがよくありました。級なお菓子、お茶の詰めわせ、羊羹、佃煮、果物。
文さんは、届いた品を嬉しそうにけながら言いました。
「直美さんも緒にべましょうね」
私も毎回楽しみにしていました。
ところが、夕をべにやって来た美佐子さんが、それを目ざとく見つけるのです。
「わあ、級なお菓子じゃない。どうせべきれないんだから、もらっていくわね」
そう言って、当然のように持って帰ってしまいます。
文さんや私が「ちょっと、それは」と言いかけても、美佐子さんはで笑いました。
広告
おすすめ作品
-
完結第26話
特上寿司と、消えた妻の半年
3月31日22時、激務を終えて帰宅した私の席にあったのは、冷え切った白米一杯だけだった。目の前で1万8900円の特上寿司を頬張る夫と義母は、「反省したらおかずをあげる」と大笑いする。家計の大半を私が支えているにもかかわらず、9ヶ月間も「罰」として食事を奪われ、夫は横で嘲笑っていた。だが二人は知らない。私が半年かけて集めた出前明細の履歴と、義母が隠し持っていた一枚の申告書の存在を。「じゃあ、外で食べてきます」――二度と振り返らずにドアを閉めた夜、経理の私が仕掛けた冷徹な清算が幕を開ける。嫁姑|夫婦4.0万字5 413 -
完結第15話
二十人分の祝い膳を押しつけられたので、家を出ました
義母から「家族のお祝いだから」と押し付けられたのは、二十人分の料理作りと高額な費用負担。 夫も義妹も、私を一人の家族ではなく、都合よく使える存在として扱っていた。 五年間、我慢し続けた嫁・美咲は、ある決断をする。 それは、義妹の息子の一歳祝いの前日に、すべてを捨てて家を出ることだった。 しかし、静かに準備を進める中で、美咲は夫と義母が隠していた驚くべき事実を知る。 そこには、単なる身勝手な家族関係では終わらない、彼女を縛り続けるための計画が隠されていた。 そして迎えた祝いの日。 親戚二十人が待つ食卓に残されたのは、豪華な料理ではなく、誰も予想しなかった「空っぽの祝い膳」だった。 奪われ続けた人生を取り戻すため、美咲が選んだ静かな反撃とは――。嫁姑|親子関係|修羅場2.2万字5 284 -
完結第16話
血染めの写真と三文字のSOS
夕方のコンビニの床に落ちていた一枚の写真。微笑む少女の横には、まだ乾ききっていない赤黒い生血がべっとりと付着していた。 裏返した瞬間、息が止まる。震える筆跡の住所と、指先の血で擦り付けられた『SOS』の三文字。 妻に捨てられ、八歳の息子と写真館を営む私には分かった。この血は付着して数分も経っていない――今すぐ行かなければ手遅れになる。 警察に通報し駆けつけた古い民家の階段下には、右足を骨折し倒れ伏す母親と、自らの手のひらを切り裂いた六歳の少女がいた。 「……だれ?」 母を庇い、血まみれの手で私を睨み据える少女の瞳が訴えていた、あまりに残酷な真相とは。親子関係|金銭問題2.4万字5 199 -
完結第15話
全盲の義母が言い当てた味噌汁の色
「お味噌、白味噌に変えたでしょう?」。11年前の事故で全盲になったはずの義母・かず子が、漆塗りの椀を抱えて微笑んだ。亡き実母への後悔から、365日欠かさず介護と手料理を捧げてきた嫁の私。だが翌朝、ゴミ袋の底から現れたのは、手つかずのまま無残に捨てられた私の料理と、1万8千円の銀座高級寿司やフレンチのデリバリーレシート30枚だった。夫は「お前の味付けが悪い」と冷笑し取り合わない。孤立無援の中、弁護士の助言を得た私はある罠を仕掛ける。そして勝手口の前で義母が放った「ある一言」で、11年間の嘘が音を立てて崩れ去る――。嫁姑|真相2.3万字5 3039 -
完結第19話
深夜2時、隣家の物置で赤ん坊を抱く4歳児
心臓の不整脈で消防士を辞め、故郷の民宿「緑海荘」へ戻った27歳の相馬蒼太。 ある深夜2時、隣家から突然途切れた赤ん坊の泣き声に異変を感じて駆けつけると、物置のような暗い部屋で、全身に青あざを負った4歳のひなが、痩せた妹メイを必死に抱いていた。 「泣いたらまた叩かれるんですか?」――その一言に、蒼太は2人を必ず守ると決意する。民宿へ連れ帰り、常連客の旅行ライター・りんや両親と共に食事と温かな寝床を与え、児童相談所へ連絡。 しかし保護の朝、ひなは「お兄ちゃんと離れたくない」と蒼太の服を握りしめる。初めて見る海の前で、ようやく声を上げて泣いた少女を前に、蒼太とりんは“助ける”だけでは終われない未来を選び始める――。親子関係|修羅場2.8万字5 251 -
完結第14話
月二十五万を貪る偽装役員一家の転落
外資系コンサルティングファームで働く小笠原萌子は、お見合いで大手企業勤務のエリート・東野広夢と結婚した。しかし新婚早々、夫の経歴が全て嘘で、定職すら就いていない無職だと発覚する。さらに広夢は「大企業の役員に抜擢された」と両親に大嘘を吹き込み、見栄を張る義父母は都心のタワマン家賃二十五万円や、百万円の旅行代を萌子の給料から平然と搾取し始めた。夫の度重なる深夜帰宅に不審を抱いた萌子が財布を探ると、そこには見知らぬ甘い香りと、黒地に金箔押しされた高級シティホテルの会員カードが。探偵の分厚い報告書によって夫のキャバクラ通いと裏切りが露呈したとき、萌子は離婚を決意する。だが、金の蛇口を止められた元夫と義家族の強欲は暴走し、SNSでの悪質なデマ拡散、そして新居への土足侵入へとエスカレートしていく。すべてを奪おうとする寄生虫たちに、萌子が下す冷徹な鉄槌とは――。嫁姑|夫婦2.4万字5 695 -
完結第15話
元義母の誤爆着信と暴かれた花婿の嘘
モラハラと不倫を重ねた夫・裕二と離婚し、独身としての平穏な生活を取り戻してちょうど一年が経ったある休日の朝。主人公・マナのスマートフォンに、元義母・文から突如「結婚式になぜ来ないの! 早く来ないと離婚させるわよ!」と怒鳴りつける狂気の電話が入る。 「私はもう独身ですが」と告げるも、来なければ自宅や職場に押しかけると脅され、指定された高級シティホテルの式場へ向かうマナ。黒留袖姿で激怒する文は、新郎となった息子の晴れ舞台を元嫁が邪魔しに来たとロビーで激しく罵倒し、白タキシード姿の元夫も腕力で追い出そうと詰め寄る。 だが、文のスマートフォンの発信履歴を確認させた瞬間、事態は暗転。人身事故で遅延していた本当の新婦「まみ」が泥だらけのパンプスで駆けつけた時、元夫が隠し続けていた致命的な大嘘が白日の下に晒される――。嫁姑|修羅場2.5万字5 358 -
完結第23話
義母が突然、結婚指輪をくれた
夫が亡くなった日、義母は「もう家族じゃない」と私と娘を雨の中に追い出した。それから二年、一度の連絡もなかった義母が娘の小学校入学を控えた夕暮れ、四十年間外さなかった結婚指輪を私の指に無理やり嵌めて頭を下げた。翌日、親族が集まる祝いの席で和解を受け入れようとした私の前で、義母は冷たい笑みを浮かべ、夫が生前に娘の氏の変更書類を用意していたのではないかと問い詰めてきた。私の手の中で箸が止まった。裡切られた|祖父母と孫|嫁姑|親子関係|修羅場3.5万字5 127