"無能嫁のタワマン逆転" 第7話
徹はし照れたように笑いました。
「なんかね、今までは父さんのことが怖かった。でも、もうていくんだってったら、言いたいことを言ってもいいんだなって。母さんが、父さんの価値観から自由になるためにこのをようって言っただろ。あれを聞いて、なんだか吹っ切れたんだよ」
本当に何かが吹っ切れたような、すっきりした顔でした。
私はそれから本当に、夫の事を作りませんでした。夫の洗濯物だけは分けて、洗濯しませんでした。
し悪かしらとったこともあります。
でも、やってもらって当たりという考えを改めなければ、この先困るのは夫自です。
もし夫が事のやり方を聞いてきたなら、きちんと教えるつもりでいました。
しかし、夫は度も聞いてきませんでした。
数、コンビニ弁当を買って帰ってきた夫に聞かれました。
「いつ引っ越すんだ」
私は段ボールに器を詰めながら答えました。
「来週です。もうすぐていきますから」
夫は目を見きました。
「本当にていくのか」
あれほど「ていけ」と言っていたくせに、いざ現実が迫ると揺しているのが見え見えでした。
そして、引っ越しの。
私は夫に封筒を差ししました。
「これ、婚届です。私の名はもういてあります。あなたがいたらしておきますから」
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夫は封筒を見つめたまま、固まりました。
「え、婚? いきなり何を言いすんだ」
「だって、このをていけっていうことは、婚したいということでしょう」
夫は珍しく歯切れの悪い声をしました。
「ん? あ、ああ……そういうことになるかな」
ここ数、私が夫のための事を放棄していたことが、じわじわと効いてきているのではないかといました。
それでも夫は、まだから目線でした。
「婚って、無職の2がこのをてやっていけるわけないだろう。座して謝るなら、許してやらないでもないぞ」
私は呆れてしまいました。
「徹は無職じゃありませんよ。収入で言ったら、現役代のあなたよりよっぽど稼いでいます」
夫は顔を引きつらせました。
「え、そんな馬鹿な。だってずっとに引きこもって……」
徹が呆れたように言いました。
「今はパソコンさえあれば宅で仕事ができるんだよ」
夫は理解できないという顔をしました。
その、徹が続けました。
「それから、婚が成したら、も預貯も、結婚してから築いた財産は夫婦の共財産だからね」
夫の表が変わりました。
「何を言いすんだ。俺が稼いだだぞ。だって俺が建てたんだ」
「父さん、まさか退職も預貯もこのも、全部自分のものだとってたの?」
徹の声は静でした。
「素直に婚に応じないなら、調でも裁判でもして争うよ。
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母さんには正当な権利があるんだ」
「そんな馬鹿な。俺はおたちを養ってやってたんだぞ」
夫はどうしても納得できないようでした。
私は夫を見据えて言いました。
「あなた、このまま俺のや貯をいつぶされてたまるかって言っていましたよね。あの、何も分かっていないんだなってったわ」
夫は黙りました。
「信じられないならそれでもいいけど、庭というのは夫婦2で築くものなのよ」
私は歩も引くつもりはありませんでした。
このと結婚してからの40数。
それはおに換算できるものではありません。けれど、私は私なりに尽くし、築いてきたのです。
それを夫が独り占めするなど、許せませんでした。
翌、私と徹はみ慣れたに別れを告げました。
玄関をる、私は度だけ振り返りました。
古い廊、何度も磨いた、徹がさい頃にり回ったリビング、夫がいつも聞を広げていた卓。いがないわけではありません。
けれど、もう戻ることはないでしょう。
引っ越し業者のトラックがりすと、胸の奥にしだけ痛みがりました。それでも、隣に座る徹の顔はれやかでした。
タワーマンションの部は2LDKでした。
向きのきな窓からは、の緑がよく見えました。昼は部いっぱいにが差し込み、駅とはえないほど静かで、空気まで鮮にじられました。
「Wi-Fiもばっちり、会議も使えるし、コンシェルジュが荷物も預かってくれるし。
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