"排水路の腕時計" 第4話
娘は沈黙した。
学では「父親が失踪した庭」として噂が広がり、好奇の線に耐えられなくなった。成績は急落し、友とも距を置くようになった。
息子は正反対だった。
「父さんはきっと帰ってくる」
そう信じ続けた。夕方になると玄関のくで待ち、ドアがくたびにりした。けれど、そこにっているのは配達員か所ので、父ではなかった。
恵子は夫の部を片付けられなかった。
クローゼットのスーツ。
机のの鏡。
洗面台の髭剃り。
全てがあののまま残されていた。
折、アルバムをいては、笑っている健の写真を眺め続けた。写真のの夫は、何もらない顔で族の隣にっていた。
半、警察は捜査を事実縮した。
担当刑事は々話をくれたが、「しい報はありません」と言うばかりだった。その言葉を聞くたびに、恵子は礼を言って話を切った。ることもできなかった。しむ力すら、しずつ削られていった。
1、族はさな追悼のを設けた。
失踪現となった青サービスエリアの隅に束を置き、4でをげた。そこは何も変わらない所だった。は入りし、はうどんをべ、子どもたちはジュースを買っていた。
ただ1、健だけがいなかった。
2、3、5が流れた。
娘は学へみ、息子はになった。
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恵子はパートから正社員へと働き方を変え、計を支えた。
それでも、の空は埋まらなかった。
10の2008、族はそれぞれのを歩み始めていた。娘は就職し、息子は学へんだ。恵子も々の活に追われながら、何とかを向くようになっていた。
それでも、希望だけは捨てなかった。
どこかできているかもしれない。
いつか真実がらかになるかもしれない。
そのさな希望が、恵子を15支え続けた。
そして2013の。
忘れられていた事件が、再びきした。
全ては、1本のスコップが面を掘り返した瞬から始まった。
15のに、青サービスエリアも変わっていた。
建物は古び、壁の塗装は剥がれ、駐のアスファルトには細かな亀裂が入っていた。かつて壇だった所には雑が伸び、古い板は焼けして文字がくなっていた。
1998から2013のに利用客は3倍に増えていたが、施設の改善は追いついていなかった。苦も増え、当局はついに再発を決定した。
20138、青サービスエリアの全面リニューアル計画が発表された。
古い建物を取り壊し、しい複施設として再建するという内容だった。期は6ヶ。9着、翌の完成予定。
当の署・田は2010に退職しており、任の林は事件のことを聞いたことがある程度で、詳しくはらなかった。
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職員もほとんど入れ替わり、1998のあのを覚えている者はほとんどいなかった。
再発の記事は、方の片隅にさく載っただけだった。
だが、恵子はその記事を偶然目にした。
「青サービスエリア」
その文字を見た瞬、臓が止まりそうになった。
夫が最にいた所が消える。
残されたがかりも、緒に壊されてしまうかもしれない。
恵子はすぐに警察へ連絡し、事の再調査を求めた。
「15に見つからなかった何かが、まだ残っているかもしれません。どうか、もう度調べてください」
しかし警察は消極だった。
すでに何度も調べており、成果はなかった。事は民と会社の計画であり、事件との関連が確認されていない以、改めて規模捜査をうことは難しいという説だった。
それでも恵子は諦めなかった。
嘆願をし、インターネットにもき込んだ。族の事件を覚えているに協力を求めた。
けれど反応はなかった。
が全てをめていた。
92、事が始まった。
仮囲いが設けられ、が入り、サービスエリアは部閉鎖された。じんと騒音が広がり、かつてくのがき交った建物は、しずつ解体されていった。
最初の週は、内装の撤作業だった。
売の板、厨器具、トイレのタイル、洗面台。15、健が最に歩いたかもしれないも、具で剥がされ、廃材として運びされた。
2週目には根が剥がれ、壁が崩れ、建物は形を失っていった。
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