"消えた退院前夜" 第4話
とにかく警察に届けましょう。私どもも全面に協力いたします」
誠さんは唇を噛み、く答えた。
「そうしてください」
午9、静岡央警察署に捜索願がされた。
対応した域課の佐藤巡査部は、誠さんの話をメモに取りながら慎に聞いた。
「奥様はどのような様子でしたか」
「元気でした。あと3で退院というで、退院を楽しみにしていました。持ち物は全て病に残されています」
「自殺の能性は」
その言葉に、誠さんは激しく首を振った。
「ありません。妻は退院を楽しみにしていました。族のことも配していました。何も持たずに消えるようなじゃありません」
「分かりました。では病院での聞き込みを始めます」
午10、警察官が病院に来た。
同じ病の患者たちに事を聞いた。隣のベッドの女性は、「昨夜はいつもよりく寝ていらっしゃいました」と証言した。
「何か様子がおかしいことは?」
「いえ、特には。ただし疲れたとおっしゃっていました」
向かい側の若い女性は、し迷いながら言った。
「夜に、何か物音がしたような気がします」
「何頃ですか?」
「はっきりとは……でも夜だったといます」
「どんな音ですか?」
「ドアがく音だったかもしれません」
護師たちにも聞き込みがわれた。
夜勤だった鈴さんは、午11と午1に巡回したと話した。
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「その、32号は確認しましたか?」
「廊からは確認しました。ただ、カーテンが閉まっていて、までは見ていません」
「なぜ確認しなかったんですか?」
「患者さんが寝ていらっしゃるので、起こさないように……」
午になっても、子さんの方は分からなかった。
誠さんと恵子さんは、病院の周辺を歩き回った。くの公園、商、病院の裏。子さんの写真を持ち、通やのに尋ねた。
「この女性を見ませんでしたか?」
しかし、誰も見ていなかった。
夕方、久志さんも学から駆けつけた。
「母さんはどこにったんだ?」
混乱した顔で尋ねる息子に、誠さんは答えられなかった。
「分からない。でも必ず見つける」
その夜、田のリビングにはい沈黙が落ちた。
3は黒話のに座り、病院か警察からの連絡を待った。けれど話は鳴らなかった。
計の針だけが、静かにを刻んでいた。
529。子さんが消えてから2目の朝、静岡央警察署では捜査体制がえられた。
担当となったのは捜査課の黒田警部補だった。45歳、刑事歴20のベテランで、を表にさず、1つずつ事実を積みげるタイプの刑事だった。
会議に集まった刑事たちをに、黒田警部補はく指示をした。
「まず病院の防犯体制を確認する。正面玄関、裏、非常、全ての入りを調べろ。
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次に患者、護師、医師、職員、当直者、清掃員、警備員。病院にいた全員から事を聞く」
刑事たちはメモを取った。
黒田警部補は続けた。
「それと、族のきも確認する」
若い刑事が顔をげた。
「族ですか?」
黒田警部補は頷いた。
「失踪事件の、族が関与している能性も考えなければならない。ではなく、事実を見る」
午9、黒田警部補と部の田刑事が病院を訪れた。田刑事は30代の若で、緊張した面持ちでメモ帳を握っていた。
2はまず病院の事務に会った。
「夜の警備体制について教えてください」
事務は額の汗を拭きながら説した。
「午9に正面玄関を施錠します。裏も内側から鍵をかけます」
「鍵は誰が管理していますか」
「警備員と夜勤の護師が持っています」
「防犯カメラは?」
黒田警部補が尋ねると、事務は申し訳なさそうに目を伏せた。
「実は、当院には防犯カメラがございません。予算の関係で、まだ導入できておりません」
黒田警部補はさく息を吐いた。
1991当、方の病院で防犯カメラを設置しているところはまだなかった。今なら映像で確認できることも、その代にはの記憶に頼るしかなかった。
次に警備員に話を聞いた。
「527の夜、何か変わったことはありませんでしたか」
「いえ、特には。いつも通りの夜でした」
「巡回は何にしましたか」
「午10、午0、午2、午4です」
「各階を回ったんですね」
「はい。廊を歩いて、異常がないか確認しました」
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