"消えた退院前夜" 第7話
誠さんは会社を休んでいた。恵子さんは就職活を断した。久志さんは学にくこともできず、でじっとしていた。
リビングの黒話のには、いつも誰かが座っていた。病院から、警察から、何か連絡があるかもしれない。そんな期待を捨てられなかった。
しかし話は鳴らなかった。
恵子さんは母の病に通い続けた。
病院側は「お荷物はいつでもお引き取りいただけます」と言ったが、恵子さんは首を振った。
「まだです。お母さんが戻ってきます」
護師たちは何も言えなかった。
615。子さんが消えてから3週が経った。
警察の捜査はき詰まっていた。黒田警部補は司に呼ばれた。
「黒田、この件だが」
「はい」
「の事件も抱えている。そろそろ員を減らしたい」
「しかし、まだがかりがありません」
「だからだ。これ以、同じ体制で続けても成果がるとは限らない」
黒田警部補は唇を噛んだ。司の言うことも理解できた。限られた員でくの事件を扱わなければならない。結果のない捜査に、いつまでもを割いておくことはできなかった。
「分かりました」
捜査本部は縮されることになった。
そのらせを聞いた誠さんは、警察署を訪れた。
「まだ妻は見つかっていないんです。捜査をやめないでください」
黒田警部補は静かに答えた。
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「やめるわけではありません。ただ、員がし減ります」
「員が減れば、見つかるものも見つからないじゃないですか」
誠さんの声は震えていた。
黒田警部補はをげた。
「申し訳ございません」
言い訳をしても仕方がなかった。
誠さんはうなだれて警察署をにした。
7、梅がけ、が来た。
しかし田にのるさはなかった。
恵子さんは母の部に入ることができなかった。ドアをけると母の匂いがして、涙が止まらなくなるのだ。
久志さんは学に戻った。しかし授業に集できなかった。友たちは事をり、何も聞かずにそっとしておいてくれた。
誠さんは会社に戻った。同僚たちは優しく接してくれたが、誠さんは仕事にが入らなかった。現にっても、ぼんやりと空を見げていることが増えた。
8。子さんが消えてから3か。
警察からの連絡は途絶えていた。
黒田警部補は々病院を訪れた。何か見落としがないか。何かがかりはないか。しかし何も見つからなかった。
病院では、子さんのことはしずつ忘れられていった。しい患者が来て、退院していく。常が繰り返される。
本さんだけは、々空いたベッドを見てため息をついた。
「田さん、どこにってしまったのかしら」
誰も答えることはできなかった。
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9。が来た。
病院の裏の公園では犀のりがしていた。子さんが好きだっただった。恵子さんはそのりを嗅ぐたびに涙を流した。
誠さんは毎晩、妻の写真を見ていた。笑顔の子さん。族4で撮った写真。幸せだった々が、い昔のようにじられた。
「子、どこにいるんだ」
写真に向かって呟いても、答えはなかった。
10、11。
季節は移り変わっていった。
しかし子さんは戻ってこなかった。
事件は未解決のまま、だけが過ぎていった。
警察署では、この事件のファイルが未解決事件の棚に納められていた。黒田警部補は々そのファイルをき、読み返していた。
何か見落としているはずだ。
何かがかりがあるはずだ。
しかし答えは見つからなかった。
12。
1991が終わろうとしていた。田では、初めて子さんのいない越しを迎えようとしていた。
リビングには正飾りもなかった。いつもなら子さんがさな飾りを玄関に置き、台所で越しそばの準備をしていた。
晦の夜、誠さん、恵子さん、久志さんはリビングに集まっていた。テレビでは戦が流れていたが、誰も見ていなかった。
3は黙って座っていた。
計が0を指した。
1992が始まった。
しかし田に、のびはなかった。
19921。
しいが始まっても、子さんは戻ってこなかった。
事件から8かが経っていた。
警察の捜査は事実、きのない状態になっていた。黒田警部補だけが、々ファイルをいて読み返していた。
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