みかん小説
本棚

"霊場巡礼の嘘" 第3話

佐藤は4500万円、林は2800万円、は4000万円。

全ての類に本の実印が押され、公証の印もはっきりしていた。

「これらの類は、いつ作成されたんですか」

「お1ずつ、おちになる1週ほどです。私から勧めたのではなく、信者様方から先にお話になりました。この世の財産が何の役につものか、仏に捧げて旅ちたい、と」

藤堂の調は穏やかだった。

しかし、神の胸の奥には違が残った。

4かで4。

全員が独り。

全員が財産を寄。

全員がき置きを残して消えた。

偶然というには、いすぎていた。

神は質問を続けた。

「4とも、ご族はいらっしゃらなかったんですか」

「はい。皆様、独りでいらっしゃいました。それでこちらにいらしたのです。孤独を柔らげるために」

「友やは」

「詳しくはじません。私は個な関係までは把握しておりませんので」

神は藤堂をまっすぐ見た。

「院先。正直、しおかしくありませんか。4かで4も消えているんです」

藤堂は微笑みを崩さなかった。

「刑事さん。ここは修院です。信仰のい方々が、最の願いとして霊に赴くのは自然なことです」

「おちになるに、おかしなはありませんでしたか。怖がったり、誰かを避けたり」

「まったくありません。むしろ普段より穏やかに見えていらっしゃいました」

広告

2の刑事は互いに目をかわした。

何かが審だった。

だが、具体な証拠がなかった。

「こちらで働いている従業員はいらっしゃいますか」

「院内に常駐する従業員はおりません。ただ、毎週から材を届けてくださる方がおいでです。桐葉子様といって、40歳ほどの女性です」

「その方にしお会いできますか」

「ちょうど本が配達のに当たります。もなくお越しになるはずです」

しばらくして、エプロンをつけたの女性が、豆腐の箱を抱えて裏から入ってきた。

ショートカットの髪に、あせたエプロン。顔は悪く、肩がし張っている。

神は子を勧めた。

「桐葉子さんでいらっしゃいますね」

「はい、そうです」

桐は子の端に腰をかけた。を膝のにきちんと揃えていたが、指先がわずかに震えていた。

「こちらに配達に来て、どのくらいになりますか」

「1し過ぎです」

「消えた4の老を覚えていらっしゃいますね」

「はい、覚えています」

「何かおかしな点に気づきませんでしたか。どんなことでも構いません」

桐はし迷った。唇を噛み、線をへ落とした。

しかし、やがて首を横に振った。

「よく分かりません。私は配達だけしていますので」

同僚刑事がしを乗りした。

「本当に何もお気づきにならなかったんですか。よく考えてみてください」

広告

桐はさらに顔を伏せた。

「私は本当に何もらないんです」

神は彼女の目をじっと見た。

何かを隠している。

それはらかだった。

しかし、無理にをかせることはできなかった。

神は名刺を差しした。

「でも何かいすことがありましたら、ご連絡ください」

桐は名刺を受け取り、エプロンのポケットにしまった。

「はい、分かりました」

彼女はに事務をていった。

その背を見送りながら、藤堂が穏やかに言った。

「桐さんは無な方です。仕事は真面目ですが、数がないんですよ」

神はちがった。

「本はこれで失礼します。追加調査が必になれば、改めてご連絡します」

藤堂は玄関まで見送り、丁寧に礼した。

「はい。いつでもお越しください。お力になれることは最善を尽くします」

に戻ると、同僚刑事がため息をついた。

「どうう」

神はエンジンをかけるに、修院の建物を見げた。

「何かあるのは確かだ。だが、つかめない」

「類は完璧だし、院の供述も貫している」

「あの配達の女、何かっている」

「俺もそうった。だが話さないなら仕方ない」

神はハンドルを握った。

「周辺の聞き込みから始めよう」

2、2は修院くのへ向かった。

最もいは修院から3kmほどれた所にあり、が15軒ほど並ぶさな集落だった。

れの雑貨で、60代半ばの主がレジカウンターに座っていた。

神は分証を示した。

「の方にある修院について、ごじのことはありますか」

広告

おすすめ作品

リンクを共有

以下のリンクをコピーして友達と共有してください: