"弁当箱の中の復讐" 第3話
「えっ」
「そうよ。どうして来なかったの? 町内会と班がカンカンだったわ」
私は言葉を失った。
その会は、美が「そのなら仕事が休みなので、私がきますよ」と言ってくれたものだった。をる、私は「ってらっしゃい」と見送った覚えもある。
では、美はどこへっていたのか。
私が戸惑っていると、ご所さんたちの話はさらに広がっていった。
「このもあの子、私の注をで笑ったの」
「あの子、目の奥が笑ってないわよね」
「あの子をに置いておくのは危険よ。ろくでもないわ」
私はその言葉を聞きながら、何が正しいのか分からなくなっていた。
「あの、それこそまさに会には、うちの嫁が席したはずなんですけど……」
私がそう言うと、ご所さんたちはきょとんとした顔をした。
「えっ? お宅からは誰も来てなかったわよ」
「町内会は事にしなきゃ駄目よ」
「すいません」
私はをげた。どういうことなのか分からず、胸のに嫌なものが広がっていく。
その、もう1の所のがいしたように言った。
「ていうか、それなら私、会にくにあの子を見たわ」
「どこでですか?」
「交差点の先の公園。タバコ吸ってたわよ」
私は唖然とした。
会にくふりをして、公園でタバコを吸っていたということなのか。
「本当に、あのお嫁さん丈夫なの?」
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そう聞かれても、私は答えられなかった。
自分でも、あの子は本当に丈夫なのかしら、と瞬ってしまったからだ。
「もないし、目がっても挨拶つしないしね」
「丈夫? お嫁さんに嫌なことされてない?」
「いえ、そんなことは……」
私はとっさに否定した。
すると、別の所のが自分の嫁の話を始めた。
「もう、うちの嫁なんてできた子でね。このも誕プレゼントをくれたのよ」
そこから、所のたちによる「嫁に事にされています自」が始まってしまった。
私は「娘が待っていますので」と言い、そのをれた。
に帰ると、美がいつもの笑顔で迎えてくれた。
「お母さん、お買い物お疲れ様でした。お茶を入れるんで休んでてください。材は私が蔵庫に入れておきますね」
その笑顔は、いつもの穏やかな美だった。
ゴミにネットをかけず、注されても同じことを繰り返し、挨拶もせず、町内会にもかないという悪評と、目のの美の姿はまったく結びつかなかった。
けれど、職の愚痴を激しい言葉で言っていた美が、挨拶がなっていないとられる理由は、彼女本にあるのかもしれない。
私は初めて、そうい始めていた。
、どこかのタイミングでじっくり話そう。
ゴミの苦の件も、町内会の件も、きちんと伝えよう。
そう考えていた。
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けれど、その矢先、娘の体調が突然悪化した。
そして、ゆりえはこの世をった。
ゆりえは、もともと脳性麻痺だけでなく、全や呼吸器の調など、いくつもの病を抱えていた。歳を超えた頃から体はかなりくなり、病院のお世話になることも増えていた。
余命を告げられたこともあった。
だから、まったく覚悟していなかったわけではない。
それでも、実際にそのが来ると、体の内側から何かが抜け落ちていくようだった。
を込めて、必に世話をしてきた。
眠る姿を見守り、呼吸を確かめ、事のわずかな反応を見逃さないようにした。さくく指先や、目の端のわずかな揺れで、ゆりえが何を訴えているのか汲み取ろうとしてきた。
それでも、こんなにもあっけなくってしまうのか。
私はやるせなかった。
正直に言えば、ゆりえを産んだことに苦悩したこともある。元気に産んであげられなかったことを、母親として申し訳なくった。苦しさに押しつぶされそうになった夜もあった。
会話らしい会話はできなかった。
私や夫のような、介護に慣れたが、彼女のきからを汲むばかりだった。ゆりえが本当にしたいことを、私はどれだけ叶えてあげられたのだろう。彼女なりに、したいことも、見たいものも、伝えたい気持ちも、もっともっとあったはずだ。
緒にいることには、苦悩も苦痛もたくさんあった。
けれど、それと同じくらい幸せもあった。
それなのに、夫の次に娘まで失うなんて。
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