"名刺一枚の逆転縁談" 第5話
彼は何か言おうとして、し言葉を詰まらせた。
私はふといついた。
「あ、いいこといついた。じゃあ私、仕事終わりにこっちのおに来るから、そのちょっとお祝いしてよ」
「え、そんなのでいいの?」
「そんなのって。祝ってくれるだけで分嬉しいよ。正直、仕事終わりに顔を見られるだけでもほっとするし」
優馬さんは驚いた顔をして、それから優しく笑った。
「俺、まなみのそういう理解のあるところ、本当に好きだわ」
「やだ。改めて言わないでよ。照れるじゃん」
「じゃあ当、楽しみにしてて。いっきりお祝いするから」
「だから、おなんだからそんなにいっきりお祝いしなくていいんだってば」
「よし、そういうことなら任せとけ」
そして誕当。
仕事を終えて「咲」にくと、優馬さんは笑顔で迎えてくれた。
「いらっしゃい。待ってたよ。さあ、こちらへどうぞ」
いつものカウンター席に案内され、私はメニューをこうとした。
「あ、待った。今は俺のおすすめをしてもいい?」
「え? いいけど。どうしたの?」
「今はちゃんと美しいものをべてほしいなとって」
「何言ってるの。いつもすごく美しいよ」
「まあ、せっかくだし」
「じゃあ今はさんおすすめのメニューでお願いします」
優馬さんは、料理を程よいタイミングでしてくれた。
てきたのは私の好物ばかりだった。
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牛肉のワイン煮、季節野菜のグリル、魚のカルパッチョ、そして私が好きなしめの赤ワイン。
営業なので忙しそうだったが、彼はを見ては話をしに来てくれた。
そして最に持ってきてくれたのは、アニバーサリーデコレーションを施したデザートプレートだった。
「まなみ、ハッピーバースデー」
プレートには、チョコレートで「Happy Birthday」とかれていた。
「わあ、い。優馬さん、ありがとう。こんなにしてくれるとはわなかったよ」
「これくらいするよ。彼女の誕なんだから」
優馬さんはし緊張したように息を吸った。
「それに、俺、ちゃんと言いたいことがあったし」
「言いたいこと?」
彼はカウンターの内側からてきて、私のにった。
内の空気が、し変わった。
常連客たちの線が、ちらりとこちらに向く。
「藤井まなみさん」
優馬さんの声は、し震えていた。
「俺と結婚してくれませんか?」
私は瞬、何を言われたのか理解できなかった。
「俺さ、まなみほど気がう女の子、初めてなんだよ。まなみとなら、きたいところに気兼ねなく緒にけるし、本音で話しえる。だから、ずっと緒にいたい」
彼はもう度、まっすぐ私を見た。
「俺と結婚してくれませんか?」
「え……」
胸の奥がくなった。
誕にプロポーズされるなんて、ってもみなかった。
「まなみ、返事は?」
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「あ、はい。えっと……こちらこそ、よろしくお願いします」
私がそう答えると、息をんで見守っていた員さんとお客さんたちが、斉に拍してくれた。
本当にいい誕だった。
ただ、1つだけ気がかりなことがあった。
「ねえ、でも丈夫?」
「何が?」
「あなたのご両親よ。ほら、ホルモンにくに会ったでしょ? 私、元ヤンとか、みすぼらしいとか言われたし。結婚するなんて言ったら、反対されるんじゃないかしら」
「それは俺がちゃんと誤解を解いて説得するよ」
「丈夫かな。絶対に反対されるわよね」
「丈夫。任せて」
彼の言葉に、私はししようとした。
けれど、そのが簡単に消えることはなかった。
プロポーズの、私は初めて優馬さんの実について詳しく聞いた。
「そういえば、ご両親のお仕事って何? あの、ミシュランのお寿司さんにくって言ってたよね。それにスーツもブランド物みたいだったし。もしかして優馬さんって、実がお持ちだったりする?」
優馬さんはし困ったように笑った。
「そんなお持ちってわけじゃないんだけどな。ただ、輸入品の会社を経営していて、父さんが社なんだ」
「社? そうだったの?」
「うん。でも経営者っていっても、会社はそんなにきいわけじゃないし、そんなに構えないで」
「そんなこと言われても構えるわよ。
彼氏の両親なんだし」
私は彼の両親の姿をいした。ブランドスーツ、級計、港区のタワーマンション、ミシュランの寿司。
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