"湖底の五本柱" 第3話
なだれの危険がある斜面も慎に調べられた。
捜索員たちは声をかけいながら、を掘り、枝を払い、川沿いまで探した。
しかし、5の姿は見つからなかった。
それどころか、彼らがにつけていたの切れ端ひとつ、発見されなかった。
彼らは文字通り、神隠しに遭ったかのようだった。
この事件は、「鏡ダム失踪事件」としてきく報された。
ワイドショーでは連、専たちがさまざまな推理を披した。集団自殺説、制失踪説、なだれによる埋没説、さらには国拉致説までび交った。
しかし、どの説も「跡のない」という謎を論理に説することはできなかった。
なだれの痕跡はどこにもなかった。
彼らの活背景を調べても、集団で自殺するようなは見当たらなかった。相馬には妻と娘がおり、寺は翌に結婚式を控えていた。も、への着はかったものの、移転先でのしい活に向けた準備をめていたという証言が得られている。
捜査は難航した。
事件から1週、事態が急変する。
捜索隊の1が、龍鳴寺のから奇妙なものを発見したのだ。
それは、方となっていた作業員の1、佐藤が所持していたとわれる使い捨てカメラだった。
カメラは本堂の縁の、とにまみれた板の隙に落ちていた。
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図に隠されたものなのか、争いの最に偶然滑り落ちたものなのか、すぐには判断できなかった。
捜査本部はそのカメラを慎に回収し、現像へ回した。
暗では、現像液の刺激臭が漂っていた。赤い全灯ので、1枚、また1枚と写真が浮かびがっていく。
捜査主任である藤警部は、ガラス越しにその作業を凝していた。
現像された24枚のフィルムの部分は、退屈な記録写真だった。
作業の材確認。
クレーンの設置状況。
景。
梵鐘を吊りげる準備をする作業員たち。
しかし、最の数枚が、捜査員たちの予を根底から覆した。
22枚目の写真には、計が映り込んでいた。
トラックの運転席に取り付けられた計を撮したものらしく、刻は午240分を指していた。これは、セダンの3がゲートを通過してから25分の刻である。
そして問題は、23枚目と24枚目だった。
23枚目には、黒いセダンが写っていた。
所は龍鳴寺の境内である。
ここで最初の矛盾がじた。
捜索隊がセダンを発見したのは、寺から500メートルほどの林の広だった。そこは、周囲に跡がなく、3が消えたと考えられていた所である。
しかし、この写真が真実であるなら、彼らは度、違いなく目である寺に到達していたことになる。
は寺まで来ていたのだ。
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ではなぜは再び林を500メートルも戻り、あのような自然な状態で乗り捨てられていたのか。
バックで戻ったのか。
だが林は1台がようやく通れるほど狭く、猛吹ので500メートルも退するのは、熟練の運転でも難しい。そもそも、寺から林へを移させたのなら、その運転はどこへ消えたのか。
さらに衝撃だったのは、最の24枚目の写真だった。
フラッシュが焚かれたその画像には、セダンの乗員である3と作業員2が対峙している様子が鮮に記録されていた。
が激しくう、設計士の相馬、建設会社の寺、そして老のが、作業員たちと何かを話し込んでいる。
いや、表を拡解析した鑑識の報告によれば、それは穏やかな会話ではなかった。
相馬は両を広げ、何かを制止しようとしている。寺は厳しい顔つきで作業員を睨みつけている。
そして最も異様だったのは、茂蔵だった。
彼はカメラのレンズの方、つまり撮者である佐藤の方へ向き、鬼のような形相で指を差していた。
その指先は撮者を断罪しているようにも、あるいは背の何かを警告しているようにも見えた。
藤警部は、この写真が撮された直に何かが起きたと確信した。
写真の粒子越しにも伝わる緊迫は、単なる事の打ちわせのレベルを超えていた。
彼らは寺で流した。
そこでトラブルになった。
そして、その全員が消えた。
だが、物理な謎はまるばかりだった。
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