"湖底の五本柱" 第5話
銭トラブル。
ありふれただが、状況証拠としては力だった。
もしがそのを隠し持っており、それを作業員たちがっていたとしたら。
あるいは、相馬や寺がそののをり、と共謀したのだとしたら。
写真のでが激していた理由は、に関することだったのだろうか。
藤は写真解析班に追加の指示をした。
「24枚目の写真だ。が指差している方向だけでなく、彼らの元と元を徹底に解析しろ。何かを持っているか、元に何かが落ちていないか、細部まで見るんだ」
デジタル処理による度補正がむにつれ、写真の隅、に溶け込んでいた部分にある物体が映り込んでいることが判した。
それは、ブルーシートのに置かれた梵鐘の脇に、無造作に置かれた何かだった。
とにまみれた、古びた革製のボストンバッグ。
がいつも持ち歩いていたという鞄に酷似していた。
もしそのに1500万円が入っていたとしたら。
あの写真は、の奪いい、あるいは交渉が決裂した瞬を捉えていたのかもしれない。
だが、のためにを殺し、さらに解なの偽装作までえる物とは体誰なのか。
藤は、写真に映る5の顔を何度も見返した。
ので止まったその瞬が、これから起こる惨劇の直だったことだけは、もはや疑いようがなかった。
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翌、捜索隊はたな遺体を発見することはできなかった。
しかし代わりに、奇妙な痕跡を見つけた。
セダンが発見された現からさらに数キロれた。ダム建設に伴い伐採された杉林の跡に、1軒の作業が残されていたのである。
そのは、図には載っていなかった。資材置きとして使われていたのか、あるいは誰かが違法に建てたものなのか、見ただけでは分からない粗末な建物だった。
扉は施錠されていなかった。
捜査員が慎に扉をけると、にはがいた痕跡があった。
比較しい缶詰の空き缶。
使い込まれた毛布。
そしてを取ったとわれる練炭の燃えかす。
鑑識の結果、その練炭が燃やされたのは、事件当の夜から翌朝にかけてであることが推定された。
つまり、誰かがあの猛吹の夜、このに潜伏していたのだ。
藤は現へ急した。
のは焦げ臭く、暗かった。板張りのは湿っており、壁の隙からたいが吹き込んでいる。窓ガラスの端にはが張りつき、内にあったはずのわずかなも、今は完全に失われていた。
彼はに落ちていた片の切れに目を止めた。
破られたメモ用の部だった。
そこには震える跡で、謎めいた数字と文字がき殴られていた。
「351209R」
藤は眉をひそめた。
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「何かのコードか……座標か」
彼はそのメモを証拠品袋に入れながら、背筋にたいものをじた。
このにいた物は、5のうちの誰か、き残った者なのか。
それとも、彼らを消しった第者なのか。
その、無線が入った。
鑑識課からだった。
「警部、セダンのトランクの調査結果がました。ルミノール反応、陽性です。量の血液が拭き取られた痕跡があります」
藤は息を呑んだ。
セダンは、誰も乗っていなかったのではない。
体を運搬するために使われたのだ。
寺で殺害された誰かをトランクに乗せ、広まで運び、そしてまた別の所へ移した。
しかし、やはり跡の謎がちはだかった。
犯は体をからろした、どうやって消えたのか。
藤はの窓から、に埋もれゆくを見ろした。
このは、単なるダム建設ではない。
何もの嘘と欲、そして酷な計算が渦巻く巨な密だった。
そして彼はまだらなかった。
この事件の背には、の歴史そのものに関わる、よりく暗い因縁が隠されていることを。
ダムの底に沈められようとしているのは、や畑だけではなかったのである。
翌、DNA鑑定の結果が届いた。
セダンのトランクから検された量の血液。その主は、方となっている作業員、佐藤のものであることが判した。
龍鳴寺のからカメラが見つかった、あの佐藤である。
写真ので老に指差されていた彼が、その何者かによって殺害され、セダンのトランクに詰め込まれたことになる。
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