"湖底の五本柱" 第17話
は復讐のためにそれを使ったように見せながら、実際には1円もをつけていなかった。
彼にとってそのは、財産ではない。
罪の証拠だった。
その、無線が入った。
「警部、ダム堤体内部、先ほど没したゲート操作付でカメラが反応を捉えました」
藤は無線をに取った。
「か」
「いえ、形が違います。もっとさい」
通信の声は震えていた。
「子どもです。子どもの遺体がゲートに引っかかっています」
藤はを仰いだ。
事件は、まだその全貌を見せていなかった。
その遺体は、最くなった子どものものではなかった。
回収されたのは、特殊な脂とコンクリートで固められ、像のように保された30のの遺体だった。
翔太だった。
茂蔵は、かつて隠蔽された孫の遺体を、何らかの方法で掘り起こしていた。そして防腐処理を施し、どこかに保管していたのだ。
最に彼は、その孫を「神」として、ダムの臓部へ返した。
藤たちは、言葉もなくそのさな遺体を見つめた。
子どもの体は自然なほどさかった。30というが経っても、そのはかった。ダム建設という代化の象徴の裏に隠された、あまりにも々しい犠牲の姿だった。
翌、藤は警察病院の相馬賢を訪ねた。
相馬は鎮静剤の効果が切れ、虚ろな目で井を見つめていた。
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頬はこけ、唇は乾き、数で気に老け込んだように見えた。
藤は何も言わず、のをベッドサイドに置いた。
相馬は震えるでそれを読み始めた。
最初は目を細めていた。
次第に顔から血の気が引き、やがて喉の奥から犬のような嗚咽を漏らした。
「俺だ……俺が殺したんだ……」
相馬は泣き崩れた。
30、彼は悪に苛まれてきた。優秀な建築士として名をはせ、庭を持ち、社会位を築きながらも、の奥では常に鏡のに怯えていた。
今回ダムの完成を見届けるために現入りしたのは、罪滅ぼしのつもりだったのか。
それとも、過を完全に封印するためだったのか。
いずれにせよ、茂蔵という老の執は、それを許さなかった。
相馬は涙で濡れた顔をげ、藤を見た。
「父さん……さんは、どこにいるんですか」
藤は首を横に振った。
「まだ見つかっていない」
だが、藤には確信があった。
茂蔵は逃などしていない。
彼は、5つの柱の儀式を完遂した。
黒田、田、佐藤、寺がに、相馬がきた柱となった。
ならば、儀式を取りった祭主である自は、どこへ消えたのか。
その答えは、ダムの構造そのものにあった。
藤は押収した相馬の図面と、が改ざんしたゲート操作ログを照らしわせていた。
が最にゲート操作へてこもった際、彼は単に放流ゲートをけたわけではなかった。
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さらに監査廊の閉鎖壁を作させていた。
それは、ダム内部の通を区切り、没エリアを限定するための非常用設備だった。
だがは、その隔壁を逆に利用した。
彼は自分自がいるゲート操作を含む最部の区画を、部から完全に遮断したのだ。
そして、その密閉された空にあえてを導入した。
部が図面を覗き込み、青ざめた声で尋ねた。
「警部、どういうことですか。まさか、まだきていると?」
「いや」
藤は図面の最部、50メートルの点を指差した。
「ぬ所を選んだんだ。誰にも邪魔されず、誰にも見つからない所をな」
その区画は分いコンクリートと鉄扉で守られている。没しても内部が完全にで満たされるまでにはがかかる。あるいは空気が残るポケットがするかもしれない。
しかし、今からそこをくことはできない。
を引きげるには、ダムのをすべて抜き、さらに堤体の部を破壊するしかない。流のの全と、すでに定になったダムの現状を考えれば、それは事実能だった。
茂蔵は、文字通りダムの部となったのだ。
数、事件の全容が公表された。
県議会議員を含む5の。
30の隠蔽事件。
建設会社は宅捜索を受け、ダム建設に関わる贈収賄や隠蔽作が次々とるみにた。
鏡ダムの運用は無期限凍結が議論されたが、治の必性から、皮肉にも「完成扱い」
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