"50年目の沈黙の部屋" 第6話
注文した茶にはほとんどをつけていなかった。
「私は、ずっと黙っていました」
彼女はそう言った。
「でも、忘れたはありません」
彼女の話によると、その病院は、特に3階が獄のような所だった。
資はし、職員もりなかった。複雑な症状を抱えた患者がく、公式の治療方法では対応できないこともかった。
そので、院である田賢治の暗黙の命令により、スタッフたちは非公式な方法を使い始めた。
それは治療ではなかった。
懲罰だった。
事を減らす。
数ベッドに縛り付ける。
をかける。
暗い部に閉じ込める。
目は患者を治すことではなく、志を折り、黙らせ、従わせることだった。
田はそれを「疲労による鎮静法」と呼んでいたという。
患者を極度の肉体、精神疲労に追い込めば、攻撃性が消え、治療を受け入れるようになると信じていた。
もちろん、それらは正式な記録には残らなかった。
査察が入るには隠された。
そして、その非公式な懲罰の頂点が、塗り込められていたあの部だった。
職員のでは、それを「沈黙の部」と呼んでいた。
絶望と判断された患者がそこへ送られた。
標準な鎮静方法では従わない者。
暴れる者。
叫び続ける者。
医師や護師の指示に抵抗する者。
その部に数、には1週ほど閉じ込められた。
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はなかった。
や事もごくわずかだった。
くの、患者はてきたには別のように静かになっていた。元護師は、そう語ったで唇を噛んだ。
「静かになったのではありません。壊されていたんです」
そして、吉川のは違っていた。
彼女は吉川を覚えていた。
「彼は、怖がっていました」
元護師は両を見つめながら言った。
「確かに妄はありました。神や悪魔の話をして、自分は預言者だと言っていました。でも、あのの攻撃性は、ただの暴力ではなかったといます。恐怖への反応でした」
吉川は医師を恐れていた。
注射を恐れていた。
の患者を恐れていた。
彼を従わせようとすればするほど、彼は悪化した。ますます内にこもり、ますます怯え、そして追い詰められた物のように攻撃になった。
19737初旬、吉川は刻な発作を起こした。
病の窓を割り、そのガラス片で護師を傷つけた。
その直、田が個に命じた。
「沈黙の部へ入れろ」
元護師は、そののことを覚えていた。
吉川は連れてかれる、激しく抵抗しなかったという。ただ、くを見るような目をしていた。声もさず、力を抜いたように職員に支えられていた。
扉が閉じられた。
最初の数は、部のから叫び声が聞こえた。
壁を叩く音もした。
それから、音がしずつくなった。
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やがて、何も聞こえなくなった。
スタッフはその部にづくことを禁じられていた。
田の命令で、すでにくなった古参の付き添い職員だけが、べ物とを持っていったという。
1週ほど、部から完全に音が消えた。
数の護師が、吉川はどうなったのかと院に尋ねた。
田は落ち着いた声で答えた。
「彼の状態では、京のより専な病院への転院が必だ。夜に緊急移送した。の患者を刺激しないためだ」
誰も異議を唱えなかった。
田は院だった。
彼の権威は絶対だった。
病院の活は、そのまま続いた。
数週、田が雇った作業員が現れた。
そして、沈黙の部の入を塞いだ。
レンガを積み、漆喰を塗り、何もなかったような壁に変えた。
職員が理由を尋ねると、田は「老朽化して危険だから封鎖する」と答えた。
みんな、それを信じるふりをした。
誰も職を失いたくなかった。
誰も問題に巻き込まれたくなかった。
元護師は、カップを握るに力を込めた。
「私たちは、何が起こったのか分かっていました。なくとも、像はしていました。でも、怖かったんです」
彼女は目を伏せた。
「私は毎、あの壁のを通っていました。にが残っているかもしれないといながら。それでも、何も言えませんでした」
50く、その罪は彼女のに残っていた。
元護師の証言は、捜査にとってきな突破となった。
吉川は転院していなかった。
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