"湯殿床下の女将日記" 第9話
増え続ける借。
夫をくした、1で背負ってきた責任。
そして、息子の問題。
彦の借をった、沢子は何度も悩んだ。
助けたい。
でも、自分にはもう力が残っていない。
旅館を売ればいい。
そう考えたこともあった。
しかし、糸は夫と共に守ってきた所だった。
き夫のい。
従業員たちとの。
簡単には放せなかった。
そんな、借取りが現れた。
「旅館を担保にすればいい」
「それでもりなければ、別の方法を考えればいい」
男の言葉はたかった。
そのには、沢子自を利用しようとする図もあった。
その、彼女は悟った。
このままでは彦も、糸も壊される。
だから決めた。
自分が消える。
彦にを与える。
それしか方法がなかった。
「息子には……嫌われてもいいといました」
沢子はを見ながら言った。
「母親として失格だとわれても……きていてくれれば、それでよかったんです」
塚は何も言えなかった。
母親というのさを、目のの女性からじていた。
「でも……」
沢子はさく続けた。
「本当は毎、会いたかったです」
「声を聞きたかった」
「元気なのかりたかった」
その言葉には、6してきた母親の本音が込められていた。
塚は静かに答えた。
「沢子さん」
「息子さんは、あなたが守った未来のできています」
その言葉を聞いた沢子は、ゆっくり顔をげた。
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「彦さんは……」
「今、どうしているんですか」
塚は静かに頷いた。
「それを伝えるために、私はここへ来ました」
そして、塚は彦の6を語り始めた。
塚が語り始めた彦のそのを、沢子は言も発することなく聞いていた。
6、彼女が最も恐れていたこと。
それは、息子が自分の借に押しつぶされ、そのものを失ってしまうことだった。
だからこそ、沢子は自分のを消した。
母親としてそばにいることもできない。
声をかけることもできない。
くから見守ることすら許されない。
それでも、息子がき直すを作るためなら、自分は耐えられるとった。
しかし、本当のところは違っていた。
毎朝目が覚めるたびにった。
彦は今も無事だろうか。
事は取っているだろうか。
誰かに責められていないだろうか。
母親である自分が、そばにいてやれないことが何度も苦しかった。
けれど、糸をたあの。
沢子は決めたのだった。
度決めたなら、最までやり通す。
それが息子を守るために自分ができる唯のことだった。
「彦さんは……」
塚はゆっくりと言葉を選びながら話した。
「最初は、かなり苦しんでいました」
沢子の指がわずかにいた。
「お母さんが突然いなくなったことで、自分を責め続けていたそうです」
「……そうですか」
沢子はさく呟いた。
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その声にはしみが滲んでいた。
「きっと……あの子はそうするとっていました」
彦は昔から優しい子だった。
幼い頃、旅館の伝いをする両親を見ながら育った。
の笑顔を見ることが好きな子だった。
しかし、になり、都会へてからしずつ変わっていった。
成功したい。
親に認められたい。
父親のようになりたい。
そんな気持ちがすぎて、無理をねた。
そして、取り返しのつかない失敗をした。
「でも……」
塚は続けた。
「彦さんは、そこから逃げませんでした」
借から逃げることもできた。
名を変えることもできた。
誰かのせいにすることもできた。
しかし、彼は向きった。
しずつ仕事を探した。
借を理した。
はかかった。
何もかかった。
でも、最には自分の力でち直った。
「今は京で働いています」
「普通の仕事です」
「派な暮らしではありません」
「ですが、真面目に毎をきています」
その言葉を聞いた瞬。
沢子の目から涙がこぼれた。
6。
番りたかったこと。
それは、息子が幸せなのかどうかだった。
財産でもない。
名誉でもない。
ただ、きていてくれること。
それだけだった。
「そうですか……」
沢子は何度も頷いた。
「よかった……」
さな声だった。
しかし、その言には6分のいが込められていた。
「私が消えたが……しはあったのでしょうか」
塚は迷わず答えた。
「ありました」
「あなたが守ろうとしたものは、確かに残っています」
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