"消えた父子の23枚" 第5話
もなく表示された報を見て、2は驚きのあまり言葉を失った。
鈴湊、20歳。京学質学科2。
「私たちと同じ学科にいたのね」
奈は湊のプロフィール写真をき、カメラに写っていた赤ん坊の顔と見比べた。濃い茶の髪や目元の形は、になった湊とよく似ているように見えた。
さらに湊のSNSを確認すると、部で撮された写真の背景に古い熊のぬいぐるみが写っていた。片方のには縫い直した跡があり、ハルトが洞窟で抱いていたぬいぐるみと致していた。
「違いないとう」
優斗は写真を拡し、破れた位置を確認した。
「湊が、あののハルトだ」
翌朝、2は質学科の特別講義がわれる教へめに入り、湊が来るのを待った。学たちが席を埋めていく、そうなバックパックを背負った湊が1で教へ入ってきた。
優斗は隣の空席を指し、自然な様子でを振った。
「ここ、空いてるよ」
湊はし迷った、優斗の隣へ腰をろした。奈は正面を向いたまま、横目で顔ちを確かめた。
「俺は田優斗。こっちは佐藤奈。俺たちも質学科なんだ」
「鈴湊。2です」
簡単な自己紹介の、優斗は奥摩で質調査をしていると話した。その名を聞いた瞬、湊の表がわずかに変わった。
「奥摩のどの辺りですか」
「側の斜面だよ。
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さな洞窟があって――」
「何か見つけたんですか」
湊は優斗の言葉を遮った。あまりにも素い反応に、優斗と奈は瞬線を交わした。
奈は警戒させないよう、穏やかな調で答えた。
「古い層や、し変わったものが見つかっただけよ」
教授が教壇へがったため、会話はそこで終わった。講義、湊は落ち着かない様子で指先を机に打ちつけ、何度も優斗たちの方へ線を送っていた。
講義が終わると、優斗は湊を昼へ誘った。3は学くのラーメンへ入り、しばらく授業や研究について話した。
奈は頃いを見て、湊のSNSに写っていたぬいぐるみの話を切りした。
「部に置いてある熊のぬいぐるみ、ずいぶん古そうだったけど、切なものなの?」
湊の箸がどんぶりので止まった。
「あれは、子供の頃から持っているんです。どうしてあんなに切なのか、自分でも分からない。ただ、捨ててはいけない気がして」
顔が変わったことに気づき、奈はそれ以追及しなかった。3は連絡先だけを交換し、そのは別れた。
数、優斗たちは勉会を実に湊の部を訪れた。内は理され、本棚には質学の専と数冊の説が並んでいた。
本棚の最段には、あの熊のぬいぐるみが置かれていた。湊がみ物を取りに部をれた隙に、奈はぬいぐるみを撮し、カメラの写真と並べて確認した。
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「同じものよ。破れていたが、同じ所で縫い直されている」
優斗はカメラの写真をさらに拡した。赤ん坊のに付着した血痕の向こうに、特徴な模様が写り込んでいることに気づいた。
湊の部の壁にも、同じ形の模様があった。洞窟と部が同じ所というではなく、何者かが赤ん坊の記憶に残った模様を図に再現した能性があった。
「何をしているんですか」
み物を持って戻った湊が、扉のにっていた。優斗と奈が携帯話を隠したきを、彼は見逃していなかった。
「質調査の写真を確認していただけよ」
奈が答えたが、湊は2を鋭く見つめた。
「本当は、僕に聞きたいことがあるんでしょう。最、僕のことを調べていますよね」
「湊君、俺たちは――」
「やめてください」
湊は震えるでカップをテーブルへ置いた。
「あなたたちが誰なのかはりません。でも、僕のに勝に入り込まないでください」
奈は最のつもりで尋ねた。
「伊藤輝という名に、当たりはない?」
湊の顔から血の気が引いた。にしていたカップがへ落ち、み物が広がった。
「ていってください」
「湊君、話を聞いて」
「今すぐていけ!」
優斗と奈は、それ以そのにいることができなかった。扉が激しく閉まったも、2は廊でしばらくち尽くしていた。
部に残った湊は鏡のへち、自分の顔をく見つめた。
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