"8年目の遺失物" 第6話
子によれば、その写真は裕子宛てのに同封されていたという。裕子は話の相について、昔の友だとだけ話し、詳しい名を教えなかった。
渡辺は写真を証拠品として預かり、裕子のたちへ順番に見せていった。学の同級、所の民、縫製の元同僚。
答えはったよりく見つかった。
写真を見た林まゆが、すぐに女性を指さした。
「松本さゆりさんです。裕子さんが『さゆりお姉さん』と呼んでいました」
松本さゆりは、裕子より13歳の女性だった。裕子が結婚に勤めていた墨田区の縫製で先輩として働き、悩みを聞いてくれる姉のようなだった。
渡辺が連絡先を調べ、話をかけると、さゆりはい沈黙ので答えた。
「待っていました。いつか警察から連絡が来るとっていました」
2、渡辺は京のさな縫製を訪れた。壁の向こうからミシンの規則な音が聞こえる事務で、さゆりは両を膝のへ置き、ゆっくり話し始めた。
裕子から最初に連絡があったのは、1997のだった。数ぶりに聞いた裕子の声はひどく疲れ、言葉を選びながら話すたびにい沈黙が入ったという。
誠からく当たられているとは、はっきり言わなかった。しかし、銭の使い方を細かく責められ、自分の族へ連絡することも嫌がられていることは、会話の端々から伝わってきた。
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さゆりは何度か裕子と会い、状況が単なる夫婦喧嘩ではないとじた。さらに裕子には、族へ話しにくい別の悩みがあった。
渡辺が促すと、さゆりは窓のへ線を向けた、静かに言った。
「誠さんには、別の女性がいました。裕子さんは、お盆休みの直にそれを確かめたんです」
渡辺のに、県の固定話と本美紀の名が浮かんだ。
「本美紀ですか」
さゆりはゆっくり頷いた。
裕子は、夫と美紀が単なる同級ではないとり、へ戻ることが怖くなった。しのだけを隠し、自分で今を考えたいと、さゆりへ相談していた。
さゆりは、必なら迎えにくと約束した。それが写真の裏に残されていた、「いつでも助けてあげる」という言葉のだった。
お盆休み最終の夜、さゆりは裕子から頼まれ、富士川サービスエリアのくまでをらせた。約束のになっても裕子は現れず、話にもなかった。
1以待った、さゆりは遺失物センターのに置かれたベージュのバッグを見つけた。を確かめると、裕子の財布や分証が入っていたため、すぐに本のものだと分かった。
「どうすればいいのか分かりませんでした。ただ、裕子さんから警察にはらせないでほしいと言われていたんです」
さゆりの目が赤くなった。
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「自分で決断できるように、しだけが欲しいと。私はその言葉を信じました。いいえ、信じたかったのだといます」
さゆりはバッグを遺失物センターへ預け、そのまま京へ戻った。裕子が自分ので別の所へったのだと考え、警察にも族にも連絡しなかった。
しかし、最の疑問は残った。
裕子は約束した所へ現れず、午1012分よりの午11頃、サービスエリアかられた国沿いで目撃されていた。
バッグを置いた、裕子はどこへ向かおうとしていたのか。
渡辺は、裕子の取りを順に並べ直した。
午8頃、夫婦が富士川サービスエリアへ到着。午8半頃、裕子に似た女性が子をかぶった男性と歩いているのを売の従業員が目撃。
午1012分、さゆりがベージュのバッグを遺失物センターへ預ける。そして午11過ぎ、サービスエリアかられた国沿いで、い髪の若い女性が1でっていた。
バッグが預けられたも、裕子はその周辺にいた能性がい。渡辺は農の吉田を再び訪ね、目撃した女性のくに何かなかったかを細かく聞いた。
吉田は腕を組み、しばらく畑の向こうを見つめたで頷いた。
「しれた肩に、が止まっていました。さなトラックだったといます」
「女性はそのトラックに乗りましたか」
「そこまでは見ていません。ただ、私が通り過ぎたには止まっていました」
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