"鳴らなかったホイッスル" 第7話
さらに融記録から、事件2、島の秘密座からへ200万円が送されていた事実も確認された。
古い料所の記録には、事件当の観バスが予定より約1遅れて通過し、体部と側面に量のが付着していたとの記載が残っていた。
全ての証拠が、島の説を否定していた。
島は美咲に衝突した、事故の発覚を恐れた。
まだきていた美咲をい物で殴り、にを渡して、事途の擁壁内部へ埋めさせた。
そして運記録を壊し、ヘッドライトを交換し、偽の目撃証言をった。
公訴効の完成まで、残り1。
検察は島を殺および体遺棄の罪で正式に起訴した。
裁判が始まると、島は貫して犯を否認した。
「15のことは覚えていません。捜査関が世論に押されて作りげた話です」
最初に証言台へったのは鈴老だった。
老は震えるですりを握り、の夜に目撃したことを話した。
「バスが女のにぶつかりました。女のはきていました。運転がを殴り、ミキサーでコンクリートを流し込ませたんです」
続いての息子が、父親のノートと誓約を提した。
「父はぬまで、あの夜のに苦しんでいました。がるたびに、美咲さんに謝っていました」
科学捜査員は、髪の毛のDNA、ヘッドライトレンズ、ホイッスルに付着した繊維、蓋骨の損傷について説した。
広告
事件翌の備記録と、200万円の送記録も提された。
最に健が証言台へった。
には、美咲が失踪に残していたと、最の料袋があった。
「姉は、僕を学へかせるために働いていました」
健はをいた。
――健、お姉ちゃんが懸命働いて、あなたを学へかせてあげるからね。どんなことがあっても、自分のを諦めないでください。
健の声が震えた。
「姉は自分から消えたのではありません。最まできようとして、ホイッスルを握っていました」
そして被告席の島をまっすぐに見た。
「姉が助けを求めた、あなたはその希望を奪った。祖母は姉を待ちながらくなりました。僕の15も、姉の23のも、あなたが奪ったんです」
傍聴席からすすり泣く声が聞こえた。
島は最まで反省を示さなかった。
最終陳述では、自らの社会功績を考慮するよう求めた。
「私は、域経済と観業に貢献してきました。その点も評価していただきたい」
裁判は厳しい表で島を見た。
「被告は、自らの過失を隠すため、助けを求めていた被害者の命を奪いました。その、共犯者をで買収し、遺体をコンクリート内部へ隠し、期にわたって遺族を苦しめ続けました」
法廷は静まり返っていた。
「犯も証拠隠滅と捜査妨害をね、現に至るまで真摯な反省は見られません」
広告
裁判は判決を言い渡した。
「被告を無期懲役に処する」
島は刑務官に両腕を支えられ、法廷をにした。
健は裁判所のへると、の空を見げた。
15続いた戦いが終わった。
だが、姉が戻ってくるわけではない。
それでも、した女性として残されていた美咲の名は、ようやく真実とともに族のもとへ帰ってきた。
事件解決、箱根峠の古い擁壁は全て撤された。
跡にはさな追悼公園が備され、美咲を偲ぶが植えられた。
健は姉の遺骨を葬し、その部を追悼のへ納めた。
15、たいコンクリートのに閉じ込められていた美咲は、ようやくのとの届く所で眠ることになった。
健は民事訴訟で受け取った賠償のくを、方者の族を支援する団体の設に使った。
捜査を打ち切られ、自分たちだけで族を探さなければならない々を助けるためだった。
そして38歳になった健は、学へ入学した。
専攻は社会福祉学だった。
姉が望んでいた「派なになる」という約束を、15遅れて守ろうと決めたのだ。
翌の1014。
美咲の命に、健は再び箱根峠の追悼公園を訪れた。
々は赤くづき、たいが枝を揺らしていた。追悼のには、くの民がを供えていた。
「お姉さんのこと、忘れません」
広告
おすすめ作品
-
完結第21話
日本一情の深い父の裏の顔
妹がサービスエリアで姿を消して5年。全国を巡り「日本一情の深い父親」と称賛される父から、私は古いワゴン車を譲り受けた。だが車内の清掃中、妹の指定席だったシートベルトが事故の衝撃で「4センチ」伸びきっているのを発見する。さらに奥底から見つかったのは、刃物で切断された妹の防犯ブザーだった。父に問いただすと、かつてない冷酷な声で「今すぐ車を処分しろ」と脅され――。私は父の狂気と真実を暴くため、ある決断を下す。ミステリー|裡の顔|真相|行方不明3.1万字5 75 -
完結第11話
九時三十四分の地下鉄、消えた暴行犯
午前九時三十四分、地下鉄の車内で若い男が突如狂乱し、中年客の顔面を骨が軋むほど殴打した。床一面に飛び散る鮮血。だが、隣に座る同じ社章をつけた上司は、ただ口をあわあわと震わせ「腰を抜かして」座り込むだけだった。乗客たちと男を取り押さえ、駅員にすべてを通報した俺。しかし翌日、警察の発表も新聞の三面記事も、この凄惨な事件を「最初から存在しなかった」かのように完全に黙殺していた。なぜあの凄惨な暴力は一行も報道されず、駅の防犯カメラ映像すら消去されたのか。数年後、俺はある大手企業の役員名簿の中に、あの朝、冷たいホームの柱にすがってガタガタと震えていた「あの上司」の顔写真を見つけ、息を呑んだ――。ミステリー|真実1.6万字5 101 -
完結第19話
三十二人目の卒業写真
教職を退いた夜、三十年前に送り出した最初の教え子たちが開いてくれた送別会で、私は三十一人分の感謝の手紙を受け取った。だが自宅で数え直すと、名簿にない三十二通目の白い封筒が混ざっていた。便箋には「全員が卒業しました。私一人を残して」とだけ記されていた。翌日、私が困惑して生徒たちに当時の記憶を尋ねると、誰もが存在を否定し、深夜の受話器の向こうから「あの子のこと、墓場まで隠し通すつもりですか」昭和|ミステリー|因果応報|真相2.8万字5 176 -
完結第25話
一度も抱かれなかった娘
出産翌日に姿を消した妻の代わりに、私は男手一つで娘を育ててきた。「母親は抱っこも拒んで逃げた」と言い聞かせ続けて五年。カルテの保管期限が切れ、産院に呼び出された私の前に置かれたのは、妻が失踪直前に提出した母子同室申請書と一枚のガーゼだった。申請書の最下段には私の拒否印が押されており、持ち帰った鞄からこぼれ落ちた布を拾い上げた五歳の娘は、ピンクの刺繍を指でなぞりながら私を見上げた。夫婦|真相|行方不明|親子関係3.8万字5 142 -
完結第21話
十年前に死んでいた夫
病に倒れた夫を十三年間看取り、質素な火葬を終えた私は、医療記録の精算のため大久保総合病院の窓口へ向かった。だが職員から告げられたのは、データベースに夫の名はなく、提示した診察券は十年前に死亡した二十代の別人の番号だという宣告だった。半乱心で戻ったアパートを捜索するも、夫名義の保険証も免許証も通帳すら一枚も見当たらない。十三年間私の隣で息をしていた男の痕跡が、この世のどこにも存在しない現実に立ち尽くした。ミステリー|夫婦|介護|修羅場3.1万字5 2982 -
完結第12話
左足だけの靴箱
隣室の吉岡さんが部屋で亡くなった。付き合いのなかった老人の遺品整理に立ち会った彩香は、業者から「故人の遺言」として段ボール箱を手渡される。中に入っていたのは、彩香が過去5年間に自宅の玄関から消えたはずの「左足の靴」12足。そして、それと対になる新品の右足の靴。靴底をめくると、そこには夫が「深夜残業」と偽っていた日付のタクシー領収書が隠されていた。妻が知ることになる、5年前の事故と夫の病的な贖罪の真相とは。ミステリー|夫婦1.8万字5 47 -
完結第19話
全員が揃えた同じ嘘
小学五年の秋、担任の女性教諭が突然退職し、学校は精神の病気だと説明した。だがその日の放課後、私を含めたクラス二十三人の児童は、それぞれの家庭で「先生は午後三時に帰りました」と全く同じ嘘を親に答えた。口裏を合わせた覚えはない。半年後、唯一何も言わずに転校していった無口な少女が、私の机の引き出しに一枚のメモを残した。そこには『先生は三時のとき、まだ地下室にいました』と記されていた。ミステリー|裡の顔|真相|行方不明2.8万字5 95 -
完結第11話
亡き義母の口座を洗う女
3年前に7年間の壮絶な介護の末に他界し、この手で骨壺に納めたはずの義母。だが解約し忘れていた古い通帳を繰り越すと、死後も毎月「生前給与」が振り込まれ、毎週水曜の深夜に即座に引き出されていた。深夜のコンビニで張り込んだ私が見たのは、義母の服を着て義母と全く同じ体の癖を持つ見知らぬ女。死者は生きているのか。真実を追う私は、隣で眠る夫が隠していた、狂気と冷酷に満ちた「生前名義ビジネス」の底なし沼へと引きずり込まれていく。ミステリー|嫁姑|夫婦1.6万字5 51