"午前0時30分の空白" 第6話
所者。
経。
ナンバー。
勤務先。
付を通った理由。
けれど、なくとも公にられている範囲では、どれかの両が犯へ直接結びつくことはなかった。
報がある。
しかし証拠にはならない。
この違いが捜査の壁になる。
もしいワゴンが本当に事件両だったとしても、ナンバーが分からなければ対象は膨になる。
ランドクルーザーについても同じだった。
全国に同型はする。
だけでは絞れない。
数という差があれば、を洗うこともできる。
内部を清掃することもできる。
売却することさえ能ではない。
1991には、をるを連続して追跡できる防犯カメラ網などしなかった。
現付の映像を確認し、数km先の交差点へ移り、その先の料所まで追っていくような現の捜査法は使えない。
必なのは、の記憶だった。
「あの朝、いが止まっていた」
「数、黒いを見た」
「ドラム缶を積んだがあった」
その証言をつなぐしかない。
そしてが経てば、記憶はしずつれていく。
事件は、物証だけでなく「」とも戦っていた。
ドラム缶をへ運び入れた物は、だったのか。
それとも複数だったのか。
この疑問も、く事件を考えるで残ることになった。
の入ったドラム缶はい。
空の状態であっても、持ちのない円筒形の属容器は運びやすいものではない。
広告
まして、に分の量が加わっている。
からろすだけでも簡単ではない。
転がすことはできる。
だがならともかく、には階段がある。
階段の段ごとに落とすように転がせば、きな音がる。
ドラム缶がへこむ能性もある。
もきくく。
慎にろすなら、力で支える必がある。
1の屈な物なら能ではないかもしれない。
の荷台から面へずらし、傾けながら転がし、階段ではゆっくり落とす。
そう考えることはできる。
しかし、失敗すれば自分が敷きになる。
で作業しようとすれば、さらに危険になる。
2なら格段に作業しやすい。
がから支え、もうがから受ける。
階段をろし、そのまま通の奥へ運ぶ。
そう考えると、複数がいた能性は確かに浮かぶ。
しかし、それだけで複数犯とは言えない。
犯そのものはで、遺棄だけ誰かに伝わせた能性も理論はある。
逆に、準備から運搬まですべてでった能性も残る。
公されている報のには、現に複数の犯がいたことを決定に示すものはない。
さらに、ドラム缶の状態も考える必があった。
切断。
運搬。
焼却。
この連の程には、い理抵抗を伴う。
普通のがいつきで簡単にできる為ではない。
広告
具が必になる。
所が必になる。
も必になる。
周囲に気づかれない環境も必になる。
もし犯がなら、その物は、誰にも見られずに定作業できる所を持っていた能性がある。
自宅。
作業。
倉庫。
。
その、の入りを制限できる所。
ただし、それもあくまで推測だった。
捜査側がそうした所を特定できなければ、物証へたどり着くことも難しい。
そして犯が複数だったなら、別の問題がまれる。
なぜ誰もを割らなかったのか。
複数が関与すれば、それだけ秘密が漏れる能性はくなる。
関係が壊れる。
仲割れする。
別件で逮捕された者が供述する。
酒の席でを滑らせる。
が経つほど、どこかから報がる能性がある。
しかし、この事件では犯につながる決定な告や証言は表になかった。
1だから秘密が守られたのか。
複数でもい結びつきがあったのか。
あるいは、捜査側が把握していても証拠がりず件できなかったのか。
からは分からない。
もうつ自然なのは、犯が「隠すこと」へい識を持っているように見えることである。
元確認を困難にする。
ドラム缶へ入れる。
を使う。
ここには証拠を消そうとする図がじられる。
だが、そうであるなら、なぜドラム缶自体を残したのか。
完全にの来ない所へ運ばなかったのか。
広告
おすすめ作品
-
完結第21話
日本一情の深い父の裏の顔
妹がサービスエリアで姿を消して5年。全国を巡り「日本一情の深い父親」と称賛される父から、私は古いワゴン車を譲り受けた。だが車内の清掃中、妹の指定席だったシートベルトが事故の衝撃で「4センチ」伸びきっているのを発見する。さらに奥底から見つかったのは、刃物で切断された妹の防犯ブザーだった。父に問いただすと、かつてない冷酷な声で「今すぐ車を処分しろ」と脅され――。私は父の狂気と真実を暴くため、ある決断を下す。ミステリー|裡の顔|真相|行方不明3.1万字5 75 -
完結第22話
側溝の底のGPS
六年前に娘を事故で亡くし、近所から「不注意な母親」と後ろ指を指されながら暮らしてきた私。ある朝、向かいの名士宅との境界にある側溝の泥から、泥まみれの「娘の見守りGPS」を掘り出した。壊れた端末のログを開くと、六年間、豪雨の深夜になるたび、向かいの家のWi-Fiと通信を繰り返していた。問い詰めた夫が無言で開けた物置には、壁一面に貼られた隣家の行動記録と、五年間密かに改造されていた配管図面があった。ミステリー|因果応報|裡切られた|真相3.3万字5 223 -
完結第11話
九時三十四分の地下鉄、消えた暴行犯
午前九時三十四分、地下鉄の車内で若い男が突如狂乱し、中年客の顔面を骨が軋むほど殴打した。床一面に飛び散る鮮血。だが、隣に座る同じ社章をつけた上司は、ただ口をあわあわと震わせ「腰を抜かして」座り込むだけだった。乗客たちと男を取り押さえ、駅員にすべてを通報した俺。しかし翌日、警察の発表も新聞の三面記事も、この凄惨な事件を「最初から存在しなかった」かのように完全に黙殺していた。なぜあの凄惨な暴力は一行も報道されず、駅の防犯カメラ映像すら消去されたのか。数年後、俺はある大手企業の役員名簿の中に、あの朝、冷たいホームの柱にすがってガタガタと震えていた「あの上司」の顔写真を見つけ、息を呑んだ――。ミステリー|真実1.6万字5 101 -
完結第19話
三十二人目の卒業写真
教職を退いた夜、三十年前に送り出した最初の教え子たちが開いてくれた送別会で、私は三十一人分の感謝の手紙を受け取った。だが自宅で数え直すと、名簿にない三十二通目の白い封筒が混ざっていた。便箋には「全員が卒業しました。私一人を残して」とだけ記されていた。翌日、私が困惑して生徒たちに当時の記憶を尋ねると、誰もが存在を否定し、深夜の受話器の向こうから「あの子のこと、墓場まで隠し通すつもりですか」昭和|ミステリー|因果応報|真相2.8万字5 176 -
完結第21話
十年前に死んでいた夫
病に倒れた夫を十三年間看取り、質素な火葬を終えた私は、医療記録の精算のため大久保総合病院の窓口へ向かった。だが職員から告げられたのは、データベースに夫の名はなく、提示した診察券は十年前に死亡した二十代の別人の番号だという宣告だった。半乱心で戻ったアパートを捜索するも、夫名義の保険証も免許証も通帳すら一枚も見当たらない。十三年間私の隣で息をしていた男の痕跡が、この世のどこにも存在しない現実に立ち尽くした。ミステリー|夫婦|介護|修羅場3.1万字5 2982 -
完結第12話
左足だけの靴箱
隣室の吉岡さんが部屋で亡くなった。付き合いのなかった老人の遺品整理に立ち会った彩香は、業者から「故人の遺言」として段ボール箱を手渡される。中に入っていたのは、彩香が過去5年間に自宅の玄関から消えたはずの「左足の靴」12足。そして、それと対になる新品の右足の靴。靴底をめくると、そこには夫が「深夜残業」と偽っていた日付のタクシー領収書が隠されていた。妻が知ることになる、5年前の事故と夫の病的な贖罪の真相とは。ミステリー|夫婦1.8万字5 47 -
完結第19話
全員が揃えた同じ嘘
小学五年の秋、担任の女性教諭が突然退職し、学校は精神の病気だと説明した。だがその日の放課後、私を含めたクラス二十三人の児童は、それぞれの家庭で「先生は午後三時に帰りました」と全く同じ嘘を親に答えた。口裏を合わせた覚えはない。半年後、唯一何も言わずに転校していった無口な少女が、私の机の引き出しに一枚のメモを残した。そこには『先生は三時のとき、まだ地下室にいました』と記されていた。ミステリー|裡の顔|真相|行方不明2.8万字5 95 -
完結第11話
亡き義母の口座を洗う女
3年前に7年間の壮絶な介護の末に他界し、この手で骨壺に納めたはずの義母。だが解約し忘れていた古い通帳を繰り越すと、死後も毎月「生前給与」が振り込まれ、毎週水曜の深夜に即座に引き出されていた。深夜のコンビニで張り込んだ私が見たのは、義母の服を着て義母と全く同じ体の癖を持つ見知らぬ女。死者は生きているのか。真実を追う私は、隣で眠る夫が隠していた、狂気と冷酷に満ちた「生前名義ビジネス」の底なし沼へと引きずり込まれていく。ミステリー|嫁姑|夫婦1.6万字5 51