"止まったカードと空の家" 第4話
『今も楽しかった』
『俺も。帰りたくなかった』
続けて、美津からハートのついたスタンプ。
さらに正文。
『にばれないようにしないとな』
指先がたくなった。
私は画面をへスクロールした。
『次はどこく?』
『ホテルでもいいじゃん』
『正文君、には残業って言ってるんでしょ?』
『もちろん』
笑いうスタンプ。
を示す言葉。
待ちわせ。
事の。
私がで正文の夕を作っていたに、夫は美津と会っていた。
私が、
「今も仕事変だったね」
と労っていた夜。
正文は親友と腕を組んで歩いていた。
「なんで……」
声が震えた。
涙が頬を伝った。
正文をしていた。
美津を信頼していた。
2とも、ので切なだった。
その2が私のらない所で私を裏切っていた。
もしかすると、
「って全然気づかないね」
などと笑っていたのかもしれない。
そう考えた瞬、吐き気がした。
それでも私は画面を閉じなかった。
泣きながら、自分のスマートフォンを取りす。
枚。
また枚。
証拠として写真を撮る。
もし婚することになった、このやり取りは必になる。
しくても、を止めてはいけない。
あやのためにも。
やがて浴の音が止まった。
正文が戻ってくる。
急いでスマートフォンを元へ戻そうとした。
その。
帳型ケースの内側から、何かがへ落ちた。
いカードだった。
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拾いげた私は、そこにかれている名を見た。
「……私の?」
それは、私名義のクレジットカードだった。
そのカードを見た瞬、正文の財布から現が減っていない理由が分かった。
私は以、常の支払いをほとんどクレジットカードで済ませていた。
しかし数から、ポイント還元やキャンペーンのいQRコード決済を利用することが増え、クレジットカードを直接使う会はなくなっていた。
カード自体はバッグの内ポケットに入れっぱなし。
毎確認するようなものではなかった。
正文は、そこから勝に抜き取ったのだ。
私名義のカードなら、利用代は夫婦の活費として使っている座から落ちる。
額の買い物に紛れれば、私も気づきにくい。
しかもタッチ決済なら、定額までは暗証番号を入力する必もない。
「そういうことだったんだ……」
しみが、急速にりへ変わった。
浮気だけではない。
正文は、族のおを使って浮気していた。
自分の遣いを温しながら、妻のカードで親友とのデート代を払っていたのだ。
浴のドアがく音がした。
私は急いでカードをスマートフォンケースへ戻し、何事もなかったようにソファへ座った。
正文がタオルで髪を拭きながら戻ってくる。
「まだ起きてたんだ」
「うん」
「どうした?」
「何でもないよ」
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私は笑った。
自分でも驚くほど自然に笑えた。
りがきすぎると、逆には静になるらしい。
そのから私は、正文のスマートフォンを定期に確認するようになった。
もちろん、証拠を残すためだ。
2の関係は私が像していた以にんでいた。
事。
買い物。
ホテル。
そしてある、旅の話までてきた。
『最どこにもってない』
美津からのメッセージ。
『じゃあ泊まりでく?』
正文。
『に何て言うの?』
『会社の慰旅って言えば丈夫』
『バレない?』
『あいつ俺のこと信用してるから』
その文章を読んだ瞬、私はしばらく画面を見つめた。
信用している。
確かにそうだった。
だからカードまで確認しなかった。
だから親友と夫が2きりで連絡を取っている能性すら考えなかった。
その信用を、正文は私を騙す具に使った。
数。
案の定、正文が私へ言った。
「来さ、会社の慰旅があるんだけど」
「旅?」
私はらないふりをした。
「どこ?」
「の方。1泊2」
正文はし緊張しているようだった。
「最みんな忙しかったから、気分転換しようってなって」
「いいんじゃない?」
私は笑顔を作った。
「いくらかかるの?」
「え?」
「旅代。してあげようか?」
正文の顔が瞬引きつった。
「いや、いいよ。丈夫」
「でもお遣いないでしょ」
「貯めてたから」
笑いそうになった。
貯めていたのではない。
私のカードを使っていたから減らなかっただけだ。
「そう?」
「ああ」
そのの夜も正文は、
「急な残業」
と言って遅く帰ってきた。
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