"止まったカードと空の家" 第5話
当然、美津とのデートだった。
「今はご飯いらない」
「また?」
わず聞くと、正文は自分でも自然さに気づいたらしい。
「あ、ほら。最司がよく奢ってくれてさ」
「太っ腹な司だね」
「だろ?」
私はにっこり笑った。
「そうだ。今、私もし帰りが遅くなるんだ」
「仕事?」
「うん。あやには学からそのまま実へくように言っておく」
私の実は、あやの学と自宅マンションのほぼにある。
あやは幼い頃から祖父母になついており、私たち夫婦がするには何度も預かってもらっていた。
正文は嬉しそうだった。
「じゃあ俺が迎えにこうか?」
「今は私がくよ」
「そっか。たまには実でゆっくりしてきなよ」
「ありがとう」
そのの正文はらかに嫌がよかった。
私が遅くなる。
つまり、美津とく緒にいられるとったのだろう。
朝、正文がをた、私はいつも通り勤務先へ向かった。
定まで働き、退勤に実へ話する。
「お母さん、あや今お願い」
『いいけど、は?』
「ちょっと確認したいことがあるの」
母は私の声から何かじたようだったが、それ以は聞かなかった。
『分かった。気をつけてね』
私はそのまま正文の会社へ向かった。
会社の斜め向かいにあるカフェへ入り、エントランスが見える窓際の席に座る。
コーヒーにはほとんどをつけなかった。
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定をし過ぎた頃。
正文がてきた。
残業などしていない。
会社をると、とは逆方向へ歩き始めた。
私はし距を空け、ろを追った。
浮気を確認するためではない。
それならメッセージだけでも分だった。
私が確認したかったのは、クレジットカードの使用だった。
正文は駅で美津と流した。
美津は私が何度も見たお気に入りのコートを着ていた。
正文を見つけると笑顔でづき、そのまま腕を絡める。
胸が痛む。
それでも私はを止めなかった。
しばらく歩いた、美津のパンプスのヒールがのくぼみに引っかかった。
「あっ!」
れた所からでも分かるほどきく体勢を崩す。
幸い転びはしなかったが、ヒールが折れていた。
正文が何か言い、すぐくにあった型の靴へ2で入っていく。
私はのにある縦板のへ移した。
内で美津は何も試着している。
正文は楽しそうにそれを眺めていた。
やがて会計。
正文が帳型スマートフォンケースをく。
そこから枚のカードをした。
私のカードだ。
慣れた作で端末にかざす。
決済完。
「……証拠、取れた」
私はさく呟いた。
疑惑は確信に変わった。
スマートフォンで、正文が私名義のカードを使用している様子を撮する。
これで分だった。
まで追う必はない。
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私はそのをれた。
駅へ向かいながら、議なくらい気持ちは落ち着いていた。
婚しよう。
その決は、もう揺るがなかった。
正文。
美津。
今のうちに楽しめばいい。
私は2を許すつもりなど、最初からなかった。
その夜、私は実へ向かった。
玄関をけると、あやがリビングのに座り、父と母と緒にテレビを見ていた。
「ママ、おかえり!」
あやがってくる。
私はその笑顔を見た瞬、胸が詰まった。
父親が裏切っていることを、この子にどう話せばいいのだろう。
「、ご飯べた?」
母が尋ねる。
「ううん」
「顔悪いぞ」
父も配そうにちがった。
私はし迷った、
「話があるの」
と言った。
あやには別へってもらうべきだとった。
しかし、何度考えても避けて通れない。
正文と婚するなら、あやにも説しなければならない。
「みんなに話したい」
私はリビングのテーブルへ座った。
そして、これまで調べたことを全部話した。
正文が残業と嘘をついて美津と会っていること。
美津とは期倫関係にあること。
1泊2の旅を計画していること。
さらに正文が、私のクレジットカードを勝に持ちし、浮気のために使っていること。
母は途から顔を真っ赤にしていた。
「何なの、その男!」
父は拳を握った。
「、別れろ。そんなことをすると緒にいる必はない」
予していた反応だった。
問題は、あやだ。
私は娘を見る。
泣くかもしれない。
ショックで何も話せなくなるかもしれない。
「ごめんね」
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