"消えた女将と800万の通帳" 第4話
自分でも分からなかった。
義子はそんな娘に、
「気にせんでええ。こっちも必なもんやったんやから」
そう笑った。
その保険が、数に族を壊す理由のつになるなど、そのの希には像もできなかった。
2009。
3000円酒はから5目を迎えていた。
は繁盛していたが、義子の体には疲労が蓄積していた。
午3から夜3。
12くつ。
帰宅するとがむくみ、首も痛い。
曜に1休んでも、曜にはまた厨と内をり回る。
そんな活のでも、義子は秘密の座へしずつを貯めていた。
「別に貯めてんねん」
美子へ打ちけた。
「武夫がらん座に」
「それでええ」
「いつか、このでさいマンションでも借りようとって」
美子は頷いた。
「そののことだけは、絶対バレんようにしとき」
義子は通帳そのものも美子に預けるようになった。
「置いとったら、いつ見つかるか分からん」
「ここなら庫入れとく」
「悪いな」
「何の付きいやとってんの」
義子はし笑った。
を辞められたら。
さなマンションを借りて。
しばらく休んで。
そこから何か考えたい。
義子が守っていたのは、ただの貯ではなかった。
自分のをやり直すためのだった。
そんな。
3000円酒の常連客のから、いがけない話を持ちかけられた。
本、43歳。
阪部にある自部品で17働いてきた男だった。
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仕事は産ラインでの組みてと検品。
毎同じに勤し、決められた作業を繰り返す。
昇や配置転換にきな興はなく、言われた仕事を確実にこなすタイプだった。
彼にとって唯の楽しみは、仕事帰りの酒だった。
3000円酒はから自宅へ帰る途にあった。
最初は板を見て入っただけだった。
ややっこ390円。
本酒を1本つけても1000円ほど。
値段もも気に入り、そのまま常連になった。
4。
本は客としてを見続けた。
夕方には席が埋まる。
週末には入れずに帰る客がいる。
に追加したテーブルまで埋まる。
誰が見ても繁盛だった。
2009初め。
本の勤めるで員削減が決まった。
世界な景気悪化の響で、産量が落ちた。
17勤めた本も理対象に入った。
形式は希望退職。
退職は約400万円。
43歳で突然職を失った。
何社か履歴を送った。
しかし40代の勤務経験者を正社員として採用する会社はくなかった。
1か。
2か。
だけが過ぎる。
退職は活費に変わっていく。
「このままやと、何もなくなる」
本のに浮かんだのが3000円酒だった。
4自分の目で見てきた。
毎晩客が入る。
定して売れている。
あのなら、自分でもやれるのではないか。
ある夜。
いつもの席でややっこをべながら、本は義子を呼んだ。
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「女将さん」
「はいよ」
「ちょっと、話あるんですけど」
「何?」
本は本酒の杯を置いた。
「この、誰かに譲る気ありませんか?」
義子は笑った。
冗談だとった。
「何言うてんの。今うまくいってんのに」
「僕、本気なんです」
義子の表が変わった。
「僕が引き継ぎたい」
そのは断った。
売る気など考えたこともなかった。
だが、へ帰ったも本の言葉はに残った。
52歳。
112。
夜までのち仕事。
は毎晩むくむ。
首も痛い。
この活を60歳まで続けられるだろうか。
を放せば、体は楽になる。
しかし収入がなくなる。
武夫は働かない。
老の資も分ではない。
義子は迷った。
1週。
本が再び来た。
今度は具体な額を提示した。
「保証200万円はそのまま引き継ぎます。それとは別に、営業権として600万円払います」
わせて800万円。
義子は言葉を失った。
さな居酒の譲渡としては、決して悪い条件ではなかった。
美子に相談した。
「600万?」
「保証入れたら800万」
美子はしばらく考えた。
「悪ないとう」
「でもやめたら収入なくなる」
「そのと、今まで貯めたあるやろ」
「うん」
「マンション借りる言うてたやん」
義子は黙った。
それは何度も見た活だった。
夜3に帰らなくていい。
毎ち続けなくていい。
し休める。
夫の武夫にも話した。
「、買いたい言うおるねん」
「いくらや」
最初にた言葉がそれだった。
「全部で800万くらい」
武夫の目が変わった。
「売れ」
「まだ考えてる」
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