みかん小説
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"湖底の白衣" 第6話

な文章ではなかった。

症状。

。

用した薬。

そのの変化。

医師らしい静な記録だった。

しかしページがむにつれ、その内容はくなっていった。

「診察へ入れば普通に話せる」

「患者のでは笑える」

「帰宅すると何もできない」

そんなの記述が残されていた。

患者たちがっていた優しい田先と、1になったの恵美子。

そのには、誰も気づかなかったきな隔たりがあった。

さらに、夜の話の相も判した。

阪で精神科医をしていた加藤医師だった。

恵美子は失踪の約4かから、加藤へ個に相談していた。

医師や医療従事者の抑うつ状態、燃え尽き、いへの対応をっていた物だった。

すでに引退していた加藤は、警察から連絡を受けるとく沈黙した。

「やはり、見つかったんですね」

加藤は恵美子を覚えていた。

「とてものいいでした。自分の状態もよく理解していました」

「では、なぜ分な治療を受けなかったんですか」

本田が尋ねた。

加藤は難しい表をした。

「理解していることと、自分を助けられることは別なんです」

恵美子は、自分が正式な精神科治療を受けていることが周囲にられるのを恐れていたという。

医師として信頼を失うのではないか。

診療を続けられなくなるのではないか。

患者を失望させるのではないか。

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「入院も勧めました」

加藤は言った。

「なくとも仕事を休むべきだとも伝えました。でも彼女は拒否しました」

「理由は?」

「自分が休めば患者が困る、と」

恵美子にとって、仕事は負担であると同に、自分を支えている最の柱でもあった。

診察しているだけは、自分のことを考えなくて済む。

誰かを助けているだけは、自分に価値があるとえる。

だから患者が増えるほど、むしろ仕事を引き受けた。

林がじていた変化とも致した。

失踪の数か、恵美子は以よりく勤するようになった。

夜も遅くまで残った。

往診も増やした。

緊急の患者を断らなくなった。

林は当、それを責任のさだとっていた。

「先は本当に患者いだから」

そう信じていた。

だが21に振り返ると、別のが見えてきた。

恵美子は、1になるを避けていたのではないか。

自分のと向きわなくて済むよう、仕事でを埋めていたのではないか。

加藤が恵美子と最に話したのは、失踪3だった。

「いつもより静かでした」

「落ち着いていたんですか?」

「そう見えました。ただ、その落ち着き方が今考えると怖い」

加藤は、当の記録を見ながら答えた。

恵美子は「ようやくいものをろせそうな気がする」と話していた。

加藤は、状態がし改善したのかもしれないとった。

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翌週も話で話す予定だった。

しかしそのに、テレビで失踪をった。

「もっとく止めるべきだった」

加藤は21も、そのことを悔やんでいた。

そして記録も、別のを持ち始めた。

量の現引きしは、しい活を始めるための資ではなかった。

調べ直すと、恵美子は失踪に未払いの請求をほとんど清算していた。

アパートの賃も先の分まで支払っていた。

公共料も理されていた。

さらに、子供や齢者を支援する複数の団体へ匿名で寄付していたことも分かった。

逃するのとは違っていた。

むしろ、自分がいなくなったに誰かへ迷惑がかからないよう、の回りを理していたように見えた。

そのでも、本田がくを止めたものがあった。

アパートのから、葬儀など最終な配に使うためと読めるメモとともに、まとまった現が保管されていた。

21には、そのが分からなかった。

今なら分かった。

恵美子は、かなりから自分が消えたのことまで考えていた。

捜査がむ、伯母が保管していた恵美子の私物も改めて調べられることになった。

医学。

学代のノート。

写真。

古い帳。

21、箱に入ったままになっていた品々だった。

そのの1冊を確認していた、医学のページのから封筒が落ちた。

宛名は伯母だった。

封はされたままだった。

付は1210。

失踪の5。

伯母の許を得て、警察は内容を確認した。

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