"身代わり妻の逆転帰還" 第5話
その事実が、胸に刺さった。
私は位牌を布袋へ入れた。
「もう、ここには置かないから」
その、仏壇のさな引きしをける。
古い蝋燭や数珠を取りし、底板を指でく押した。
カチリ。
さな音。
板が浮きがる。
仏壇を買った、職が教えてくれた隠し底だった。
健も子もらない。
からビニール袋を取りす。
茶い通帳。
黒いUSBメモリ。
2ずっと気にかかっていたものが、元へ戻った。
通帳は私個名義のものだった。
もしもののために、しずつ貯めていたお。
USBメモリには逮捕にコピーした数分の経理データが入っている。
「残ってた……」
わず呟いた。
これで戦える。
袋をバッグの奥へしまい、ちがろうとした。
その。
の隅のゴミ箱に、鮮やかなのが見えた。
何気なく取りげる。
級介護施設のパンフレットだった。
県。
入居だけで数千万円。
子が入るにはあまりに豪華な施設だった。
表にはピンクの付箋。
丸みのある字で、こうかれていた。
〈来にはあのばあさんをここに入れる。実のは更にして売却する方向で〉
美の字だった。
私は何度か読み返した。
昨。
子は美を「品でのこともよくやってくれる」と自していた。
けれど美は、私を追いした、次は子を追いすつもりだった。
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介護施設へ送り。
を売る。
おそらく健も同している。
「そういうこと……」
同はなかった。
けれど背筋がえた。
健と美にとって、は利用価値でしかない。
私も。
子も。
父の会社も。
価値がなくなれば捨てる。
その、スマートフォンが震えた。
先からだった。
〈第1段階完。健氏のメインバンクが会社座の取引制限に入りました〉
私は画面を見つめた。
もう始まっている。
そのの午。
ホテルへ戻り、婚届をテーブルに広げた。
健の署名。
証1目は子。
そして2目。
「佐藤久志」
健の叔父にあたるだった。
私はその名をしばらく見つめた。
久志叔父さんは、私と健の結婚を誰よりんでくれた。
父の会社にもよく顔をしていた、律儀なだ。
けれど。
字が違う。
ほんのし。
そして押されている印鑑もおかしかった。
い文判のように見える。
久志叔父さんは印鑑にこだわるだった。
正式な類なら必ず黒牛の実印を使った。
何より。
久志叔父さんはくなっている。
刑務所に届いた親戚からのでった。
私はすぐ役所へ向かった。
先から、戸籍関係の証を取っておくよう言われていたからだ。
窓で本確認を済ませる。
若い職員がパソコンを操作していたが、途でを止めた。
「佐藤由美様。印鑑登録ですが、1に変更されていますね」
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「変更?」
「はい。しい印鑑が登録されています」
「私はその頃、役所へ来ていません」
職員が画面を見る。
「ご主様が委任状をお持ちになっています」
背にたいものがった。
健は私が刑務所にいるに、勝に私の実印を作り直した。
何のためか。
理由はつしかない。
私名義で契約を結ぶため。
「その印鑑証をしてもらえますか」
受け取ったに押されていた印は、まったくらないものだった。
これを使って何をした。
会社の借か。
美の会社への保証か。
私は証を握った。
その瞬、スマートフォンが鳴った。
健。
る。
「おい、由美! 今どこだ!」
昨の余裕は消えていた。
「役所ですけど」
「役所だと? お、余計なことしてないだろうな!」
「何をそんなに焦ってるんですか」
「今朝、の座が止められたんだ! おがまだ妻だからコンプライアンスに引っかかったんだろ!」
わず笑いそうになった。
自分が調べられているとは、まだっていない。
「く婚届をせ!」
「健さん」
「なんだよ!」
「つだけ聞いていいですか」
「くしろ」
「婚届の証。久志叔父さんがいたんですか?」
沈黙。
ほんの数秒。
けれど分だった。
「あ、ああ。そうだ。叔父さんに頼んだ」
私は廊のい壁を見ながら、静かに言った。
「おかしいですね」
「何がだよ」
「久志叔父さん、の3にくなってますよ」
話の向こうで息をむ音がした。
「くなったが、どうやって今の婚届に署名して印鑑を押したんですか?」
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