"18万円の甘い嘘" 第5話
「今は僕からしサービスします」
しばらくするとワインがてきた。
「これ、僕からです」
「そんな……悪いわ」
「いいんです。節子さんには幸せになってほしいから」
節子は胸がいっぱいになった。
帰り際、涼介は言った。
「節子さんは特別です」
節子は聞き返した。
「特別?」
「のお客さんとは違います。本当ですよ」
その夜から、節子ので何かが変わった。
曜。
曜。
曜。
週に3回もへった。
回2万円。
いは3万円。
貯の残り5万円はすぐになくなった。
それでも、へ向かうを止められなかった。
節約し続けた62。
たった数週で、の価値が変わってしまった。
100円い惣菜を買うのは惜しい。
代の1000円は惜しい。
それなのに、涼介が笑ってくれるなら2万円は払えた。
そんなある、の休憩で田が声をかけてきた。
「桂さん、最顔悪いですよ」
田は50代の女性で、く同じで働いていた。
節子とは特別親しいわけではなかったが、数ない気にかけてくれる同僚だった。
「ちょっと疲れてるだけよ」
「無理しないでくださいね」
田はそう言ってっていった。
節子は背を見送りながら、胸に罪悪を覚えた。
誰にも言えない。
62歳にもなってホストクラブへ通い、若い男の言葉にになっているなど。
られたら笑われる。
そうった。
がなくなると、節子は活費をさらに削った。
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を完全に止めた。
朝はパンの。
昼はだけのもあった。
夜はカップ麺つ。
それでも涼介に会うは必だった。
節子はついに田へ頼んだ。
「3万円だけ貸してもらえないかしら」
田は驚いた。
「何かあったんですか?」
節子は瞬黙り、嘘をついた。
「親戚のお葬式があって……急に必なの」
田は配そうな顔をした。
「それは変でしたね」
そして3万円を貸してくれた。
「来でいいですよ」
「必ず返すわ」
節子は何度もをげた。
その夜。
借りた3万円を握りしめ、節子はムーンライトへ向かった。
に入った瞬、が止まった。
涼介の隣に、若い女がいた。
20代くらい。
綺麗な髪。
品な。
そうなバッグ。
涼介は楽しそうに笑っていた。
節子に見せていたのと同じ笑顔で。
いや。
それ以に楽しそうに見えた。
胸の奥が、鋭く痛んだ。
節子は涼介を待った。
1。
2。
若い女の席からは何度も笑い声が聞こえた。
節子はで焼酎をんだ。
杯。
杯。
杯。
酔えば気にならなくなるとったが、逆だった。
涼介の笑顔が界に入るたびに、胸の奥が焼けるように苦しくなった。
ようやく涼介がやってきたのは、2以経ってからだった。
「節子さん、お待たせしてすみません」
いつもの笑顔。
けれど、以よりくじた。
節子はできなかった。
「さっきの女の、誰?」
涼介はし困った顔をした。
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「お客様ですよ」
「でも……あなた、私のこと特別だって言ったでしょう?」
「もちろん特別ですよ」
「じゃあ、あのは?」
「仕事ですから」
涼介は節子のを握った。
「僕の仕事、分かってください」
節子は黙った。
では理解していた。
ここはホストクラブ。
涼介は客と話すことが仕事だ。
それなのに、だけが納得しなかった。
「ごめんなさい」
結局、謝ったのは節子の方だった。
「嫉妬なんてして……みっともないわね」
「そんなことないですよ」
涼介は微笑んだ。
「それだけ僕のことを切にってくれてるんですよね」
その言葉で、節子はまた救われた気持ちになった。
そしてその夜、5万円以使った。
若い女に負けたくなかった。
自分の方が涼介を切にっていると証したかった。
田から借りた3万円も、財布に残っていた自分のも、ほとんど使った。
いワインを注文すると、涼介が笑った。
「節子さん、本当にありがとうございます」
その笑顔だけで、その瞬は満できた。
しかしに帰ると現実が待っていた。
財布には300円ほどしか残っていなかった。
料までまだ2週。
翌、昼休みになってもべ物を買えなかった。
節子はコンビニでだけを買い、公園のベンチへ座った。
周りの作業員は弁当をべている。
節子の胃が鳴った。
午。
製造ラインにつと、目のが揺れた。
空腹だった。
「桂さん! が止まってるぞ!」
田の鳴り声でに返る。
「すみません」
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