"片胸の息継ぎ" 第7話
の匂い。
くでの音がする。
律子は体を洗い、湯へ入った。
肩まで沈む。
傷も胸も腹も、全部湯のへ消えた。
しかった。
「い」
声にした。
誰も返事をしない。
それがよかった。
湯ので肩を回した。
術側の肩は今でもよりしきにくい。
腕をげる。
げる。
皮膚が引っ張られる。
痛くはない。
体は体だった。
それ以でも以でもなかった。
45分、律子は普通にを着て部へ戻った。
麻がすぐ聞いた。
「どうだった?」
「かった」
「それだけ?」
「景はよかった」
麻は笑った。
「よかった」
夕をべた。
刺。
煮物。
炊き込みご飯。
デザート。
律子は普段なら残す甘いものまで全部べた。
翌朝、ホテルの内プールのを通った。
ガラス越しに数が泳いでいた。
麻が言った。
「く?」
律子は答えなかった。
部には、洗って持ってきた古い着がある。
使うつもりはなかった。
何となく荷物へ入れただけだった。
「あるよ」
麻が言う。
「チェックアウトまで」
律子はガラスの向こうを見た。
い井。
青い。
民プールとほとんど同じだった。
違うのは、自分が制を着ていないことだけ。
「浅いところある?」
「あるんじゃない?」
「見てくる」
それだけ言った。
20分、律子は更にいた。
着はしきつかった。
鏡には、着のからでもの胸の差が分かる。
専用のパッドを入れていないので、側は平らだった。
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律子は着を羽織ろうとした。
しかしプールへ入れば脱がなければならない。
結局そのままた。
プールサイドには誰も律子を見ていなかった。
本当に誰も見ていないのかは分からない。
けれどなくとも、律子が像していたような線はじなかった。
子どもが浮き輪で遊び、老が歩き、若い女性が泳いでいる。
律子は階段からゆっくりへ入った。
腰。
腹。
胸。
肩。
が体を覆った。
議だった。
自分の差が見えなくなったからではない。
のでは、見た目より先に体のさが変わった。
脚が軽い。
腕が浮く。
胸がなくても、はそこだけ避けたりしない。
体全体を同じように押し返してくる。
律子は胸のさの所まで歩いた。
麻はしれていた。
何も言わない。
律子は両腕をへ伸ばした。
顔はつけなかった。
歩。
歩。
の抵抗をじる。
それだけで臓がし速くなった。
怖いわけではない。
体が久しぶりのきに驚いているのだとった。
「泳ぐ?」
麻が聞いた。
「今はいい」
「うん」
律子は20分ほどのを歩いた。
帰る、し疲れていた。
けれど嫌な疲れではなかった。
そのの夜、自宅の呂へ入る、鏡のの傷を見た。
昨までと同じだった。
律子はった。
変わる必があるのは傷ではない。
傷は最初から何もしていない。
自分の体を、傷だけで見ていた目の方が、し変わればよかったのかもしれない。
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旅から帰って週、律子はスポーツ用品へった。買うものは決めていなかったが、泳用品の売りへがり、女性用の着を眺めた。競泳用、フィットネス用、袖のあるもの、が分かれたものと種類がく、どれを選べばいいのか分からなかった。
員に相談する勇気はなかった。
自分で何着かに取り、試着へ持っていった。
最初の着は胸の形がはっきりすぎた。
着目は背がきくいていた。
着目は半袖で、にファスナーがあり、胸にパッドを入れられるポケットがついていた。
律子は鏡を見た。
は完全には揃わない。
でも、以の古い着より落ち着いた。
値札を見る。
ったよりい。
度脱いだ。
買わずに帰ろうとした。
売りをる直、須賀の言葉をいした。
できないままぬのと、できてからぬのは違う。
律子は試着へ戻った。
着を買った。
ゴーグルも買った。
子は迷って、紺を選んだ。
自宅へ帰ると、買い物袋をテーブルに置いたままほど触らなかった。
自分は泳ぐつもりなのだろうか。
考える。
まだ決めていない。
それでも着はにある。
翌の勤務、律子は受付の美咲に聞いた。
「スタッフって、休みのにここ使えるんだっけ」
「割引ありますよ」
「そう」
美咲が顔をげた。
「泳ぐんですか?」
「まだ分からない」
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