"十六歳の毒薬花嫁" 第12話
しかも老は形だけではなく、こののに凛が何をしたのかを見たうえで謝っていた。
役は改めて処分を読みげた。蔵については、藩へ納める薬を横流しし、粗悪品へすり替えたこと、帳簿を偽造したこと、さらに湊の健康を害する為を医者へ命じたことが認定された。財産の部は没収され、野から追放されたうえで、藩の裁きを受けることになった。
崎玄庵は医師としての資格を取りげられ、郡から追放された。茂は父の正をくりながら黙っていた責任を問われたものの、本物の帳簿を守り、事件の解へ協力したことからい処罰は免れた。判決を聞いた茂は度だけ父を見たが、蔵は息子へ線を返さなかった。
しかし、凛にとって最もな裁きはそのだった。
役は別のを取りげた。
「、吉に着せられた藩御用薬への偽装の罪を取り消す。吉は偽物を納めた者にあらず、むしろ続いていた偽装を見抜き、訴えようとした者であったと認める」
凛の指先が震えた。
のをがる。
たった数だった。
けれど、その数がかれるまでに父はに、母もに、凛はを費やした。
役所の壁に貼られた「罪」の名。
町を歩けばろ指を差された々。
娘まで同じ血だと言われたこと。
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全部が、そのの音と緒にくなっていった。
凛はったまま役のを見つめた。泣くとっていたのに涙はず、胸の奥で張り続けていた細い糸が、静かに切れていく覚だけがあった。
その隣で杖の音が止まった。
湊がゆっくりを屈め、凛の隣へ座った。骨のように細いが凛のを包み、え切った指を握った。
「凛」
「はい」
「あなたは最初から、これをするために来たのですか」
凛はすぐには答えなかった。父の無実を証するため、野のへ入る必があったことは確かだった。父が残した記録に「野の若主が偽薬をんでいる」とあったため、嫁なら薬と台所へづけると考えたことも事実だった。
「最初は、父の名を取り戻すためでした」
凛はようやく言った。
「でも若旦様に、きたいですかと聞いた夜から、それだけではなくなりました」
湊はしばらく凛を見た、ほんのし笑った。
「それなら、私がき残ったもしはありそうですね」
凛は初めて、そのを自分からく握り返した。
その、野のは再びかれた。蔵に任せきりだった向きの商いを茂が引き継ぎ、奥向きと薬の入りは取り決め通り凛が見ることになった。澄はく抱えていた実の借財を理し、これまで蔵へ逆らえなかった経緯も含め、帳面をから公するよう命じた。
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ある朝、澄は薬蔵の鍵束を凛へ渡した。鉄の鍵がいくつもなり、の女のさな掌には釣りいなほどかった。澄はそのを見ながら、「私が閉じていた目を、おがけてくれました」とく言った。
薬蔵に積まれていた粗悪な薬はすべて庭で処分された。湿った束がを含むと、良質な薬とは違う甘ったるい嫌な煙がち、喉へまとわりつく。戻ってきたキヌはをしかめながらも最までを見届け、「も鍋を洗っておりましたのに、今さら匂いが嫌になるとは議でございますね」と苦笑した。
その、野が扱う薬には、仕入れた者、見分けた者、量、納品先をすべて別々にき残す決まりができた。が帳と薬蔵を同に握れないようにし、藩へ納める品は必ず以で封を確かめる。続いた正は、のへ権限を集め、周囲が「のため」という言葉で目を閉じた結果でもあった。
しく作られた最初の帳面には、番初めに吉の名が記された。
「薬吟の本として、吉の見分け方を残す」
凛はその文字を指で度だけなぞった。役所の壁から罪の札は取りされ、代わりに藩の記録へ吉が偽装を告発しようとした物として名を残すことになった。父がきて名誉を取り戻すことはできなかったが、なくとも娘がきている、誰かに「罪の娘」
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