"赤身を笑った女の末路" 第5話
「ママ」
「どうしたの?」
娘はしためらってから言った。
「子おばさん、嫌い」
いがけない言葉だった。
「何か言われたの?」
由美はうまく説できず、途切れ途切れに話した。
話をまとめると、私のいない、子が由美のやおもちゃを見て「センスないね」と言ったらしい。
それだけではなかった。
「いい子にしてないとパパに嫌われるよ」
「パパは子おばさんの方が好きかもしれないね」
そんなことまで言っていたという。
まださかった由美には、その言葉のはよく分かっていなかった。
それでも、自分に向けられているものが優しい言葉ではないことくらいはじ取っていた。
「嫌だったね」
私は娘を抱きしめた。
胸の奥にさな違が残った。
それから、子と正義の距が気になるようになった。
会話の途で体が触れる。
子が必以に正義のそばへ座る。
正義の帰宅が、それまでより遅くなる。
1つ1つなら、偶然で片づけられた。
まさか。
その言葉で私は自分を納得させた。
正義を疑いたくなかった。
子を親友とはっていなかったとしても、い付きいの相だった。
何より、私は夫を信じていた。
そしてある夜。
子が泣きながらがへやってきた。
玄関にった彼女の顔を見た瞬、嫌な予がした。
リビングへ通すと、子は両で顔を覆った。
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「どうしたの?」
私が聞くと、子は震える声で言った。
「妊娠したの」
私は瞬、何を言われたのか分からなかった。
「……そう」
そして子は顔をげた。
「相は正義さん」
のが真っになった。
数秒、何の音も聞こえなかった気がする。
「ごめんなさい」
子は泣き崩れた。
「ちょっと待て」
正義の顔が変わった。
子は涙を流したまま彼を見た。
「もう隠せないよ」
私は正義だけを見た。
「否定しないの?」
正義はすぐには答えなかった。
「いや、その……」
い当たることが何もなければ、即座に否定するはずだった。
その沈黙で分だった。
信じたくなかった。
それでも、私ので何かが音をてて切れた。
そばにいた由美のを握った。
娘ので取り乱すわけにはいかなかった。
「分かった」
自分でも驚くほど静かな声がた。
「婚しましょう」
「実乃里、待ってくれ」
正義がちがった。
「話を聞いてくれ」
「聞かない」
「でも――」
「今は何も聞きたくない」
胸のには、今までじたことのないりが渦巻いていた。
正義に対して。
子に対して。
そして何より、自分自に。
私はずっと分かっていたのかもしれない。
子は私を親友だとっていたのではない。
何かにつけて張りい、自分の方がだと確認するための相。
代からずっと、私は子にとってそういうだった。
夫が社になった頃から、子の態度がらかに変わっていた。
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それに気づきながら、私は何もしなかった。
けれど、それは夫を信頼していたからだ。
信頼していた夫と、自称親友。
2に同に裏切られた。
それ以、話しう気にはなれなかった。
その、弁護士を入れて婚の続きをめた。
財産分与と慰謝料についても話しい、私は由美を連れてをた。
実では弟が結婚したばかりだったため戻らず、さなマンションを借りた。
そして婚成、私はいもよらない事実をることになる。
子の妊娠は、嘘だった。
婚が成してしばらくした頃、夜にスマートフォンが鳴った。
画面には「正義」と表示されていた。
し迷った末、私は通話ボタンを押した。
「もしもし」
話の向こうで、正義はしばらく黙っていた。
そして最初ににしたのが、あの言葉だった。
「妊娠、嘘だった」
私は返事をしなかった。
「子が自分で認めた」
その声はひどく疲れていた。
「本当にすまなかった。俺、騙されたんだ」
私は窓のを見た。
さなマンションのリビングには、由美が描いた絵が貼ってあった。
「もう度やり直せないか」
正義が言った。
私はゆっくり息を吐いた。
「私はあなたを信じてたの」
「実乃里……」
「だから、あの、言い訳も聞かなかった。聞く必がないとったから」
子の妊娠が嘘だったとしても、正義が私を裏切った事実まで嘘になるわけではない。
「子に騙されたとしても、それで許せるほど軽いことじゃない」
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