"消えた託児代7万円" 第5話
誰も答えなかった。
私は続けた。「族だからという言葉を、都のいい無料券みたいに使わないでください。私は族として切にされているとはえません。保育士だから便利、事もするから便利、何を頼んでも断らないから便利。その程度の扱いにしかじません」
子の顔が張り、「そんな言い方はあんまりよ」と言った。けれど私は、そこで初めて自分のに議な確信がまれていることに気づいた。
以なら、ここで相の表を見て言葉を引っ込めていただろう。義母を傷つけたくない、夫婦喧嘩をきくしたくない、族関係を壊したくないという理由で、最には自分が折れていた。
でも、それを続けた結果が今だった。
「婚します」
私は静かに言った。
達夫が勢いよく顔をげ、「待てよ、そこまでの話じゃないだろ」とちがりかけた。私は彼を見ながら、「達夫にとってはそこまでの話じゃなかったんだとう。でも私にとっては、毎積みなった話だから」と答えた。
「をるってこと?」
「今ます」
「いきなりすぎるだろ」
「私にとってはいきなりじゃないよ」
私はそう言って寝へ向かった。背で子が何か言っていたが、それ以話しう気にはなれなかった。
スーツケースをき、必最限の類と仕事関係の類、資格証のコピー、化粧品、充器、結婚から持っていた物を詰めた。
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3かも暮らしたなのに、自分のものだけをまとめると驚くほどなかった。
達夫は途で何度も部へ来た。「落ち着いてから話そう」「奈にも言っておくから」と言ったが、「今は俺も子守りをする」「おの仕事を優先する」「勤務予定を勝に教えない」といった具体な言葉は最までなかった。
私はそのことが、何より答えだとった。
その夜、私は実へ戻った。
実に戻った最初の夜、私は久しぶりに朝まで度も目を覚まさずに眠った。クレアの泣き声も聞こえず、誰かが廊を歩く気配もなく、翌朝目を覚ましたには体のさがし抜けていた。自分がどれほど性な眠になっていたのか、をれて初めて分かった。
数週が過ぎると、活は驚くほど単純になった。仕事が終わればピラティスへき、母と夕をべ、読みかけの本を読んで好きなに眠る。これまでなら帰宅した瞬からクレアの事や呂の段取りを考えていたが、今は自分の夕だけを考えればよかった。
仕事にも余裕が戻った。以は寝で連絡帳をきながら何度も見直していたが、集力も戻り、同僚から「最顔よくなったね」と言われた。その言葉を聞いて、やはりあの活は正常ではなかったのだと改めてった。
ある休、買い物を終えて駅の通りを歩いていると、方に見覚えのある女性がいた。
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カジュアルなワンピース姿の奈で、隣には50代くらいの男性が歩いていた。
最初は会社の同僚かとった。ところがの距は妙にく、奈は笑いながら男性の腕へ何度か触れていた。男性も自然に彼女の肩へを添え、その仕には仕事の付きいとは違う親密さがあった。
私はち止まり、反射に計を確認した。平の午2過ぎで、達夫から以聞いていた話では、奈はそのも仕事のはずだった。
だからといって、度見ただけで何かを決めつけることはできない。会社の回りかもしれないし、親しい司なのかもしれない。私は声をかけず、そのかられた。
しかし、胸の奥には嫌な違が残った。
そのの夕方、達夫が実を訪ねてきた。私は両親に気を遣わせたくなかったので、へはげずに玄関先で話を聞いた。
達夫は以よりらかに疲れていた。目のには隈があり、髪もし乱れている。「ゆい、戻ってきてくれないか」と言った声にも、以の軽さはなかった。
私がていったも、奈は何も変わっていないらしい。週に何度もクレアを預けに来て、子が世話をしていたが、1歳児のきについていけず腰を痛めたという。
達夫も仕事から帰るとクレアを呂へ入れ、事をさせ、泊まるには夜泣きで起きるようになった。
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